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生産者も市場も期待

この冬から野菜を市場に

福島須賀川・郡山農民連のよびかけで

関連/見事、日本農業パイオニア賞に


 福島・須賀川農民連と郡山農民連は、今年の冬から小松菜、ほうれん草、春菊の市場出荷を始めます。出荷先は、郡山市の(株)マルケイ青果市場。十二月一日、規格や運送・清算方法を決める目揃え会が市場で開かれました。市場関係者も「できるだけ地場のものを扱いたい。がんばってほしい」と期待を寄せています。

 須賀川農民連はこれまで、夏場のキュウリや米の市場取引はありましたが、冬野菜は初めて。冬の間、空いているキュウリや育苗用のハウスで作ります。組合員に呼びかけ約一ヘクタールの農地がまとまりました。

 生産者の中には、野菜づくりは初めての人も。「すっごい楽しみ」という真壁信幸さん(49)もその一人。真壁さんは今春、勤め先を退社し、実家に入って三十アールのキュウリ栽培を始めました。九十アールのタバコ専業農家、山田勲さん(52)も野菜に初挑戦。「農民連はいろいろなものを作っている人がいて、何でも教えてもらえる」と山田さん。

 先生役は、野菜作り二十年のベテラン、安藤虎雄さん(64)です。

 終始、にぎやかに行われた目揃え会。マルケイ青果の矢吹専務は、「市場もこれまでは、買いたたくこともあり悪い所があった。数量、規格がまとまれば値段も出る。農民連を大事にして、会員が増えるように応援していきたい」とエールを送りました。


入植…苦節50年超えて…

見事、日本農業パイオニア賞に

福島・二本松市 肥育農家の高野さん

 「農業つぶしに負けてたまるか」と意気軒昂、大いにがんばっている仲間がいます。私がヌレ子を売っている肥育農家の高野仁さん(43)は、先ごろ開かれた全国開拓農協などが主催する優良農家コンクールで見事、日本農業パイオニア賞を受賞しました。安達太良山麓の二本松市岳温泉にある、高野さんの牛舎を訪ねました。

 一九八八年、牛肉・オレンジの自由化が強行されてこの間、生産農家は激減し、牛肉の輸入量は、国内産の一・八倍の六十六万トンにもなっています。肉牛の肥育農家は、価格の低迷、借入金の増大、後継者不足、そして最近では、ふん尿処理の問題など、さまざまな困難を抱えています。

 高野さんは、一九四六年に父親の俊雄さんが旧満州から引き上げてきて入植。まさに苦節五十年の歴史でした。七六年に父親が急死、農業をやるつもりのなかった仁さんの新たな人生がスタートしました。「あの時は夢中だった。交通事故で入院した時、雪で牛舎がつぶれた時、いつも仲間に助けてもらった。本当に感謝している」と、仁さん。

 今回の受賞の対象となった経営内容は、飼養頭数は三百四十五頭、生後六日の子牛を酪農家から購入し、二十六カ月肥育して約七百キロで出荷。等級は、B―四以上を目指すというもの。そして何より、今年八月時点で、借入金はまったくありません。

 その秘訣をたずねると、「牛を飼うのは、自然体でしっかりした子牛を育て、十分食い込ませる。配合飼料だけで追わない。経営の面では、債務を一本化し管理する」とのこと。

 高野さんの話を聞いていて、随所に詳しい数字とともに、ほとばしる熱意が伝わってきます。現状に安住せず、常に前進、改革する姿は、たいへん共感を覚えるものでした。

(福島県連 佐々木健三/新聞「農民」1999.12.20/27付)
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1999年12月

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