「農民」記事データベース990405-400-01

[1面]

米自由化法案、国会採決を強行

農業と食料の守り手は誰か、しっかり見抜こう


WTO協定 今こそ国民的改定運動を

 一生懸命ものを作りたいという農民の望みと、“高くても国産のものを食べたい”という国民の大多数の願いをおさえこむ米の自由化(関税化)。三月三十一日、自民党などは、多数をたのんで米の自由化を進める法案を可決しました。
 自由化推進に賛成したのは自民党と自由党、公明党。反対したのは共産党と民主党、社民党。
 国会は言論の府です。共産党など三党が堂々と反対の討論をしたのに、自民党などは、こそこそと討論もしないで、賛成しました。よっぽど後ろめたいのでしょう。農業と食料の守り手は誰なのか、はっきり胸にきざみましょう。
 自由化法案は通りましたが、国際協定の修正は、国会提出のメドさえたっていません。私たちは、今後も関税化の撤回を求めます。

WTO協定は農業つぶしの協定

 国民や農民は一生懸命がんばっているのに、政府・自民党・自由党が悪政のかぎりをつくす――。本当に“孝行息子にバカ親父”だと思いませんか?
 農民の望みと、国民の大多数の願いをおさえこむ大元は、農業つぶし協定――世界貿易機関(WTO)協定です。
 世界では不足、日本では「過剰」なのに、外米の輸入を押しつけるミニマム・アクセス。
 どんなに自給率が低い国でも、農民に“やる気”を起こさせ、食料を増産するような政策はとるなという内政干渉。とくに価格保障はご法度。
 これがWTO農業協定です。つくづく、アメリカなど輸出国本位の身勝手な協定だと思いませんか?

協定改定の声は世界の流れ

 いま、この協定を見直せという声が、世界でも国内でも高まっています。
 WTOに入っている国の三分の二以上は、食料輸入国と発展途上国。中川農水大臣でさえ「輸出大国はほんの数カ国」と言っているほどです。
 「WTO協定のもとで甘い汁を吸っているのはアメリカを中心とする一部の輸出大国だけだ。食料安全保障や環境・国土を守る貿易ルールを作れ」という声が多数派です。
 「飢餓の世紀」といわれる二十一世紀に向け、この声はますます強まります。
 国民を見放す政治は、必ず国民から見放されます。あきらめず、しっかり生産に励み、「輸入農産物に負けてたまるか!」とがんばろうではありませんか。

WTO協定のここを改定せよ

 あんまりひどい内容なので、WTO協定には、こういうやり方の悪影響をきちんと分析し、食料安全保障や環境保全など農業の多面的機能を尊重して、協定を見直すことが、はっきり書かれています。
 私たちは要求します。
 (1)食料自給率を引き上げ国民の食料を確保する「食料主権」は、独立国として当然の権利。「例外なき自由化」の押しつけや、国民が食べもしない米の輸入を押しつけるミニマム・アクセスをきっぱりやめること。
 (2)価格保障など、農業生産拡大への援助は各国の自主性にまかせよ。
 (3)食生活の違いを無視して、同じ食品安全基準を押しつけるのは“病気と不健康”の押しつけ。消費者の不安に応える安全基準を認めよ。
 (4)環境保全、文化の維持など、農業のもつさまざまな機能は、金で買えない価値。これを十分に尊重するルールを。
各党の態度

政治に国民の願いを実現させよう

 しかし、アメリカやWTOいいなりの政府・自民党は、まともに交渉する気はありません。
 それならば、私たちが国内の消費者と手を結び、世界の人々と連帯して、WTO農業協定の改定を要求しようではありませんか。
 政治に、国民の願いを実行させようではありませんか。米自由化後、最初の国民的審判の場で、自由化を進める政党に審判を下すことは、その第一歩です。

自民に助太刀したり「恩を売った」党は

 参議院では野党が多数。自由化推進党・公明党の責任は重大です。
 三月三十一日までに国会を通らなければ自由化法案を葬りさることができたはずでした。ところが「法案には反対だが、審議には反対しない」(社民党・村沢牧参院議員)などといって、期限内成立に協力し、政府・自民党に「恩を売った」民主・社民両党の態度も問題です。

(新聞「農民」1999.4.5付)
ライン

1999年4月][NEXT>>

HOME WTO トピックス&特集 産直・畜産・加工品 農業技術研究
リンク BBS 農民連紹介 新聞「農民」 農とパソコン

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒171-0022
東京都豊島区南池袋2-23-2
池袋パークサイドビル4階
TEL (03)3590-6759

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-1999, 農民運動全国連合会