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戦争法案は何をねらう

早わかり・ガイドライン法案とは?

 二十一世紀の日本の運命を左右しかねない戦争法案(ガイドライン関連法案)がいま国会で審議されています。小渕首相は五月の訪米前に法案を通そうと企んでいます。どんな危険な中身かをみてみましょう。

戦争を始めるための手引書

 花子 「ガイドライン」とは何のこと?
 明夫 政府は「日米防衛協力の指針」と説明しているが、英字紙ジャパン・タイムズは「ウオー・マニュアル」=戦争の手引書と報道しているんだ。
 花子 驚いた!「戦争法案」じゃないの。
 明夫 アメリカの強い要求にこたえて出されてきたのが、こんどの法案(「周辺事態措置法案」「自衛隊法改正案」「日米物品役務相互提供協定改正案」)なんだ。アメリカがアジアや太平洋で戦争を始めたら、自衛隊を海外に出動させたいんだ。さらに自治体や民間の人たちも米軍の軍事行動に協力させる仕組みにもなっているんだよ。
 花子 おかしいわ。学校で教わったけど、憲法九条では「戦争放棄」と「武力行使の禁止」をうたっているでしょう。
 明夫 歴代の自民党政府は自衛隊(軍隊)をつくり、軍隊はもたないという憲法九条を踏みにじってきた。しかし、これまで自衛隊はベトナム戦争や湾岸戦争でも出動できなかったが、こんどは大手をふるってアメリカの戦争に自衛隊が参加しようというんだ。

“後方支援”だから大丈夫!?

 花子 「後方支援」とは、どういうこと?
 明夫 米軍に武器・弾薬を届けたり、兵員を戦場に輸送したり、さらには燃料や食糧を補給したり、軍艦や軍用機を修理することなんだ。これらの活動は国際的には「戦争行為」とみなされている。軍事用語でも「兵たん」支援と呼ばれており、米軍の解説書にも「敵からの攻撃対象になる」と書いているんだ。
 花子 「後方支援だから大丈夫」どころではないわね。
 明夫 政府のへ理屈だ。読売新聞は「戦闘地域と離れていることをわざわざ強調するために編み出した”日本的造語”」と指摘している(二月三日付)。

米軍と一体になって軍事行動

 花子 「周辺事態」とは、どういうことなの?
 明夫 「周辺事態」という名のもとに、日本が攻撃を受けていなくても、米軍と一緒に軍事行動できるようにするためなんだ。アメリカが「事態」を認定し米軍を出動させたら、日本は協力することになる。
 花子 アメリカの言うままに戦争に参加させられることになるわね。
 明夫 アメリカは「気に入らない国はこっちから攻める」と国連憲章を平気で無視して世界中で戦争を引き起こしている。昨年はアフガニスタンとスーダンにミサイル攻撃をしたり、国連が平和的な解決をめざしている時にイラクを爆撃、世界中から非難をあびた。
 花子 アメリカと一緒になっていったら日本は、国際社会からも見離されることになるわね。
 明夫 いま大分県の日出生台で米軍が夜中に大砲を撃ち、埼玉県の朝霞では自衛隊と共同の上陸訓練をするなど、戦争準備を進めている。戦争法案は、安保条約の枠を超える重大な改悪を行うものなんだ。

ある日突然、強制的に戦争へ

 花子 法案が通ったらどうなるの?
 明夫 米軍が空港や港を優先使用し、街中を武器や弾薬を積んだトラックが通る事態などが起こるんだ。ある日、国から「米軍への協力だから」と言われ、花子や家族が武器や弾薬を運ばされることになってしまう。しかも、何を協力させるかは、政府が勝手に決めてしまうんだ。
 花子 絶対に許せない。
 明夫 病院のベッドが米軍の負傷兵に占領されることも起きる。そればかりか食料や飲用水、医薬品などを補給することになれば、農民も強制徴発される。
 花子 私たち農民にも関係するのね。
 明夫 農民はかつて軍服を着せられて戦争に狩り出され、多くの人が犠牲になった。戦後も食糧不足の時に米軍から農村にジープで乗り込んできて供出を強制された。さらに、安保条約でアメリカに農産物輸入自由化を強いられ、しかも沖縄をはじめ農地を基地にとられ、ひどい目に合ってきた。そのうえ、戦争に協力だなんて絶対反対だ。
 花子 私も廃案にさせるために頑張る。

(新聞「農民」1999.3.22付)
ライン

1999年3月

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