新聞「農民」
「農民」記事データベース20121203-1048-01

TPP危険な局面に

関連/TPP賛成候補はNO!


日米首脳会談で「一歩踏み込んだ」野田首相
“条件つき賛成”に前のめりの自民党

 あくまでTPP参加をねらう野田政権

 11月20日に開かれた日米首脳会談。野田首相はオバマ大統領に対し「昨年、TPP交渉参加に向けた協議入りを表明した時の決意は変わっていない。課題を乗り越えるべく、日米間の協議を加速させよう」と提案しました。オバマ大統領はこの提案に「理解」を示したうえで、自動車・牛肉・保険の分野で、日本の非関税障壁の撤廃を求めるアメリカの姿勢を改めて強調しました。

 日本のマスコミはいっせいに「交渉参加の表明は見送った」と報道していますが、事態はそんな甘いものではなく、危険な局面を迎えています。

 岡田副総理は20日の記者会見で「従来より一歩踏み込んだ」と野田首相を持ち上げ、次のように述べています。「協議加速を強調したことは、交渉参加に向けた首相の強い決意が示されたものだ。日米間で合意できれば協議に参加する。民主党のマニフェストにどう書こうと、政府としての考え方は決まっている」と。

 「日米合意」とは、日本側の一方的な譲歩による“入場料”支払いです。BSE牛肉と郵政問題では、すでに日本政府はアメリカの圧力に屈して大幅譲歩を約束しています。

 残る自動車でも「米大統領選の終了後、日米両政府は水面下で自動車問題などの調整を加速している。日米協議は衆院選までに決着できる可能性もあるが、何を守り何を譲るのか。最終的には総理の決断次第だ」(「読売」11月21日)という状態です。

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農水省前で抗議の声をあげる全国食健連、農民連(11月15日)

 民主党の税制調査会は、消費税引き上げの見返りに自動車重量税の撤廃・引き下げを検討していますが、どさくさにまぎれてアメリカの要求に応じ、アメリカのお墨付きをもらう可能性があります。

 国民の強い批判に押されて衆議院を解散し、「選挙管理内閣」の実態しかない政権が新たな国際約束をすること自体が言語道断です。日本経済新聞(23日)によると「TPP『年内』なお探る」ことをねらっており、12月上旬に政府高官をアメリカに派遣して「協議機関」設置を提案し、合意できれば「首相がオバマ大統領との電話会談で正式に参加を表明する段取り」だといいます。“ドジョウの最後っ屁(ぺ)”は絶対に許すわけにはいきません。

 「交渉力」は「譲歩力」?自民党

 もっとも、アメリカ側は予定した45分の会談を20分で切り上げ、「今日、日本が決められるとは期待していなかった」と冷たくあしらいました。

 かわって「次期政権と交渉を待つべきだ」と、アメリカが期待しているのが自民党です。自民党が21日に発表したマニフェストでは「政府が『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対する」と、“条件つき反対”を装っています。

 しかし安倍総裁は、財界人や在京外国大使ら230人を前に、次のように“条件つき賛成”の熱弁をふるいました(11月15日「読売国際経済懇話会」)。「TPPについて(自民党が)決断を先送りしているように思われているが、それは違う。聖域なき関税撤廃を突破する交渉力があるかないか。民主党にはない。自民党にはある」

 アメリカが注視しているのは、安倍総裁のTPP前のめりの姿勢です。

 60年間、アメリカべったり、財界中心の政治にうつつを抜かしてきた自民党に、アメリカの圧力に対する「交渉力」が皆無であることは歴史が証明済みです。繊維、鉄鋼、自動車、医療保険、牛肉・オレンジ、米……これらは全部日本側が一方的に譲歩してきました。安倍総裁のいう「交渉力」とは「譲歩力」なのか? さらに、岸信介元首相、安倍晋太郎元外相に続く3代目の“対米従属世襲議員”である安倍晋三総裁に「自民党には交渉力がある」などと言われても、「野田首相並みのウソつき」というしかありません。

 このほか、「維新の会」「みんなの党」は初めからTPP推進を公言してきた党です。

 結論ははっきりしています。農業に壊滅的な打撃を与え、医療や食の安全、雇用、主権などに重大な悪影響をもたらす「壊国」の協定、TPP参加に暴走する政党と政治家は、総選挙で総退場させるしかありません。


TPP賛成候補はNO!

日米首脳会談に合わせて
緊急に官邸前アクション

 「TPPに賛成する候補者はNO!」―農民連も参加して「STOP TPP!官邸前アクション」が11月20日午後6時から首相官邸前で行われ、北海道の農民など150人余りが参加。「TPPはいらない、命が大事」と、太鼓などを鳴らして声をあげました。

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民医連が作製した大判のプラスターを持つ内田さん(左)と「医療も大打撃」と訴える民医連の伴香葉さん

 呼びかけ人の1人、アジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子さんは、「このアクションは毎月第1火曜日に行われてきましたが、東アジアサミットでの日米首脳会談にあわせて、緊急に呼びかけました」とあいさつ。青年がマイクを握り、「街に出よう。お茶会でもいいし、飲み会でもいいから、たくさんの人に声をかけ、必ずTPPをつぶそう」と呼びかけると、参加者は「そうだ!」とこたえました。

(新聞「農民」2012.12.3付)