新聞「農民」
「農民」記事データベース20170130-1248-03

SBS米輸入再開


調整金禁止で安値の実態表面化

 政府・農水省は価格偽装問題で中断していた輸入米のSBS(売買同時入札)取引を再開しました。調整金を禁止する措置をとった結果、米国産、豪州産、中国産などいずれも過去最低水準の価格となりました。

 皮肉にも「調整金」と称する裏金が流れ、実質格安で輸入米が流通していたとする「価格偽装疑惑」が裏付けられ、国産米への影響が「ゼロ」どころではない大問題であることが浮き彫りとなりました。

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SBS米輸入再開を報じる各紙

 過去最安値記録政府が自ら引き下げへ

 昨年9月7日の第1回以来、疑惑発覚で中断していたSBS入札。12月26日(第2回)、1月11日(第3回)と相次いで行われました。いずれも第1回に比べて価格は大幅下落となりました。

 第3回では成約数の大きい米国産精米中粒種は第1回より15円安の141円(1キロ税別)、豪州産玄米短粒種に至っては29円安の161円(同)でいずれも農水省が入札結果を公表する2005年以降で最安値となりました。

 輸入する商社と買い受ける米業者が国を間に入れて取引するSBS入札。落札の決め手は国に関税に相当するマークアップ(売買差益)をいくら払うかとあわせて、輸入商社の政府売渡価格が政府の予定価格(非公表)を下回ること、米業者の政府からの買入価格が予定価格(非公表)を上回ることが条件となっています。政府は「国産米への影響」を見えにくくするために輸入、売り渡しともに予定価格を高めに設定していました。これが「調整金を生む温床」でもあったわけです。

 政府は対外的に批判を恐れてか、マークアップは引き上げず、前回並みの1キロ50円前後に据え置き、輸入も売り渡しも予定価格を大幅に下げて成約に結びつけたのです。

 政府自ら国産米への影響や農家の苦しみをよそに、なりふり構わず主食用輸入米の実績積み上げにかじを切ったことになります。

 国産米の4割安1俵7614円

 第3回の成約8993トンのうち5390トンと6割占めた米国産の精米中粒種は、玄米に換算すると1俵(60キロ)7614円です。直近の国産米の流通価格は1万3287円(農水省公表、16年11月全銘柄平均)の57パーセント、生産費1万5390円(15年全算入全国平均)の半分以下の水準です。こんな安値の米が現実に流通していたわけです。

 政府はこの間の価格偽装問題についてまともな調査もせずに「国産米価格への影響はなかった」などと説明してきましたが、今回の入札結果で輸入米の価格偽装のベールがはがされ、価格の実態が明らかになりました。

 輸入米ストップ日本の米守れの声を

 政府はTPP交渉で米国、豪州産の主食用米の増枠をもくろみ、「輸入米の価格は国産米並みで影響はゼロ」などとウソとごまかしに終始してきました。

 トランプ米大統領の方針でTPPの漂流はほぼ確定的にもかかわらず、安倍内閣は批准と関連法案を強行し、世界に向かって自由貿易の門戸開放を宣言しました。

 今後、アメリカが日本に対してTPPを上回る水準での自由貿易を迫り、安倍内閣もこれに応じることが十分に考えられます。こうした動きを封じるためにも、いまこそ、「輸入米ストップ、ミニマムアクセス米は廃止せよ、日本の米守れ」の声を大いに広げようではありませんか。

(新聞「農民」2017.1.30付)