新聞「農民」
「農民」記事データベース20150330-1159-07

店頭で おむすび 販売

東京・武蔵野市 「金井米穀店」
店主 金井一浩さん(43)


お客さんの好みに合わせて
品種や炊き方アドバイス

 東京都武蔵野市で3代続く米屋「金井米穀店」。その店主が金井一浩さん(43)です。

 「もともとは店を継ぐ気は全くありませんでした。食管法がなくなり、米の流通がどんどん緩和されていくなかで、『このままではうちの店はつぶれてしまう』と危機感を感じ、自分が変えていくために継ぐことにしました」と金井さんは話します。

 金井米穀店では約30種類の米を扱っています。「今はまずいお米はそんなにないので、消費者の要望を理解して、一緒に米作りに取り組んでくれる生産者の米を扱っています。今、米が生活の中でどういう位置づけなのか。どんなお米が必要とされているのか、考える農家が増えていく必要があると思います」

 金井さんは米を販売するときは消費者の声を聞くことを大切にしています。「粘りや固さの好みを聞いて好みに合うお米をお客さんに販売します。分づき米での販売も多いので味の好みに合わせた炊き方もお話ししています。近所の方だけでなく、少し遠方から電車で見えるお客さんも増えてきています」

分(ぶ)づき米、雑穀米
おむすびでお試し

 金井米穀店ではおむすびの販売もしています。具も金井さんの手作りです。「雑穀や分づき米を扱っているのですが、試食ではわかりにくく、少しでも普段食べているのに近い状態で試してほしいと思い、おむすびにしています。販売することでお客さんによりシビアな目で見てもらうこともできます。月ごとに使うお米を変えています」と金井さん。3月は山形県産のササニシキを使っています。「ササニシキは粘りが少なめなので、冷えても固まりになりにくく、冷えてもおいしく食べられます」と話していました。

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手作りのおいしいおむすびと金井さん

 「今年のように暴落したり、高騰したりした場合、それに米価を合わせると消費者も損をしてしまいます。相場に左右されない取引が農家とできるようにして、安定した価格でお米の供給ができるのが一番いいですね」と金井さん。産地にも出向き、農家の思いが消費者に伝えられるようにがんばっています。

(新聞「農民」2015.3.30付)
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