新聞「農民」
「農民」記事データベース20100920-941-14

学んだ農法やってみるか

農民連青年部
学習交流会 in 長野

農業への理解、人とのつながり
多くの出会い、討論で大いに深めた

関連/感想 農業にやりがいを感じた

 「私の地元では、同世代の農業従事者が少ないために、若い人と話すことはないのですが、いろいろなところで試行錯誤しながら農業をしている同世代がいるのだと知り、自分もがんばろうと思いました」―農民連青年部は9月4、5の両日、長野県で学習交流会を開き、約60人が参加しました。自然豊かな北アルプスのふもとで、農家・非農家の青年たちは学習と交流を通じて、農業への理解と人とのつながりを深めました。


ブログ見た参加者など多彩

 新規就農者の経験を真剣に

 今回の参加者は、チラシをみて来た人、ブログやミクシーで知った人、環境保全型農業や生物多様性保護の取り組みを通して参加した人など多彩でした。

 参加者は最初に、松本市の自然農法国際研究開発センターに集合。農民連青年部の杵塚歩部長が「10月に名古屋市で開かれるCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)に向けた活動を強めるとともに、情報交換や技術交流を通じて交流を深め、成果を持ち帰って、地域の青年部活動を発展させよう」とあいさつしました。

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白毛餅の田んぼの前で「農業の未来はオレたち、私たちが担う!」

 同センターの石綿薫さんが、土づくりによって土壌の環境をよくする自然農法と、自然循環型の地域社会づくりをめざすセンターの活動を紹介。ほ場見学で、二毛作や連作など栽培上の工夫や苦労話に参加者は、自らの栽培や農法に生かそうと真剣に耳を傾けていました。

 次に、新規就農者が中心になって立ち上げた就農支援団体「信州ぷ組」代表の土肥寛幸さんが、営農6年目を迎えた自らの経験を語りながら、勉強会や新規就農者の間を結ぶ事業への取り組みを報告しました。就農まもない人も含めて、参加者は、土肥さんの話に共感し、うなずきながら熱心にメモをとっていました。

 白毛餅の出荷にいま1500人

 その後、辰野町のしだれ栗森林公園キャンプ場に移動し、6つの班に分かれてグループ討論。自己紹介も兼ねて、自然農法センターや「信州ぷ組」の感想を出し合い、自らの取り組みを交流し、意見交換を行いました。

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自然農法センターのほ場で石綿さん(左)から説明を受ける参加者=4日

 夜は、バーベキューで夕食と懇親会。各地から持ち寄られた特産物やお酒で交流を深めました。

 5日は伊那市に移り、上伊那の農家が先祖代々作り伝えてきた古代米で作った白毛餅(もち)のほ場を見学。稲穂がきれいにそろった田んぼを囲み、上伊那農民組合の中村新一さんが案内しました。

 最後に、1994年の設立以来、白毛餅を販売している「産直市場グリーンファーム」の紹介を小林啓治社長が行いました。現在では、1500人の生産者が出荷し、郷土の珍味や季節の野菜・果物が豊富な「グリーンファーム」を参加者は見学し、学習交流会を締めくくりました。


感 想
農業にやりがいを感じた

 山口県山口市の三原祐介さん(33)=米農家=

画像 自然農法センターのほ場は、自分がめざす農場の完成形の一端を見たような気がします。10年以上の研究を続ければ、それに近づけるのだと思うと、やりがいを感じました。2、3年後には、山口からも多数の参加者を連れて来られるようにしたいし、将来は地元で青年部をつくりたい。

 和歌山県岩出市の小林元さん(30)=露地栽培農家=と福岡県北九州市の日南陽子さん(28)

画像 (小林さん)ピースボートで世界を回っているとき、2人は出会いました。帰国し、何をしようか模索しながら9カ月間、国内を旅して、そこで見つけたのが“農業”という選択肢です。太陽の動きに合わせた生活で体のリズムがよくなり、家族も一緒に暮らしながら、遊休農地を耕していきたい。農という手段で生きることをチョイスしたみんなをカッコよく思います。将来は2人で一緒に農業を!

 群馬県上野村の村仲由佳さん(26)=山村留学学校の指導員=

画像 「信州ぷ組」の土肥さんのエネルギーがすてきだと思いました。“長野にもそういう人たちがいたんだ!”とうれしくなりました。「覚悟」するまでにはまだたどりつかないけれども、私もいつかは畑をやりたい。農民連が何なのか、まったく知らないままチラシを見ただけで参加しましたが、いまどきの若者がそれぞれに一生懸命に取り組んでいることを知りました。全国から同志が集まり、話をして、交流して、そこから広がったり、気づくことがあったり…、いいなあ。

 京都府和束町の林嘉人さん(27)=宇治茶生産農家=

画像 自然農法センターの石綿さんやみんなの話を聞いて、自然農法への考え方やイメージが変わりました。同じ気持ちをもってがんばっていこうとしている仲間がいることが、自然農法や有機栽培の方向に進んでいくうえでの心の支えと自信になると思います。これから自然の大きな可能性を見つけていくのが楽しみです。もっとたくさんの人たちと出会い、勉強して、つながっていくことが、これからの自分に必要だと感じました。農民連青年部のみんな、最高!

(新聞「農民」2010.9.20付)
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