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和歌山県知事選に立候補して

地域住民の願いの切実さ

中津 孝司


 全国の仲間のみなさん。十月十四日の告示から十七日間の和歌山県知事選挙では、みなさんの物心両面にわたる温かいご支援とご声援に支えられて、たたかいぬくことができました。心から厚くお礼を申し上げます。私に託して頂いた八万県民の方々の「思いや願い」の重みは、日を追うごとに高まっています。

 出馬要請があった時、真っ先に相談したのは、家族(妻、長女と彼氏、次女と夫)でした。家族からは、「お父さんがいままで培ってきた農民組合での運動からしても、出馬の要請をうけるべきだ」と激励され、本当に嬉しかったです。九月四日の出馬の記者会見から約二カ月間、短く感じましたが、その感じたいくつかを紹介します。

 和歌山市には、二百三十五億円の県民の税金を使って建設した「ビックホエール」という多目的建物があります。子供バレーボール協会の役員の方は「大会開催のために借りにいくと、一日三十五〜四十万円いるというんです。割り引きしてほしいと言うと、”割引制度はない”と言われた。無料にしてくれといっているのではないと何度も要請したけど実現できなかった。もうワシ、町県民税払う気がしないわ」と主張したと言います。県民には冷たく、大手建設会社には温かい政治が行われていることを実感しました。

 紀南地方で多大な被害を引き起こしている「梅の立ち枯れ」問題では、現地を案内してくれた農民連組合員から「やっと息子に農業を継いでもらおうと思っていた矢先、梅の立ち枯れが発生して、その思いや夢が潰されてしまった農家が多くなってきた」と聞き、涙が溢れてとまりませんでした。

 障害者のみなさんとの懇談の時、「各市町村が発行する福祉タクシー券を、県内のすべての市町村で使えるようにしてほしい」という要求が出されました。和歌山市発行の福祉タクシー券は、和歌山市だけしか使えません。この話を聞き、これこそ県政がやらなければならない仕事だと思いました。「障害者が守られてこそ、県民の暮らしも守られる」と何度も繰り返し言われたことも印象的でした。

 選挙本番中は、走りまくり三千キロにもなりました。

 農民組合では、各地域で開催される会議で知事選挙が大きな話題になり、どの会議でも「なかちゃんのことほっとけやん。カンパみんなでだそうやないか」とたくさんの人がカンパをしてくれました。

 選挙が終わるやいなや、現知事(西口勇氏)は、和歌山市の雑賀崎沖の埋め立て、橋本市の産業廃棄物処理問題、梅の立ち枯れの対応などを言い出しています。これは、今回の知事選挙をみなさんとたたかったからです。しかし、これらの課題を根本的に解決する方向を示さず、また原発建設と同和問題には全くふれていません。たたかいは、これからも続くでしょう。

 私自身、県民のみなさんの切実な「思いや願い」を、これかも農民連や色々な活動の中で生かし、「ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会」の一員としても努力を続けていく決意です。

(新聞「農民」1999.12.6付)
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1999年12月

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