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環境先進国・ドイツを訪ねて

武藤幸子(新日本婦人の会東京都本部)


 私は六月二十日から八日間、ダイオキシン、廃棄物回避、環境政策をもち、実践しているドイツのフライブルク市、ケルン市、ボン市を訪問してきました。これは新婦人中央本部の「ダイオキシン・ごみドイツ環境視察」に都本部から私、全国から十五人が参加したものです。

 フランスのストラスブルク空港に着いたのが夜八時過ぎでしたが、ヨーロッパの落日は遅く、まだサンサンと太陽が照りつけていました。バスで国境を越え、ドイツのフライブルク市へ。車窓から見えてくるのは、平らな麦畑が一面に果てしなく広がっていました。
 米が主食の日本とは違い、小麦、ジャガイモが主食のドイツならではの風景…と納得できたのは、ホテルやレストランで毎食出される食事を見てからです。

 ドイツの食事は、パン、またはジャガイモ(細切りで妙めたり、つぶしてボール型にしたもの)、ハム、ソーセージ、チーズ、肉、そしてデザートはアイスクリームといった具合で、野菜料理は出てきません。出てきてもサラダくらいです。料理一人分の量はものすごく多く、日本人なら三人で一人分がちょうどよいくらいです。水は貴重品でビールよりも値段が高いのはびっくりしました。
 初めての海外への旅の私にとっては、食生活、食文化の違いとともに、自国の生産物を中心にした食生活を営々と続けているドイツの人たちの思いの一端を知る機会を得ることができました。

ムダ省き人間に優しい街づくり

 ドイツの街並みは、レンガ敷きの歩道、いたるところに木が植えてあり、広場では老若男女が自由にイスに座り、楽しそうに語らっています。ショッピングで街を歩いても疲れず、とてもほっとし、人間に優しい環境負荷の少ない街づくりがされています。
 デパートでも、広場の青空市でも、肉や野菜、果物などすべてが袋にいれず、売られています。サクランボを買ったところ、無造作に三角の紙袋に入れてくれました。ゴミは出さない、買わないシステムになっています。日本のパックした野菜や肉を思い出し、ムダなことをしているなと改めて実感しました。

 他国を訪ねて自国の良さを知る、とよく言われますが、本当にその通りです。日本は、春夏秋冬の季節がはっきりし、北海道から沖縄までの大地の恵み、農産物の品数の多さ、米を中心とした食卓の豊かさを持っています。そのことを思い浮かべながら、新婦人と農民連の進めてきた産直運動に確信を持つことができました。同時に、自国の農業も環境も守ろうとしない日本政府に対しての怒りがこみ上げてきました。
 日本の農業と食料を守るために、いっそう頑張らなければという思いを深くしてくれた私の初の外国旅行でした。

(新聞「農民」1999.8.9付)
ライン

1999年8月

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