新聞「農民」
「農民」記事データベース20161212-1242-13

本の紹介

鈴木宣弘著
牛乳が食卓から消える?
酪農危機をチャンスに変える


日本の酪農の展望と支援政策を考える

画像  本紙3ページに寄稿している東京大学の鈴木宣弘教授が、日本の酪農・酪農協・乳業のあり方と、それをサポートする政策を考える新刊本『牛乳が食卓から消える? 酪農危機をチャンスに変える』を刊行しました。

 第1章は、ズバリ「酪農指定団体制度廃止の真意」。指定団体の役割や、政府の規制改革推進会議による攻撃のねらいを、わかりやすく、鮮やかに解説しています。

 第2章では、酪農が直面している困難な現状とその原因、またあるべき政策支援について述べ、第3章では、政府のTPPの影響試算を検証。生乳の流通と価格形成について触れた第4章では、スーパーによる買いたたきが生産者の取り分を圧縮していることを指摘しつつ、「公正な取引のためには政策介入が必要」と述べています。

 第5章では、酪農を「公益事業」と同様に位置づける欧米各国の酪農政策を紹介しています。

 そして第6章「今を凌(しの)げば、適切な政策措置と現場の努力で日本酪農の未来は開ける」では、中長期的には世界の乳製品需給がひっ迫基調にあることを紹介。「日本の酪農もここで踏みとどまれば、(世界的な)競争環境も随分変わってくる」と展望し、そのための乳価支援政策や、市場・流通規制のあり方を提言しています。

 第7章では、食の安全や牛の健康、家族経営、輸入飼料の高騰といった広い視点から、日本酪農の大切さを再検証。

 本書全体を通して、日本の酪農と酪農家への明快で、力強い提言となっています。

▼A5判84ページ
▼定価 950円+税
▼出版 筑波書房

(新聞「農民」2016.12.12付)
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