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遺伝子組み換え食品やブレンド外米、塩素系農薬も分析できるように

機器整備緊急2000万円カンパを

農民連分析センター 石黒所長に聞く


三年間で分析数は八百件に

 ――分析センターができて満三年。ずいぶん大きな成果をあげましたね。

 石黒 みなさんのご協力で、この三年間で約八百件の分析を行いました。
 輸入の米、小麦、有機大豆、野菜、果物などの残留農薬を告発するとともに、国産の農産物の安全をチェックし、農法の改善に役立つことができました。
 有機農産物の表示が問題になっていますが、輸入農産物とたたかい、大スーパーの流通支配とたたかっていくうえでも、分析センターの役割はいっそう重要になります。

表示もされず年間500万トンも

 ――今後は、遺伝子組み換え食品や塩素系農薬の分析が求められていますね。

 石黒 ええ。いま遺伝子組み換え食品が表示もされないで、年間五百万トンも輸入され、国民の間には不安が急速に高まっています。
 イギリスで遺伝子組み換えジャガイモをネズミで試験したところ、ガン症状など免疫力が低下したり、アメリカでは殺虫性の遺伝子を組み込んだトウモロコシの花粉で蝶が死ぬことが明らかになっています。
 食品分析センターにも、「遺伝子組み換えの判別はまだできないのか」「一日も早くしてできるようにしてほしい」という強い要望が寄せられています。
 一方、宝酒造が昨年四月から始めた遺伝子組み換え判別試験には商社、生協などから千百件を超える依頼が殺到しているそうです。
 農民連も、急いで設置して、国民の期待に応えたいと思っています。

高価だがぜひ設置したい機器

 ――遺伝子組み換え食品は正確に判別できるのですか?

 石黒 「PCR法」といって、遺伝子を増幅して電気泳動で判定するんですが、一%の混入でも判定できます。一式、五百万円あれば整備できます。
 また、この装置を使えば外米がブレンドされているかどうかもチェックできますから、大きな力になると思います。

 ――塩素系農薬の分析については?

 石黒 現在、有機りん系などの農薬やマンネブジネブなど八十六種類の農薬の分析ができます。
 しかし残念ながら、DDTやBHC、キャプタンなど塩素系農薬は分析の機械がないためできません。
 分析には、電子捕獲型のガスクロマトグラフ装置(五百万円)が必要で、ぜひ設置したいと思っているところです。
 すべての農薬を分析してほしいという要望が、消費者からも農民からも強くでています。塩素系農薬は登録抹消されるほど毒性が強いものもあり、一日も早く設置したいと思っています。

今秋までには実現させたい

 ――二千万円特別カンパを訴えてから、どのくらい集まっているのですか。

 石黒 いままでに二百五口、五百六十万円集まっています。
 岡山県連からは組合員が拠出して四十四万八千円、神奈川の「消費者と生産者が手をつなぐ会」からは消費者から集めた三十五万円が寄せられたのをはじめ、農民連組織、産直センター、新婦人などの団体や、百人を超える個人から、カンパが寄せられています。
 みなさんの熱い支援カンパを受け取るたびに責任の重大さを痛感しています。

 ――これからの計画は?

 石黒 遺伝子組み換え食品と塩素系農薬の分析装置の導入は一刻も放置できない課題ですので、重要性をご理解いただき、八月の全国研究交流集会までにカンパ運動を急速に進めて、秋までには、何としても設置したいと考えています。
 全国のみなさんの絶大なご協力をお願いする次第です。

分析センターに各方面が注目

 ――いま、分析センターは何人でやっているんですか? 忙しすぎるのでは?

 石黒 確かに目の回るような忙しさですが、分析している藤田さん、八田さんは手順を考えて手際良く処理し、的確な結果を出しています。ちょっとでも疑問があれば、再分析するなどして精度を上げており、農民はもとより生協や消費者団体、マスコミなどからも注目されています。
 大学や生協の研究所の方が来所されたり、交流しています。今後も他の研究機関とも連絡をとっていきたいと思います。
 ぜひ、分析する材料を送ってください。また、独自に輸入品の分析をさらに行っていく予定です。
 分析依頼や情報、問い合わせなど、なんでもご相談ください。インターネットも開設しています。
 緊急特別二千万円カンパ運動への格段のご協力を心からお願いします。

二千万円カンパのおくり先
 郵便振替 00160-6-773542
 農民運動全国連合会食品分析センター

(新聞「農民」1999.7.5付)
ライン

1999年7月

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