新聞「農民」
「農民」記事データベース20040719-644-03

生産者との信頼関係築きたい

産地と直結、地域に根ざす がんばる米屋さん

“産地情報”の提供を検討


小売業界の活性化めざし新しい取り組みを進める

長谷部喜通さん

日米連 理事長

 三年前の理事長就任当初、「新生・日米連を立ち上げる」と宣言。「お米マイスター」制度をスタートさせるなど、米小売業界活性化の新しい取り組みを推し進めている日米連(日本米穀小売商業組合連合会)の長谷部喜通理事長。

 「お米マイスター」制度は、米の品種特性や炊飯特性などのお米屋さんが持つ知識や技能のほか、消費者との対面販売能力などを試験の上、認定するもの。「ベロを使ったトレーサビリティーと、対面販売を生かした商売の中にこそ、米屋が生きていく道がある」と同制度の役割を強調します。さらに、「米の流通が『米改革』で完全に自由になったもとでは“仕入れ”が重要になる」と、生産者グループや農協などが出荷する米の“産地情報”を日米連として提供することを検討しています。

 “産地情報”の提供は、日米連に加盟する東米商(東京都米穀小売商業組合)の取り組みが先行しています。東米商では、米の仕入れに関心を持ち力もある米屋さんで「情報提供委員会」を立ち上げ、産地の幹部を招いたり、産地視察を行ったりして得た情報や、産地からの米の販売メニューも提示して、産地と米屋さんとの結びつきを強化する構想です。

 「昨年八月以降、米屋に来る米がパタリと止まってしまう事態が起きた。農民連も長年取引してきたのに途切れてしまった産地もある。卸の事情もあったと思うが、東京では米屋さんの中で、残念ながら信頼関係にきずがついてしまった。信頼関係とは親戚関係。親戚関係を忘れ、価格に走った農家も少なからずいたなかで、それをまとめきれなかった組織の問題もあるのでは」と率直に指摘します。

 それだけに、「情報交換を通じて、農家は米穀店や消費者の要望を米作りに生かし、米穀店も販売に努力する信頼関係を築きたい」「量販店との競争ではなく、生産者を前面に出した売り方も必要。年に二〜三回、新鮮な野菜を消費者に届けてアピールするなど、アイディアで生活の道は開ける」と、産地との提携に期待します。

 「お米マイスター」制度では、三つ星マイスターに続き、今年はさらに高い能力を持った五つ星マイスターの試験も行います。五つ星には、ブレンド米「わざヒカリ」の統一名称の使用を許可して、味の良いブレンド米を確立、さらなる業界活性化を目指します。

(新聞「農民」2004.7.19付)
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