「農民」記事データベース990621-409-05

「産直ネット」の教訓生かしさらに前進を

産直協が第11回総会


 新農基法の制定、市場法やJAS法の改正など農業と農産物流通を取りまく情勢が様変わりする中で、産直運動全国協議会の第十一回総会が六月二、三日静岡県熱海市に六十二組織、百二十六名が集まって開かれました。(→関連ページ
 昨年の総会で、「議論よりはまず荷を動かしてみよう、足を踏み出してみよう」と始まった、各地の取り組みが大きく進みました。
 とくに、大手スーパーの横暴で経営危機に陥る市場を視野に入れた多面的な販売形態の追求は、「売り先限界論」を克服し、大規模専業農家はもとより、生産をあきらめかけた農民をも励まし、運動に参加した農民の確信になり、農民連の組織拡大も進んでいることが報告されました。

各地の多様な活動経験交流

 「ふるさと産直東海ネット」の吉川利明事務局長は鹿児島や長野など野菜の主産地の農民連をはじめ全国ネットを背景にした名古屋北部市場との提携を紹介。市場や生協から信頼される関係を作るのは、荷の量ではなく、計画的で安定した出荷が大前提だと強調しました。

 「東海ネットの呼びかけによって鹿児島は揺さぶられた」と報告した、鹿児島産直センターの下屋一美氏は、自分たちで値決めができる産直の良さをもっと宣伝し、多くの生産者に働きかけて、地域興し、村興しの起爆剤をめざす産直運動への抱負を語りました。

 九州ネット事務局長の福岡農産物供給センターの井上弘徳氏は、産直比率を五割まで高めたいとのFコープとの懇談をきっかけに始まった産直の苦労を披露。予定の二倍の注文に動揺した生産者に「仲間を増やし対応しよう」と説得。果ては、日曜日には路線便が動かず、福岡・鹿児島間、往復十時間の道のりを自らトラックを走らせたことなど、立ち上げの苦労を語りました。

 この間の九州の取り組みを総括した村尻勝信ネット代表は、「組織が小さいとなかなか未知の分野に飛び込めないが、長年の経験の延長線上で考えていたのでは全国的な動きから取り残されてしまう」とのべ、全国の進んだ経験に学ぶことと、まず自分の生産物をつかむための生産物調査の重要性を指摘しました。

 ライフエリアを守るために、仙台市内の「西多賀商店街振興組合」と共同で開店した「ふれあい農民の店」の取り組みを紹介した、宮城産直センターの鈴木弥弘氏は、行政からの助成や中小企業診断士のアドバイスを受け、荷揃えや残品ロスの改善など安定した常設店経営への努力を報告しました。

大資本に対抗できる流通作ろう

 討論のまとめで産直協齋藤敏之事務局長は、すべての発言が、確信に満ちたもので、それぞれの地域の農民と自治体から大きく期待されている取り組みに発展していること。
 市場との懇談では、どの市場も計画的な安定出荷を望んでいるなど、圧倒的多くの消費者は国産物を願っているが、それが、大手流通資本に牛耳られ、消費者のところには十分に届けられていない。
 だからこそ、卸や小売店と共同し、大手流通資本に対抗できる自らの流通ルートを作る運動を急がなければならない。
 そのためには、新聞「農民」で展望を語り、農民連を大きくすることが、不可欠の課題だと強調しました。
 さらに、インターネットによる生育出荷情報システムの完成を初め、ブロックや県単位のネットの結成も進んでいる。その仕組みを生かすには、生産者一人一人の生産物調査を確実に進めることが重要だと結びました。

 なお、総会には小林節夫農民連代表常任委員と上山興士全税関委員長が来賓挨拶しました。

(新聞「農民」1999.6.21付)
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1999年6月

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