新聞「農民」
「農民」記事データベース20150126-1150-01

農民連第21回定期大会開く

要求実現・共同の核
農村再生担う農民連を

熱い討論 わき起こる拍手

 「農民連って生き方はカッコいいと思います」。農民連結成の年(1989年)に生まれた、福島・郡山地方農民連事務局員・菊地穂奈美さんの発言です。農民連第21回定期大会が1月13日から15日まで東京・大田区産業プラザで開かれ、47都道府県から集まった320人の代議員・評議員、役員が熱い討論を繰り広げました。参加者が「農村での困難に立ち向かい、運動でも組織拡大でも前進しよう」と決意を固め合った3日間でした。


多様な要求実現運動と結んで
会員・読者拡大で大飛躍を

 共同の“核”を担うとともに

 大会は、白石淳一会長の「私たちは、国民・農民の要求を実現するために、一致点での共同を大事にし、この共同の“核”を担い、その保障となる農民連建設に全力をあげよう」との開会あいさつ(2面に大要)で幕を開けました。

 常任委員会からは、真嶋良孝副会長が「TPPをめぐる情勢とたたかい」、横山昭三常任委員が「米価回復と米を守るたたかいに全力を」の特別報告を行い、笹渡義夫事務局長が大会決議案「農政を転換する国民的運動と農業・農山村の再生を担う農民連の建設を!」の報告を行いました。

 討論は、文書を含めて53人・グループが発言。

 各地の経験が幅広く語られる

 前大会で強調された「共同の“核”としての役割」について、各地の経験が報告され、農民連の活動の幅、深さが語られました。

 茨城県農民連の荻谷祥子さんは、米価大暴落の対策を求める市議会での請願活動を発言。署名をもって各会派を回ったところ、保守系会派のベテラン議員が初めは協力的でしたが、紹介議員に共産党が名を連ねていることを知って「協力できない」と態度を急変。しかし後日、その議員から、「米価暴落は大事な問題なので賛成する」と連絡があり、全会一致で採択された経験を報告。「垣根を超えて働きかけることが大事」と述べると、ひときわ大きな共感の拍手がわき起こりました。

画像
「全国に女性部の結成を」と呼びかける女性部員のみなさん

 岐阜県農民連の小寺徹会長は、TPP反対のたたかいの中で、運動と組織拡大の飛躍を勝ち取った経験を報告しました。

 反対運動を強めるために県食健連をスタートさせ、さらに運動を飛躍させるために農民連の活動を発展させようと県農民連の事務所の設置と専従職員の配置を実現し、県内2カ所で農民連を結成・再建させています。

 相談が相次ぎ“手が回らない”

 多様な要求の実現活動と結んで、組織拡大に足を踏み出している経験も生き生きと語られました。

 茨城県農民連の初見安男さんは、2年間で10万枚もの税金相談会や東電への損害賠償請求活動を知らせるチラシを地域で配布。相談を受けた会員が新たに農家を誘ってくるなど、2年で62戸の仲間を増やした経験を報告。

 宮崎県農民連の有田枝梨子さんも、免税軽油で相談会を開き、会員になった人が新たに仲間を紹介するなど、「手が回らない」ぐらい相談が相次ぎ、組織を前進させています。

 京都農民連の井尻勇助さんは、酒米「山田錦」の地産地消をめざし、168袋の米袋でスタートし、昨年は約2000袋に前進。この取り組みのなかで2人の若い会員を迎え入れたことを報告。「今年は2500袋に挑戦したい」と意気高く決意表明しました。

 岩手県漁民組合文書発言で参加

 農業と共通する課題がある漁業・林業の分野でも、運動が進んでいます。農民連参与の山本浩一さん(21世紀の水産を考える会)は、沿岸漁民の組織化の問題を強調。岩手県農民連の岡田現三さんは、岩手県漁民組合相談役の佐藤照彦さんの文書発言を紹介。東日本大震災後も「船来ても魚とれない」状態の三陸漁業ですが、震災からの復興を目指す取り組みのなかで、漁民組合が結成され、さらに全国の漁民を組織するネットワークの構築を呼びかけました。

 岡山県農民連の戸川健一さんは、林業の振興で発電など木材の有効利用と雇用創出による農山村の再生をめざす取り組みを進めるために、林業分野での組織づくりに取り組むことを訴えました。

 アベノミクスとは対極の「人間性あふれる豊かな社会」の担い手として、農民連が存分に役割を発揮していることが浮き彫りになりました。

 農民連前会長の佐々木健三さん(代読)は、被災者に野菜を届ける妻の智子さんの活動を報告。40アールの畑で野菜をつくり、ほぼ一人で3つの仮設住宅に届けています。心を閉ざしていた被災者も心を開くようになり、次第に交流の輪も広がっていきました。佐々木さんは言います。「自己犠牲をいとわず、自分たちよりもっと苦しい立場にある人たちに支援の手を差しのべる。これは農民連だからこそできる活動なのです」

 産直会社、百姓百品を経営する愛媛県農民連の和気数男さんは、障害者が行う農作業の喜びについて発言。知的・身体障害をはじめ、薬漬けや引きこもりなど、さまざまな障害をもった人たちが、「毎日が楽しい。農作業は厳しいが、収穫の喜びが味わえ、四季にふれることができる」との声を寄せるなど、農業の担い手となって生きいきと取り組んでいることを発言しました。

 「春の大運動」の先頭に立とう

 討論のまとめで、笹渡事務局長は、「大会の成功を力に代議員・評議員が春の大運動の先頭に立とう」と呼びかけました。最後に、根本敬副会長が「世の中と農村は大きく変化している。この渦をさらに大きな渦にして世の中を変えていく。その最前線に立とう」と閉会あいさつを行いました。

画像
「さらに大きな農民連を」と拍手で応える参加者

 来賓として、日本共産党の紙智子参院議員、新日本婦人の会の笠井貴美代会長、日本米穀小売商業組合連合会の長谷部喜通理事長、全労連の小田川義和議長、全国革新懇の牧野富夫代表世話人、日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長、全農協労連の舘野豊書記長、全国食健連の坂口正明事務局長があいさつしました。

 13日の夕方はレセプションが開かれ、47都道府県の特産物・銘酒・加工品がズラリと並びました。参加者からは、農民連との共同・交流の深まりへの期待の言葉が語られ、各地の逸品に舌鼓を打ちながら交流を楽しみました。

(新聞「農民」2015.1.26付)
HOT情報
写真