新聞「農民」
「農民」記事データベース20140915-1133-09

世界遺産の富岡製糸場
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農家の力になって群馬の養蚕守りたい

群馬県蚕糸技術センター(高崎市)

 「群馬県にとって、養蚕はなくてはならないもの。なんとしても守り、伝えたい産業です」――群馬県蚕糸技術センターの所長、柏昌宏さんは、日本一の養蚕県としての自負と責任をこう言います。

 現在、同センターの専門職員は16人。「養蚕農家は減っていますが、幸い県の予算も人員配置も削減されることなく、維持されています。やはり県民のなかにも、養蚕への思いが強いことの表れではないでしょうか」と柏さん。同センターは、群馬県オリジナル蚕品種の維持や、養蚕農家の技術指導などを担い、なかでも蚕種と人工飼料の製造と供給は、養蚕農家にとって大きな支援策となっています。

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群馬県高崎市にある稚蚕人工飼料センター。コンピューター制御により自動化された製造ラインを備えた、世界唯一の蚕の人工飼料製造工場。原料の桑葉を栽培する桑園4ヘクタールが隣接している

 近代養蚕の発展には、蚕の品種改良が大きな力を果たしてきました。今日でも優れた蚕品種の維持・改良と、蚕の卵の安定供給は、養蚕業の存亡に直結する問題です。

 人工飼料も養蚕農家のえさやりの省力化と病気予防に、不可欠なものとなっていますが、同センターが製造する人工飼料は、群馬県だけでなく10県に出荷され、全国の養蚕業を支える事業となっています。

 主任研究員の岡野俊彦さんは、「今がんばっている養蚕農家が生産を続けられることと、新しい養蚕農家が増えることの両方が必要です。養蚕農家の皆さんには、一つでも多くの繭をつくってほしい。そのために、少しでも養蚕農家の力になるのが私たちの責務だと思っています」と、熱い思いを話します。

 富岡製糸場の世界遺産登録は、群馬県の養蚕業にも明るいニュースをもたらしました。それは新規就農の若い養蚕農家が増えたことです。「私たち養蚕関係者一同、このニュースには本当に励まされています」と笑顔の柏さんと岡野さん。「世界遺産登録を機に、もっと群馬県養蚕を盛り上げていきたい」と、話してくれました。

(新聞「農民」2014.9.15付)