新聞「農民」
「農民」記事データベース20041018-656-17

カエルもバッタもとって大歓声

カマ持つ手も震え 稲刈りとったよ

東京の小学生100人が稲刈り体験 埼玉


豊かな自然にびっくり 急きょ今年の体験も

 秋晴れとなった九月十四日、埼玉県坂戸市にある原秀夫さんの田んぼに、東京都東久留米市立第九小学校の五年生三クラス百人が先生八人とともに訪れ、稲刈りを体験しました。 

 ほとんどの児童が初めてとあって、カマを手に恐る恐る稲を刈り取っていきます。順番に一人十株ずつ、待つ間は、カエルやバッタを捕まえたり。田園地帯に、歓声が響き渡りました。

 長年、堆肥を投入している田んぼには、カブトエビが大量発生するほか、シジミやナマズもたくさんいます。来春から、自然豊かなこの田んぼで、児童たちが田植えから収穫まで体験学習する計画です。

米卸の仲介で実現 県農民連から5人が協力

 子どもたちを受け入れた原さんは、「農業は生きるためになくてはならないもの。都会の子どもたちに、その大切さを知ってもらういい機会」と話します。百人もの児童を受け入れるとあって、埼玉県農民連から五人かけつけました。

 児童たちは、稲刈り後、集会所で昼食をすませて原さん所有のモミ乾燥施設に移動。自ら刈り取った稲束がコンバインで脱穀され、乾燥した後、玄米になる工程を見学しました。

 この稲刈り体験は、農民連の準産直米を扱う埼玉県の米卸、ピュアネットジャパン(株)の関根弘之社長の仲介で実現したもの。ピュアネットジャパンは地元のお米屋さんを通じて第九小学校に米を納入しています。

 同校ではこれまでも、お米屋さんの授業や、バケツ稲作りに取り組んできましたが、「総合学習で、子どもたちにどんな体験ができるか」と模索していた栄養士の白井ひで子先生が、関根社長に相談。そこから農民連に話が舞い込みました。

 先生たちは、来年から体験学習を始める予定で、下見のために原さんを訪問。ところが、カブトエビやシジミなど豊かな自然と、とても大きく、きちんと整とんされた乾燥施設を見て、急きょ社会見学を稲刈り体験に変更したそうです。

 関根社長は、「農家個人でこの人数を受け入れるのは大変。生産へのこだわりとともに、農民連のような組織だからこそ実現した。生徒が地方の農村で農家に分宿する林間学校などもやってみたい」と夢を語っています。

(新聞「農民」2004.10.18付)
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