新聞「農民」
「農民」記事データベース20121119-1046-02

野田首相TPP参加公言 総選挙濃厚

年内・年明け
審判下す絶好のチャンス


 野田首相が11月18〜20日に開かれる東アジア首脳会議でオバマ大統領に対し、TPP参加を表明する危険性が高まっています。9〜10日の読売、朝日など主要紙は、野田首相がTPP参加問題を争点に年内解散に踏み切ることを検討していると報道。野田首相は10日、「TPPや日中韓FTAなどを同時に追求するのが基本姿勢だ。それはマニフェストに書く」と述べ、TPP参加を公言しました。

 野田政権が国民の声に追い詰められて、年内あるいは年明けに総選挙が行われる可能性が濃厚になっています。悪政の道を暴走し、国民を裏切り続けてきた民主党政権に審判を下し、私たちの要求を実現する政治に転換する絶好の機会です。

 同時に、許しがたいのは、次の総選挙で敗北必至といわれる民主党政権が、消費税増税やオスプレイ配備に引き続いて、“毒を喰(く)らわば皿まで”といわんばかりにTPP参加を表明し、破れかぶれにTPP参加問題を争点に総選挙に突入するという姿勢です。

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「TPPに参加するな!」とアピールする若者たち=11月6日、首相官邸前

 アメリカと財界の圧力

 野田首相がTPP参加に踏み切りつつある直接の背景は二つあります。

 一つは、先の米大統領選でのオバマ再選です。オバマ政権のアジア重視政策にたずさわってきた元高官は「オバマ政権2期目のアジア政策では、TPPが最優先事項となる」と指摘。アメリカの外交筋も、日本が参加しなければ「米国にとってもTPPのメリットが薄れる」「日本は参加について決断する時期だ」と催促しています。

 もう一つは、日米財界の圧力です。11月9日に閉幕した日米財界人会議は「日本のTPP参加は日米両国の経済的な利益につながる」として「可能な限り早急にしTPP交渉に参加することを強く支持する」という声明を発表しました。

 同会議のアメリカ側議長で、TPP推進の黒幕でもあるアメリカンファミリー生命保険のチャールズ・レイク日本代表は「実効性を確保するために、閣議決定されるかどうかが課題になる」とまで注文をつけています。つまり、単なる参加表明では政権が交代した場合に実効性がないので、閣議決定しろというわけです。

 また、日本側議長の米倉弘昌経団連会長は「東アジアサミットでTPP交渉参加を表明する」「これがラストチャンスだ」と強調しました。日米財界が、がんじがらめに野田政権をしばりつけ、野田首相はこれに唯々諾々として従って、政権延命を画策するという構図です。

 2009年秋から全力を傾注してきたTPP参加阻止のたたかいは最大のヤマ場を迎えました。

 “悪政のデパート”の観さえある民主党野田政権に対し、これまでの運動の蓄積を生かしきって、可能なあらゆる運動を集中的に展開し、必ずTPP参加を阻止しましょう。そして、総選挙で断固とした審判を下そうではありませんか。

“TPPノー”かわるがわるに
地方で広がる運動さらに大きく

 市民アクション11・6官邸前行動

 農民連も参加する「STOP!TPP市民アクション」は11月6日、「官邸前行動」を行い、150人以上がつめかけ、弁士が、かわるがわるマイクを握りました。

 農協などが出資してつくった病院で働く職員の労働組合、全国厚生連労働組合連合会(全厚労)の松尾晃書記長は「地方が疲弊するなか、地域の病院が町・村を支えている。地方から声をあげていく」と発言しました。

 マスコミの労働者でつくる日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)の日比野敏陽議長は「大手マスコミはTPP推進の論陣を張っているが、地方の声はまったく違う。私たち労働者は反対の声を大きくしていきたい」と述べました。

 全日本民主医療機関連合会(民医連)の諏佐史枝さんは、アメリカの薬剤会社が自社の新薬を売り込むためにTPPを推進している点を批判し、「命を守る団体として反対していく」と決意表明しました。

 この間の地方での運動の広がりを反映して、群馬・高崎市などで反対の運動に取り組んでいる若者らもタンバリンや太鼓、銅鑼(どら)を持ち込み、にぎやかなコールを響かせました。日本共産党の紙智子参院議員と社民党の福島みずほ党首が、激励しました。

 全国食健連の坂口正明事務局長は、「11月20日午後6時から、推進の急先鋒に立っている経団連前で緊急に抗議行動をするので、多くの参加を」と呼びかけました。

 次回は、12月4日(火)に行います。

(新聞「農民」2012.11.19付)
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