「農民」記事データベース990802-415-02

税攻勢の強化に対応した税金要求で組織拡大の前進を


 今年も既に年度の半分以上が経過しました。税金の取り組みを年末や年明け待ちにせず、この時期に大きく前進させましょう。

 農業所得が低下しているもとで、大企業への大幅減税、銀行への六〇兆円の投入など、逆立ちした政治のもとで、国民負担の増大とともに、農家への税金の取り立てはますます激しくなっています。
 いま税務署は、コンピューター化により、職員がもっぱら「調査」に専念できる体制をとり、申告を受け付けた直後からの「よびだし」や調査が横行しています。しかも、これまで通常、三年間だった修正申告の押しつけを五年に拡大しています。

 特に重大なのは、これまで奈良県(大阪国税局)や千葉県(東京国税局)などでおきている農業所得の少ない兼業農家の所得を雑所得扱いにして、農業の赤字を給与所得から差し引く「損益通算」の否認です。これは兼業農家を還付請求から締め出すもので、断じて容認できません。各地の農民連組織は、当事者である組合員とともに反撃して跳ね返していますが、国税庁の方針として全国的に行われているものと思われ、みすみす還付請求を否認されている農家が多数存在していることが予想されます。

 「農業所得標準表」による課税方式を廃止する動きが全国的にすすめられていることも特徴です。税務署は「説明会」などを開き、これを機会に青色申告への加入を強引にすすめ、農家の中に「急に言われても困る」「どうしたらいいか分からない」などの不安が広がっています。

 新たに留意しなければならないのは、来年四月からスタートする第二の消費税といわれる介護保険です。
 農家(国保加入者)の介護保険料は、国保税に上乗せされて徴収され、その額は国保と同じように所得割、均等割、資産割(一部の都市を除く)によりますからうっかりできません。65歳以上の方の場合、保険料が五段階に別れ、減免の道もありますから、これも所得税の額だけで判断しないで対策をたてることが必要です。

 農民連は今、米の投げ売りを強要する農業つぶしの攻撃などと全力でたたかうとともに、八月二十四日から二十六日まで長野県飯山市で開催される「全国研究・交流集会」を節に、生産点での運動や新聞「農民」を中心にした仲間づくり運動を大きく前進させようとよびかけています。
 こうした運動の中で税金要求を位置づけ、研究・交流集会めざして取り組みを大きく広げることをよびかけます。

(1) 記帳簿を全組合員がもち、励まし合いながら記帳に取り組もう

 記帳をしなかったり、確定申告が近づいてから大急ぎで記帳したのでは正確な記帳や申告が出来ず、取り組みも組織内部だけで手一杯になってしまい、税金で困っているまわりの農家に手が届きません。今、各地で支部や班ごとに記帳簿をもとに領収書などを持ち寄って「中間計算会」や「しわのばし会」(領収書のしわをのばすという意味)が行われています。こうした取り組みを全国ですすめましょう。記帳簿をもっていない組合員には、記帳簿を普及し、記帳に参加してもらいましょう。

(2) 記帳簿をもって、農家との対話をすすめよう

 「標準」が廃止されようとしている今、一貫して実額による「収支計算」で「自主計算・集団申告」をすすめている農民連の出番です。
 税務署は、標準が廃止された後には、「どうしてもという人には課税標準を用意する」といっていますから、とんでもない税金となり、住民税や国保、来年四月からスタートする介護保険料にも跳ね返りますから大変です。
 この時期に広範な農家への宣伝や農民連主催の「税金相談会」の開催、新聞「農民」見本紙とともに記帳簿をもって対話をし、「農民連に入って今から記帳を」とよびかけましょう。

(3) 不当な税務調査には組織的で機敏な対応を

 人権を無視した不当な税務調査が後を絶ちません。頻繁な来署依頼も行われています。税務署のこうした動きには個人で対応せず、組織で相談して対応することが鉄則です。また、不当な攻撃は組織的に断固として跳ね返しましょう。最近は、税務署の税金取り立てが離農に直結する例が増えているだけに、組織内はもとより、広範な農家を不当な事後調査から守る取り組みは特別に重要です。
 最近は、私たちのたたかいもあって税務署は「集団よびだし」ができなくなり、署員の人海戦術による個人への調査を数多く行われています。アンテナを高くしないと税務署の動きがつかめません。全組合員がアンテナを高くし、機敏に対応できるようにしましょう。

(新聞「農民」1999.8.2付)
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1999年8月

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