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近畿ワイド特集(5)

兵 庫

阪神淡路大地震から5年


いま野菜直売でがんばる

西宮市の吉村さん/消費者の笑顔を励みに

 阪神淡路大震災で全壊の被害を受けた兵庫県農民連役員の吉村敏行さんと英子さん夫妻。痛手を乗り越えて西宮市で専業農家として新婦人との野菜産直に取り組んでいますが、直売も行い「新鮮で安心できる」と消費者からも喜ばれ評判を呼んでいます。

 直売所は毎週火・金曜日を除く五日間、午前十時から午後五時まで開店しています。英子さんは「もうけることより、喜んでもらえる」ことをモットーにして直売を行っています。わざわざ電車に乗って来る人など、常連客も増えています。

 直売を始めるきっかけは昨年七月、産直ボックスの箱詰をしている吉村さんの作業所に「野菜を分けてほしい」という消費者が訪ねてきたからです。作業所の一角にカゴの中に野菜を置き、無人販売をしました。口コミで評判が広がり、英子さんが直売に専念するようになりました。義母のことゑさんも協力しています。

 「生産者が直接売っているから、消費者も安心して買いにくるのでしょう。いいものを食べてもらいたい」と語る英子さん。英子さんは神戸新聞で「手かけぬ街中の直売所人気」と紹介されています。

 新婦人との田植えや稲刈りの交流を行ったり、市内の中学二年生を対象にした農作業の体験学習の場を提供したりして頑張っています。

(兵庫県連 湯原蓉子)


70回目迎えて朝市が好評!

県連事務所前

 兵庫県農民連が毎週土曜日に県連事務所(神戸市西区)で開いている朝市は、十一月二十日で七十回を迎えました。午前九時の開店を待ちきれずに買おうとする消費者が多く、好評を博しています。

 朝市は区画整理後、新事務所を開いたのを機に、地域の人たちと結びついた産直活動をしようと始まったもの、生産者自らが売ることを原則にしています。

 広い県の南端に事務所が位置していて、多くの生産者が参加しにくい状況です。それでも、岡山県に近い佐用町や南光町、上郡町から、また北の丹波から、淡路からもフェリー経由で参加されることもたびたびあります。

 事務所近くに建てられた市営震災復興住宅の高齢者が多く買いに来られます。花の需要が多いのが特徴。

 貸し農園で大規模に作っている定年した二人の方から「売りたい」と申し込みがあるなど、思わぬ広がりも生まれ楽しみです。

(湯原蓉子)


兵庫収穫祭に三千人が参加

 99兵庫収穫祭が十一月三日に行われ、約三千人が参加しました。

 実行委員長の菊本義治氏(阪神淡路大震災救援復興県民会議代表委員)が「米を輸入しながら一俵(六十キロ)六百円で売るような農政はダメ」とあいさつ。その後、沖縄の歌や舞踊、オカリナ演奏、阿波踊り、クイズと多彩なステージが繰り広げられました。

(兵庫県連 植村一郎)


農民連訪ねて「百姓やりたい」

農業大学出た伊勢さん

 農業をやりたいという伊勢一行さん(40)が兵庫県農民連の事務所に十月下旬、訪ねてきました。明石市の伊勢さんは脱サラで県の農業大学に通い、終了。まだ、農地は持っていませんが、話を聞くと、農業に励む決意がヒシヒシと伝わってきました。折しも、十一月三日開催の99兵庫収穫祭の手伝いから当日は焼きそば売りに奮闘しました(写真)。

 伊勢さんは、まだ実習が必要ということで、生産者を訪問して話を聞いたり、作物を観ています。

 伊勢さんと同じ農業大学で知り合った九州出身の山口順治さん(25)も収穫祭に加わり、さわやかな風を吹かせてくれました。山口さんはアルバイトをしながら、畑を借りて花の苗を育て、県連の朝市でも販売しています。

(湯原蓉子)


広がった大豆畑トラスト運動

応募数予定の三倍以上に

県内六カ所で活発な取り組み

 兵庫県では、ことしから大豆畑トラスト運動を農業・食糧・健康を守る兵庫県連絡会(兵庫食健連)が、新婦人と一緒になって取り組みました。

 大豆生産地は、加美町、南光町、明石市、赤穂市、加西市、神戸市西区の県内六カ所の農民連会員らが引き受けました。消費者の安全な食糧にたいするニーズは強く、当初目標の二百人の三倍以上七百人の応募がありました。

 消費者が十坪分に三千円を出資してオーナーになり、希望する四コースの中から品物を受け取ります。Aコースは、大豆トラストで採れた大豆四〜五キロ、Bコースは、味カイ二キロ+黒豆二百グラム、、Cコースは、醤油1リットル二本+黒豆二百グラム、Dコースは、黒豆八百グラム。

 ことしは初めての取り組で、食健連の幹部が一部地域で草取り、大豆の選別作業に参加した以外は、交流や援農、収穫祭もできずじまいでした。

 ことしとれた大豆や黒豆が年末までに届くようスラトスパートの仕事が山積しています。ことしの大豆では醤油は間に合わないので、他県の製品を送ることにしています。

 大豆畑トラストが好評な原因は、「安全な国産大豆を欲しい」という消費者の願いにぴったりしているからで、新婦人会員だけでなく、「安全食品連絡会」「保育運動連絡会」といった新しいメンバーがチラシを見て申し込み。産直事業をしている「シャニープラン」という会社も応募者を募って参加してきています。

 来年からは、大豆トラスト運動本来の生産者と消費者の交流、農業体験、学習会、収穫祭などにも取り組めるようにすすめたいと思います。

(湯原 蓉子)

(新聞「農民」1999.12.6付)
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