「農民」記事データベース990705-411-13

還付金返還やめさせる

“余暇で農業やってるの”

税務署員の暴言に反撃/千葉


 年老いた両親が、田の見回りなど日常の軽労働を手伝い、土、日曜日は実家に帰って二反分の田んぼを耕す千葉県農民連組合員の吉野新一さん。吉野さんは、農民組合の税金相談会に参加して組合員になり、毎年十万円前後の税金の還付請求をしています。

 五月に「農業所得についてのお尋ね」が千葉東税務署から吉野さんに届きました。税務署に行くと「二十万円くらいの売り上げでは、事業所得として認められないので、損益通算はできません。過去三年分の還付金を返してください」と言われました。さらに、「余暇でやってるんでしょう。こんな赤字ならやめた方がよいのでは……。もう農業の方は雑所得ですから、申告しないでいいです」とまで言い、税務署が勝手に作成した修正申告書に署名・捺印を求めてきました。

 一人で税務署に行ったのは問題でしたが、さすが農民組合員。判は押さず、「農民組合と相談します」と、とりあえず税務署側が用意した修正申告書を受け取り、帰ってきました。
 さっそく吉野さんと県連、顧問弁護士の三者で対応を相談。(1)修正申告の意志のないことを伝え、申告書を返す(2)平成十年度の還付を早急に行うよう求める(3)税務署の言い分は「農業をやめろ」ということなのかどうかを確かめる、の三点で税務署に陳情することにしました。

 吉野さんは五月二十五日、県連の椎名正男委員長、小倉毅書記長と一緒に税務署を訪ね、「農業所得を修正する意志はない」と伝え、統括官に修正申告書を返上しました。
 税務署側は「農業をやめなさいとは言っていない。自家消費くらいということだったので事業所得としては認められないと言っただけ」と言ったことを認め、「農業者年金をもらうために形だけ経営委譲している場合もあるので、実態を確認するためです」と弁解していました。

 私たちは「こうした兼業農家が米を支えている」「余暇でやっているのではない。立派な農業所得だ」「日本の農政が、こんな農業経営に追い込んでいる。好んで赤字にしているわけではない」ことなどを訴えました。税務署側は「勉強不足でした。もっと調査・研究します」と席を立ちましたが、言い換えれば今後も同様の調査をより巧妙に進めるということです。
 アンテナを高く、機敏に、連携をとりながら丁寧に対応していくことが求められています。

 後日、電話で平成十年分の還付を支払うことを約束させ、税務署の不当なやり方を是正させました。

(千葉県連 小倉 毅/新聞「農民」1999.7.5付)
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1999年7月

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