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わたしたち遺伝子組み換え食品の分析に挑戦してみました

やっぱり出た! 栄養ドリンクから遺伝子組み換え物質

神奈川・消費者のお母さんたち

 「農家も消費者も共同して食料・農業を守ろう」「市民に開かれた分析センターにしよう」農民連の呼びかけに応えて、消費者のお母さんたちが分析サンプルを手に、農民連食品分析センターを訪問、みずから“遺伝子組み換え分析”にチャレンジしてみました。
(満川)


 分析に参加したのは「遺伝子組み換え食品情報ネット神奈川」のメンバー、北村節子さん、福島久子さん、入沢牧子さん。議会への請願活動などに精力的に取り組んできました。「反対するにしても、不安だというだけでなく科学的な確信があるということは大切ですね」と入沢さん。福島さんも「遺伝子組み換えといっても抽象的なイメージだったけど、自分で遺伝子を取り出して自分の目で確かめられたら、すごく見方が変わると思うんです」と意欲を語ります。

 迎えたのは、長年にわたって遺伝子組み換えの研究を行ってきた杉田史朗分析センター技術顧問と八田純人所員。遺伝子組み換えの安全性や問題点から、科学者の役割までおおいに語り合いながら、実験機器との格闘とあいなりました。

 三人が持参したサンプルはスナック菓子、栄養ドリンク用プロテイン粉末、レンジで温めるだけのシチュー。すべてスーパーなどで市販されているものです。

 農民連分析センターの分析方法は、「ベンゼルクロライド法」で細胞から遺伝子を取り出し、「PCR法」でその遺伝子に組み換え遺伝子が混ざっているかを調べる方法で、分析センターが独自に開発した方法だそうです。

 経験ゆたかな杉田さんに“手取り足取り”指導されながら、お母さんたちも試験管とスポイトを持っていざ分析開始。試薬を混ぜては撹拌し、また別の試薬を混ぜては遠心分離機にかけ…永遠に続くかと思われたいくつもの操作のすえ、DNAの抽出に成功! 試験管の中にモヤモヤと漂うまっ白なDNAを見て、「へー、DNAって糸くずみたいなんだぁ」「目に見えるものなんだね」と、お母さんたちも大感激です。

 最後にPCR法で電気誘導して実験は完了。二日間かかる行程を一日で終わらせようと急ぎ足で分析し、結果はもちこしになってしまったのが、お母さんたちも残念そうでした。

 でも待った甲斐があった! その後、八田所員が栄養ドリンク用粉末からトウモロコシの遺伝子組み換え(NOSターミネーター、35Sプロモーター)を検出したのです。十月の分析では遺伝子組み換えが検出されたポリンキーは、今回はシロ。こうした市民の分析運動が、企業の姿勢を変えたことも判明しました。

 お母さんたちは「実際に精製することで、細胞からDNAが取り出されるプロセスがよくわかって面白かったです」「楽しくできました。形としてどういうことか目で確かめられました」と感想を話していました。分析を指導した杉田さんも「生物の遺伝子は人類全体の共有の財産。一人でも多くの人に遺伝子組み換えを知ってほしい。ぜひ農民連分析センターを活用して」と熱く語っています。

(新聞「農民」1999.12.20/27付)
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1999年12月

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