新聞「農民」
「農民」記事データベース20121119-1046-10

そばの店「神間亭」
オープン

埼玉・春日部市


こだわりは“地産地消”
みんなが集える場所に

画像 一面の水田のなかに、農家が点々と散らばる埼玉県春日部市に、地域のそば粉をつかった手打ちそばの店「俺っち・野良っち 神間(かんま)亭」が11月3日、オープンしました。オーナーの山口市作さんも、亭主の根本健美さんも、店長の西村正昭さんも農民連会員。空き家になってしまった農家の古民家を活用して、開店しました。

 オーナーの山口さんの本職は、小中学校の副教材の会社の経営者です。15年ほど前に脳こうそくで倒れたのをきっかけに、食べ物や農業の大切さを痛感。会社で得た利益を農業経営に投資して農地を取得し、米や野菜作りに手を広げてきました。3年前に田畑付きの農家の古民家を購入。修復して、体験農業や地域交流の場としてきましたが、もっと活用できないかと思案していました。

 そんな時、共同でたい肥作りをしている仲間で、農民連埼葛支部長の根本健美さんと、「地元産のおいしいそばを提供して、ここをたくさんの人が集える場所にしよう」と意気投合。今年3月ころから「神間亭」の開店準備が始まりました。

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「神間亭」スタッフの皆さん。前列中央が根本さん、その左隣りが西村さん

 亭主を務める根本さんは、実は今年で4年目という新規就農者です。大手建材メーカーを定年を待たずに退職し、現在は水稲と野菜を作っています。高齢の農家のほ場に出向いてもみ殻を活用したたい肥作りを実地指導したり、今年からは農業委員にもなり、地域農業の担い手として奔走する日々を送っています。「ここでも農家が高齢化していて、ぼくなんてまだ若い方です。だから少しでも力になれれば」と、根本さんは言います。

オーナー・亭主・店長みんな農民連会員

 そば打ち同好会協力

 もともとそば打ちが趣味で、公民館で教えるほどの腕前の根本さん。そば打ち仲間の「春日部そば打ち同好会」や「野田弐八会」の皆さんが、交代でそば打ちを担当してくれることになりました。また、そば粉は隣町の白岡市の集団営農が転作で作っているそば粉を中心に、国産を使用。根本さんや「神間亭」の隣の農民連会員などが育てた地元野菜の天ぷらも自慢の一品です。打ち立ての二八そばは、そばの香りが口いっぱいに広がり、歯ざわりもしゃっきりとして、お客さんにも大好評でした。

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「神間亭」の店内。希望によりイス席も可能です

 さる年パワーを発揮

 店長の西村さん夫妻をはじめスタッフ全員が『団塊の世代』。「たまたま全員が申(さる)年生まれ。申年パワー、団塊パワーで地産地消に取り組んでいます」と全員が笑顔です。「利益追求よりも、とにかく多くの人に足を運んでもらい、おいしいそばを楽しみつつ、農業にも思いをはせてもらえれば」と控えめな抱負ながら、ゆくゆくは「天ぷらの野菜をスタッフみんなで生産しよう」「野菜の直売コーナーも作ろう」と、話し合っています。

 ▼「神間亭」の住所は、春日部市神間967 携帯電話090-3097-8206▼営業時間は、土・日曜日午前11時30分から午後2時まで▼東武伊勢崎線・野田線の春日部駅東口から関宿方面行きバスで「吉妻(きつま)」下車、徒歩10分

(新聞「農民」2012.11.19付)
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