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秋田で農業再生シンポ

農業関係者ら出席し超満員


 新農基法の成立で今後の農業のゆくえに大きな不安が覆いかぶさっているなかで、秋田農民連は七月十七日、秋田市のジョイナスで「21世紀、秋田の農業再生を考えるシンポジウム」を開催しました。百人の会場に百七十人が参加、準備した資料がたちまちなくなり、超満員で熱気ムンムン。

 元県農業試験場次長の阿部健一郎氏(現在・県農協中央会嘱託)が「稲作地帯に集落営農に補完された家族複合経営を確立するために」と題して基調講演。続いて「秋田の農業再生をどうすすめるか」をテーマにシンポを行いました。

 パネリストは、十文字型農業の実践で全国的に注目されている西成辰雄十文字町町長、地域自給運動に取り組み農協の地場農産物加工施設を作り、地域の食と農、文化の拠点「百彩館」を創設した元仁賀保町農協組合長の佐藤喜作氏(秋田のいのちと農を考える会会長)、稲作五ヘクタール、野菜一ヘクタール、施設ハウス三千坪の複合経営農家の伊藤久幸氏、県農民連委員長の佐藤長右衛門氏、アドバイザーとして阿部健一郎氏、コーディネーターは農民連秋田米づくり研究会会長の佐藤洋実氏。

 農業所得に占める稲作の割合が約七割と高い秋田の農家は、米価の下落とコメ輸入自由化によって深刻な打撃を受けています。阿部氏は、詳細な秋田県農業の分析にもとづき、「このまま推移すると、秋田の農業、農村は壊滅的な姿になることは確実」と指摘、「これを打開するにはすぐ手を打つ必要があり、自治体と農協の果たす役割が非常に重要である」と強調、「新農基法では、家族農業を否定しているが、むしろ集落機能と家族複合経営こそ、秋田の農業再生につながる。その一つの典型が十文字町の農業振興の実践である」と結びました。

 佐藤委員長は「生産者米価が一俵(六十キロ)二万円になれば、稲作農家は農業を続けていくことができる。ところが、政府、全中は、作況一〇〇を超えた分を一俵六百円で飼料や援助用に投げ売りしようという方針を決めている。絶対に許せない」と発言しました。

 会場には、自治体の農政部長、農業委員会会長、保守系議員、農協関係者、米集荷業者団体、消費者、市民など多彩な人々が熱心に討論しました。
 会場内では、遺伝子組み換え大豆に対抗し、地元大豆で作った仁賀保町産の納豆が販売され、たちまち売り切れとなりました。

 西成町長はシンポジウムで米投げ売り問題を知り、農民連に詳しい資料の提供を求め、「自治体として、重大な問題であり、さっそく県町村会で問題提起し、運動を強力に進めていきたい」と語っています。

(佐藤/新聞「農民」1999.8.2付)
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1999年8月

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