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農民連第12回大会決議案

一九九九年十二月十日農民連常任委員会


 この十年間、農民連は、運動でも組織の強化でも、大きな前進をしてきました。農民や農業団体だけでなく、消費者や流通業者、自治体からも農民連への期待と共感は、ますます高まっています。

 WTO(世界貿易機関)閣僚会議が決裂し、何の方向も打ち出せずに終了したことは、WTO協定の改定が世界の流れであることを示しました。WTO協定の改定をめざす運動も、大きな転機を迎えました。

 二〇〇〇年の今年、農民連の十一年目の新たな歴史の一歩を、「ものを作ってこそ農民」「みんなで語ろう、もの言う農民」「農民の苦悩あるところ農民連あり」を、新たな気持ちで心に刻んで、勇躍して踏み出そうではありませんか。


I. この一年のたたかいで確信になったもの

 この一年間の運動の特徴は(1)全国の組織が一丸となって、新聞「農民」号外の大規模な活用と新聞「農民」を先行した仲間づくりの活動に取り組み、農村に変化を起こし、世論に影響を与えたこと、(2)流通の変化に対応する運動など重点課題として探究した運動の各分野で前進したことです。

1.新聞「農民」は、農村に変化を起こし、世論に影響を与えた

 「米の関税化」はどうしようもなかったのか。自民党は全中を巻き込まなければできなかったし、あきらめているように見える農民も心の底には怒りを持っている。数十万の新聞「農民」が普及されていたら――こういう痛恨の思いから、広範な農民に徹底して真実を知らせ、ともにたたかうことを呼びかける武器として、新聞「農民」を先行した拡大に全力をあげることを第十一回大会で誓いあいました。

(1)年間四回、四百万部を超える号外の配布と対話・懇談は、世論と農村に変化を起こした

 一年間で四回の新聞「農民」号外を連続的に発行し、ほぼ全都道府県でいっせいに宣伝・配布・対話・懇談が行われ、のべ四百万部を超える活用がなされました。

 豊作分の米を一俵六百円で投げ売りするという悪政とのたたかいは、特筆すべきものでした。

 とくに七月に発行した「一俵六百円問題」の号外は「そんな馬鹿なことがあるはずがない」という農民や農協・農業団体の声を一カ月たらずで大きな怒りに変え、農民連の提案への共感が広がり、二週間たらずで数万の反対署名が寄せられました。保守王国・北陸四県の農協中央会が連名で政府と全中に意見書を上げ、東北や埼玉などからも反対の意見が出されるなど、全国的な影響を与えました。

 消費者の食糧・農業に対する関心が大きく高まるなかで、食健連とともに進めてきたグリーン・ウエーブの運動も全国キャラバンや収穫祭など多彩に取り組まれました。「一俵六百円問題」の新聞「農民」号外の大宣伝とあわせて、農村の変化と国民世論の高揚をつくり出してきました。

 全国が一つになって真実を粘り強く知らせて対話・懇談を進めれば、驚くほど早く共感と共同が広がり、一歩一歩政府を追い詰め、反撃の包囲網を広げて行くことができるという確信をもつことができました。

(2)新聞「農民」の自主目標達成に向け本格的に奮闘する県連が広がり、過去最高の増紙に

 昨年は、新聞「農民」を先行した仲間づくりが全国的に取り組まれ、三十九都道府県が増紙し、過去最高を記録しました。

 目標を達成した秋田県連をはじめ、自主目標達成に向けて本格的に奮闘する県連が広がり、「決めたことをやりきる組織」に自ら変革する努力が開始されました。この努力は、県連役員と会員、専従者の団結を促進しました。

 とくに比較的小さい県連の奮闘が目立ち、奮闘すれば短期間に前進できる条件がどこにもあることを示しました。

 支部・班が県連・単組の役員と一緒に活動することもはじまりました。意義を議論するだけでなく、実践的な意志統一をしたことによるものです。

 全国連や県連が生々しいニュースで、方針と活動の中身を知らせたことが、奮起を促し、活力を与えました。

 また、地域で自民党支持の中心になっている人、首長や議長、農業委員会会長、単位農協組合長などが続々読者になったり、読者が読者を拡大したり、読者が会員に加入するなどの広がりをつくり、数々の感動的なエピソードを生み出しました。

 「ニセ新米」問題で米穀業者が分析試薬とともに新聞「農民」の講読を申し込んだり、遺伝子組み換え問題などに注目する消費者の講読も増えています。

 「一歩踏み出せば、農村の変化に実感」「気軽に購読をすすめれば、断る人はほとんどいない」情勢にあることが全国の確信になっています。

 この運動は、宣伝・対話・懇談の行動と相まって、地域農業・地域経済の再生を願う自治体や農業委員会、単位農協との共同を進める条件を大きく前進させました。

2.ものを作る運動、流通の変化に対応した運動

(1)ものを作る人を増やす運動が始まった

 農民連は、ものを作る人を増やす運動を、総自由化とアメリカの食糧支配とたたかい、国民の強い要求である食料自給率向上を現実のものにする運動の根幹に据えてきました。

 和歌山、埼玉、茨城などで進んだ取り組みに共通しているのは、事業の困難を運動で切り開くという観点をつらぬいたこと、「ピーマン一株運動」など実態にあった生産で、ふところ具合も良くなる提案をし、会員とともに本腰を入れてまわりの農民に広く訴えたことです。

 今日の情勢は、この運動を一刻も早く全国的な取り組みに発展させることを求めています。

 日本列島三千キロの条件を生かし、地域を基礎に豊富な農産物を大いに作って、流通業者、消費者との共同を前進させるならば、日本の食糧と農業の発展に新たな展望をつくり出すことができます。

(2)流通の変化に対応する運動

 関東・東海・近畿・九州などで、卸・仲卸・小売業者などとの共同を進める運動を点から線に発展させてきました。卸売市場で農民連コーナーを実現し、農民連マークのシールもできました。これは生協や新婦人産直、直売所、学校・病院給食など、これまでの多様な産直運動にも大きく寄与することになるでしょう。

 東北・北海道ネットが米穀業者にブロックとして、組織的に粘り強く働きかけた運動が前進しました。

 ブロックネット、県ネット、全国ネットがこれらの運動の発展に呼応して前進しました。

3.分析センターが食品の安全を願う国民の共同の財産に

 新聞「農民」のキャンペーンなどで、日本型食生活の基礎になっている大豆や、飼料・お菓子などの原料になっているトウモロコシなど、すでに大量の遺伝子組み換え食品が出回っていることに不安を抱く消費者・女性団体からの要望が高まり、農民連食品分析センターに遺伝子組み換え分析機器が導入され、活動を開始しました。

 全国の消費者・農民からのカンパや専門家の力の結集によるものであり、食品の安全を願う国民の共同の財産です。

4.税金などの運動

(1)自主申告とノートの記帳

 農民連の税金闘争の基本である「売り上げはごまかさず、経費はチリ一つ落とさない」方針を守り、記帳ノートをしっかりつけていたことが、激しくなった徴税攻勢を跳ね返す力になったという経験が広がっています。

 国税庁は「標準を主、収支計算を従」というやり方から、「収支計算を主、標準を従」の申告方式に切り換えるとしています。

 農民連の記帳ノートは、税務署も認めざるをえないほどのものです。自主申告が権利であることを話し、共に立ち上がることをすべての農民を対象に呼びかけることが求められています。

(2)固定資産税・相続税の軽減と生産緑地対策

 全国的な交流をもとに、農畜産物の生産実態にあった固定資産税に見直させる運動が、大都市圏だけでなく地方でも進みました。畜産・ハウス施設を農地並みに扱うことや生産緑地の申請条件の緩和をかちとりました。

 農地の固定資産税は農業の実態からますますかけ離れて高くなり、相続税にも連動しています。その軽減をめざす課題は、三大都市圏に限らず全国の県庁所在地などでも農業を続けられるかどうかにかかわる問題であり、今後最も重視すべき課題の一つです。

(3)農民連民宿部会の結成

 九九年の全国研究・交流集会を成功させる課題の一つとして、長野県連と全国連が力を合わせて県農民連民宿部会を結成しました。

 観光大資本、大手ゼネコンの横暴や地域環境の破壊を許さず、地域農業・地域経済と自然環境を守り、国民がゆったり、楽しく、地方文化や農業にも親しめ、子どもの教育にも貢献できる真のグリーン・ツーリズムをめざす一歩となりました。

 いま各地でこの運動に呼応する民宿部会の準備が進んでいます。

(4)土地改良にかかわる課題

 土地改良にかかわる問題が全国で発生し、たたかいの模索が進められています。転作問題などに関連して従来以上に重要性を増しており、取り組みを強めます。

(5)環境問題など地域で起こる深刻な課題

 東海村で起きた臨界事故、ダイオキシンなどの公害・環境問題、産業廃棄物の不法投棄などに対する抜本的な対策を求める運動に取り組みました。

(6)介護保険問題

 介護保険問題では、他団体と共同した学習会や女性部での学習会を進めました。保険料納入の延期などはありますが、「保険あって介護なし」の制度はそのままであり、福祉目的税と称した消費税引き上げのたくらみもあり、今後いっそうの運動が必要です。

5.国際交流

 「WTO協定の改定を求める国際シンポジウム」(仮称)をめざし、全国食健連、農民連、全農協労連、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会(AALA)が事務局となって取り組まれた国際交流は大きな成果をあげました。

 イタリアのNGO(非政府組織)、アメリカ・韓国の農民組織と交流しました。WTO協定のもとで、輸出国・輸入国ともに、政府が多国籍企業や大企業の利益を守って、農民の大半を占める家族経営に生産費を割るような低農産物価格を押しつけていることがわかりました。

 各国で起きている離農の増加、農村の荒廃、農業危機の進行の根源にアメリカ主導のWTO協定があり、WTOノー、WTO協定の改定を求める――これが世界の農民組織とNGOの流れです。WTO自身も、このNGO組織の声を反映させるよう各国政府に求めざるをえなくなっています。

6.十年間の教訓をまとめた「学習テキスト」の発行と学習運動

 農民連の運動と組織にかかわる経験と教訓を、全国の一人一人の仲間のものにすることが、飛躍するために必要でした。

 農民連結成十周年を記念して発行された「学習テキスト」は、歓迎をもって受け入れられ、すべてのブロックで学習会が行われました。県連や単組、支部・班の会議、産直組織の会議などでも議題に関連した章を読み合わせして討議に生かすなど、学習運動に活用されました。

 これは、徹底した討議、決めたことをやりきる組織への構えをもつうえで大きな役割を果たしました。


II. 今日の情勢の特徴

1.食糧・農業をめぐる情勢

(1)世界の流れを示したWTO閣僚会議の決裂

 WTO協定は、アメリカなどの大国と多国籍企業の利益を最優先する弱肉強食の協定です。とくに農業協定は、各国の農業生産を発展させる政策をとってはならないことまで決めています。

 二〇〇〇年から新しい交渉の開始を宣言するはずだったWTO閣僚会議の決裂は(1)アメリカと多国籍企業の利益を優先するWTOの枠組みを強化するという思惑に対し、WTO加盟国の八割を占める途上国とNGOが立ちはだかったこと、(2)とくにアメリカや財界が進めている農業政策が世界の本流ではなく、食糧主権を認めよの声が世界の大勢であることを示したものです。

 会議の決裂は決して偶然ではありません。これは大きな転機になるし、しなければなりません。

 「WTOノー」の声を強めている世界の農民やNGOとの交流が大切になっています。

 同時に、何よりも必要なことは、アメリカの言いなりになって、「協定の枠組みを維持する」ことを基本方針にしている日本政府に対するたたかいです。

(2)自給率向上と新農基法は両立しない

 新農基法は、WTO協定を国内で忠実に実行するためのものです。

 その内容は(1)総輸入自由化や史上最大の減反を押しつけ、(2)大商社・スーパーの買いたたきを「市場原理」と称して野放しにする、(3)価格保障には農業予算の一割しか使わず、EUやアメリカ並みの価格保障をしようともしない、(4)さらに二〇〇〇年の通常国会でナタネ、大豆、加工乳の価格補償制度を廃止する、(5)そのうえ株式会社の農地取得も認めるというものです。

 政府は、認定農家や法人に優先的に援助するといっていますが、生産費に見合わない程度の援助ではやっていけません。むしろ、急速な離農と縮小生産に追い込まれることは必至です。

 新農基法のもとでは、食料自給率の向上も安全な食料の供給も実現できません。国民の七割が輸入食品に不安を持ち、八割あまりが国産の農産物を求めていることに示されているように、国民の要求と世論は明らかです。これに真っ向から対立して、行き詰まるのは政府です。自民党と政府に全中が追随しつづければ、農協組織が農民から見放されることは明らかです。

2.自自公政権の横暴とのたたかい

 自自公政権は、戦争法、盗聴法、憲法調査会の設置など「戦争をする国づくり」に向かってひた走っています。しかし、これに反対する国民的な運動はかつてなく広がり、発展してきました。

 年金改悪法を国会で成立させなかったように、自自公政権の数の横暴も、国民的な運動による世論と野党の結束が結びつけば、押しとどめることができる情勢です。

3.強大な農民連が求められている

 これまでの運動でつくり出した有利な条件と教訓に確信をもって、大宣伝、対話・懇談を徹底して進め、世論と農村の変化を強めることが求められます。

 WTO協定の改定も、新農基法の改正も、国民的な課題の解決も、国の政治のあり方と不可分であり、根本的には、政治を変えることが決定的です。

 そのためには、一刻も早く強大な農民連の建設が必要です。


III. 今年の運動の基本と重点

1.運動の基本

(1)要求にもとづく運動と政治の転換

 切実で多様な要求をもとに実利を実現し、営農と暮らしを守る運動と、政治の転換という二重の取り組みを進めます。

(2)運動を進める原点は要求にある

 多様な要求を地域全体の視点から取り上げ、要求にかかわる農民とともに実現しよう。

(3)全国いっせいの運動を重視し、これまでの全国の到達した運動に学び、決めたことをみんなでやりきるまで奮闘しよう

(4)農業と農村を愛し、農業にまじめに取り組んでいるすべての農民、農業団体はもとより、日本と地域の農業と食糧の将来を心配する広範な人たちの中へ積極的に入り、対話・懇談を進めよう

2.運動の重点

(1)物を作る人を増やし、多様な産直運動と市場との共同を進める運動

 (1)作らなければ、その分輸入が増えるという状況のもとでは、物を作ること自体がたたかいです。苦悩している農民に、農民連の切り開いた運動を知らせ、共に作り続ける仲間になることを膝をゆすって訴えよう。

 (2)多様な産直運動を地域の運動と力量の水準に応じて発展させ、卸・仲卸・小売業者との共同を粘り強く、全国的な規模に発展させよう。

 (3)すべてのブロックでブロックネットを立ち上げるよう、具体的に足を踏みだそう。県ネットの立ち上げにも努力しよう。

 (4)全国ネットを生かし、年間を通じて豊富な農産物の供給と助け合いを進めよう。

(2)WTO協定の根本的な改定を求める運動

 「食糧主権を尊重せよ」「食品の安全性を守れ」「WTO協定から農業と食料をはずせ」が世界の大きな流れになっており、WTO協定の根本的改定を求める運動は、有利な転機を迎えています。まさにたたかいはこれからです。

 二月二十・二十一日に東京で開催する「国際シンポジウム」は、こういう世界の流れと力を実感し、農民や農業関係者だけでなく食糧・農業・環境・飢餓などを憂えるすべての国民を励ますものとなります。逆に日本政府には手痛い打撃になるでしょう。日本からの発信は、多くの途上国や世界の農民への励ましにもなるでしょう。これからの国際交流発展の発火点でもあります。成功に全力をあげましょう。

 この成果を世論にするため、全国的な運動を展開します。

(3)多様な要求運動を進め、多数者の結集を

 産直運動や税金の自主申告の運動とともに、固定資産税・相続税、土地改良、線下補償、グリーン・ツーリズム、産業廃棄物・ダイオキシン問題、鳥獣被害、森林を守る課題、民俗芸能・地方文化の伝承にかかわる課題など、多様な要求運動を進め、農民の多数者結集を進めます。

 政府の原子力政策の抜本的改革を求める運動を進めます。

(4)全国食健連などとの共同行動の強化を

 全国食健連との共同行動を従来にもまして強めます。また、日本の食糧・農業・自然環境の将来を憂えるあらゆる個人・団体とのつながりを求めて活動します。

3.農業再生へ――さしあたっての農民連の要求

(1)外米の輸入を減らせ

 豊作になったら国産米を投げ売り処分――という逆立ちしたやり方をやめ、いらない外米の輸入をやめるか、食糧不足の国へ援助に回すべきです。隣の韓国でもやっていることが、なぜできないのでしょうか。

(2)大資本の買いたたきをやめさせろ

 米の買いたたきをやめさせるため、「過剰」米を政府が買い支えること、自主流通米の値下がり野放しの制度(値幅制限撤廃)を元にもどすことを強く要求します。

(3)緊急輸入制限を発動せよ

 WTO協定で唯一よい点は、輸入が増えて国内の生産が危うくなったら、緊急に輸入制限が発動できることです。

 アメリカでも韓国でも、緊急輸入制限(セーフガード)を発動していますが、日本はショウガ、ニンニクなどがどんなに深刻になっても、ただの一度も発動し

ていません。こういう自民党政府の態度を改めさせることこそ必要です。

(4)農畜産物価格の下支えを

 世界の主な国は、農業を大事にして食料自給率を引き上げるために努力しています。そのために、主な農畜産物の価格保障をいろいろな形でやっています。

 価格保障は食料自給率を引き上げる一番確かな道です。銀行に六十兆円も出したり、ゼネコンのための公共事業偏重の政治を変えれば、その何百分の一でできることです。

(5)家族経営を基本に、担い手を育て、条件不利地域に手厚い補償を

 規模拡大一辺倒の政策を改め、画一的な補助の押しつけではなく、地域の実情や当事者の自主性を尊重した政策に切り換えさせましょう。

 中山間地、離島、遠隔地などの農業生産の振興と農家の経営の安定に役立つ条件不利地域対策の実現を要求します。

(6)国家的サギ行為、農業者年金の改悪に反対してたたかう

4.自治体への提案と働きかけを重視しよう

 要求運動をもとに、自治体に具体的な提案をし、粘り強く働きかけよう。とくに、地域農業全体の視点や農民の自主性を生かした地域的な営農の助け合いの視点で、共に地域農業再生の探究を進めることを呼びかけ、行動に率先して参加しよう。

 農村の生活環境の改善で若者が住みやすくし、介護保険などの改善で高齢者が安心して暮らせる農村をめざした共同も強めよう。

5.国民的な課題と政治革新

(1)国民的な課題

 「戦争をする国づくり」「国民の暮らしを根底から破壊する攻撃」を進める自自公政権に、国民大運動実行委員会などとともに反撃のたたかいを強めます。

 戦争法の具体化、社会保障・福祉の切り捨て、消費税の引き上げ、公共事業中心の政策などに反対するたたかいを進めます。

 また、多国籍企業のための日産のリストラなど、政府が主導する大企業のリストラとたたかい、地域の生活圏を守る運動、地域の振興のために努力します。

(2)自民党型政治・農業破壊を続けさせない総選挙のたたかい

 (1)いま、農民は対話のなかで「政治を変える以外にない」と共通して言います。

 今年の総選挙の課題は、自民党型政治を続けさせないためのたたかいをすることにあります。参院選挙で野党が勝利したにもかかわらず、国民の願いは裏切られました。野党の中軸になって自民党政治と対決し、国民のための対案を出してきたのは日本共産党でした。こういう教訓を生かして日本の国づくりと食糧・農業の発展のために、政党を見きわめることが求められています。

 (2)いま、大いに政治を語ることが大事です。革新三目標を掲げ、一つでも一致できるならば共同を広げようという革新懇の組織と運動に参加しよう。とくに、地域革新懇づくりに積極的に取り組もう。


IV. 農業と農村の夜明けは、農民連の強化・拡大にかかっている

(1)情勢を一気に変えることができるとき、すべての農民を対象にした大志をもった拡大運動を

 新聞「農民」の読者を圧倒的に増やすことは、運動や組織の強化の土台です。

 全国で数十万の新聞「農民」読者がいれば、農業と農村の夜明けを開くことができます。大志をもった目標を掲げ、全国的な前進を勝ち取りましょう。

 (1)農家の集まりで「詳しくは新聞『農民』を見てくれ」と話題になるほどの情勢です。消費者からも「面白くためになる」と購読の申し込みが増えています。

 農民連への期待は、われわれの予想をはるかに超えたものです。新聞「農民」を先行した拡大は、今がチャンスです。

 (2)誰にでも読んでもらえる親しみやすく、分かりやすい紙面づくりに努力します。全国の県連・単組・班からニュースを送り、みんなで新聞「農民」を作りましょう。

 (3)今の力量でさえ、農業団体や自治体からの期待が高まり、政府を脅かしはじめています。

 読者を会員に誘い、新聞「農民」の講読の訴えと同じように気軽に加入を呼びかけましょう。

 県内の空白をなくすれば地方政治での要求実現が進み、地域全体が農業再建に立ち上がれるほどの農民連が建設できれば、農業つぶしの政治は簡単には通らなくなります。

(2)団体加盟の方針を具体化し、計画的に取り組もう

(3)組織を作り変えるほどの気概をもって

 (1)全国の方針を真正面から提起して、方針や目標を役員会で納得できるよう討議を深め、支部・班にまで徹底できる組織に。

 (2)自主的な支部・班会議を開ける組織に。

 (3)多様な要求が会議に反映し、何に取り組むか、誰が受け持つか具体的な行動まで決める会議に。

 (4)方針や目標にもとづく運動の総括をし、決めたことをやり切る組織に。

 (5)女性部や青年部の活力を生かせる組織に。

(4)始まった学習運動を定着させよう

 運動や組織の改善、発展にとって学習は不可欠です。新聞「農民」を県連、単組、班の会議で活用しましょう。「学習テキスト」を大いに普及し、学習会とともに、会議の討論に生かすような活用をしましょう。

【終わりに】

 日本の食糧・農業の再生も、政治の革新も、奮闘すれば実現できるという、これまでにない歴史の転換期に入りました。

 会員一人一人が、歴史を変える農民としての自分の生きざまに誇りを持って、激動する二十一世紀の展望を切り開こうではありませんか。

 この大会決議案を班・単組の会合などで大いに話し合い、意見を寄せてください。また、まわりの農家や農業団体にも持ち込んで話し合いましょう。

(新聞「農民」1999.12.20/27付)
ライン

1999年12月

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