新聞「農民」
「農民」記事データベース20160905-1228-08

第62回日本母親大会in石川・福井

戦争法廃止! 憲法を守り
平和な未来を子どもたちに

関連/農村のお母さん交流会

 女性参政権行使70年、憲法公布70年の節目の年となった今年、第62回日本母親大会が、8月20、21の両日、石川県金沢市と福井県福井市で初めて開催され、全国からのべ9300人が参加しました。


問題別集会
食・農業・TPP

守ろう!日本の食
〜TPPと食の安全〜

 1日目は、7つのテーマに分かれて問題別集会を開催。戦争法反対の運動のなかで立ち上がった若いママたちが集った「若い世代の企画」や、多くの原発を抱える福井では「エネルギーと原発」の問題別集会が開かれ、熱い討論が交わされました。

 「食・農業・TPP」をテーマにした問題別集会では、アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長の内田聖子さんをコーディネーター兼特別学習講師に迎えてパネルディスカッションが行われ、富山県漁業協同組合の尾山春枝さん、石川県農業協同組合中央会の西利章さん、COOPとやまの追谷幹子さんの3人のパネリストが、それぞれの立場からTPPや食の安全、食育などを切り口に発言しました。

 内田さんは、1980年代以降の経済のグローバリゼーションの経緯を、丹念にひも解きながら、「TPPの内容は関税にとどまらない。経済のルールを変えようとしているという、この全体像をしっかりととらえることが大切。協同組合や共済のような助け合いも、市場経済のなかに飲み込もうとしている」と指摘しました。

 西さんは、基幹的農業者人口がこの10年間で3割も減少し、組合員アンケート調査でも9割が「後継者がいない」と回答しているなど、高齢化が深刻化している石川の農業の現状について触れ、TPP合意について「現場では国会決議が本当に守られているのか、との声も多い。アメリカ産米の輸入拡大も、国内では生産調整しながら、なぜ輸入拡大するのか」と批判しました。

 討論では、高知市の参加者から、1万を超える署名を集め、2018年からの中学校給食の実施を勝ち取った取り組みが報告されたほか、家庭栄養研究会の山崎万里さんが「TPPは憲法違反」との視点から学習活動に取り組んでいることなどを発言しました。

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問題別集会後、金沢市内を母親行進する大会参加者たち

 内田さんはまとめの発言で、「安倍政権は秋の臨時国会でTPP批准を可決しようとしている。アメリカでも若い母親たちがTPP反対の先頭に立っている。もっともっとTPPの危険性を広げて、批准をストップしていきましょう」と、力強く訴え、参加者は満場の拍手で応えました。

全体会
琉球新報社 島洋子さん講演

平和な沖縄・日本を

「今日の運動」農民連女性部も登壇

 2日目は、金沢市内で全体会が行われました。

 主催者を代表してあいさつした実行委員会代表委員の笠井貴美代さんは、「戦争法反対の運動が広がったこの1年、『だれの子どもも殺させない』をスローガンに、若い母親たちが立ち上がった。その力が野党を共闘させ、11の1人区での勝利につながっている。また国民の声を聞かない安倍政権に、『保育園落ちたの、私だ』と、当事者自らが貧困と格差に声をあげ始めている。憲法こそ、日本の宝。圧倒的な世論で安倍政権を包囲していこう」と、呼びかけました。

 琉球新報社編集局政治部長の島洋子さんが「憲法公布・女性参政権70年――いのち輝く平和な沖縄・日本を」と題して記念講演。名護市辺野古(へのこ)の新基地建設や、東村高江のオスプレイのヘリパッド建設、そしてうるま市で今年4月に起きたアメリカ軍軍属による事件など、いま沖縄で何が起きているのかを克明に語り、「基地をつくらせない」という一点で保守も革新も一致して「オール沖縄」でのたたかいに発展していることを話しました。

 各地のたたかいを交流する「今日の運動」には、農民連女性部も登壇。「農家の所得が確保され、安定した経営は、農村女性の権利を守る土台です。そして何よりも平和でこそ農業発展と農村女性が生き生きと活躍できる基盤です。私たちは、TPP批准阻止の運動を農村から巻き起こします」と、元気にアピールしました。

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全体会で「TPP反対」と訴える農民連女性部のお母さんたち

 また福島県農民連の渡部チイ子さんが、原発事故から5年を経てもなお、多くの人が故郷に戻れない福島の現状を話し、「政府は原発事故を終わったことにして、福島を切り捨てようとしている。私たちは被災地から、原発再稼働反対を叫びつづける」と訴え、会場から大きな拍手が送られました。


農村のお母さん交流会

加賀野菜の手作り料理に感激

 1日目の夜には、母親大会恒例の「農村のお母さん交流会」が開かれ、約30人の女性たちがにぎやかに集いました。

 テーブルには、県産大豆の固豆腐、地元石川県の在来種、加賀野菜(紫ヘタナス、打木赤皮カボチャ、五郎島金時いも、金時草)の天ぷら、加賀太キュウリの酢のもの、みたま(黒豆おこわ)、魚のこんか漬け、漬け物を塩出しして煮た「おこもじ」、笹の葉の押しずし、新鮮な刺身など、石川県農民連の皆さんが準備した伝統食や手作り料理がずらりと並び、参加者一同、大感激。

 全員が自己紹介を兼ねて思い思いにスピーチし、最後に朝の連続ドラマ「あさが来た」の主題歌「365日の紙飛行機」で歌い、踊って、盛況のうちに閉会しました。

(新聞「農民」2016.9.5付)
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