新聞「農民」
「農民」記事データベース20170206-1249-07

農民連第22回大会への
常任委員会の報告
(大要)
(2/5)

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3.「アベノミクス農政」との全面対決

 家族経営を否定するアベノミクス農政は日本農業を根底から破壊する戦後最悪の農業破壊攻撃です。

 対案は食料主権

 アベノミクス農政に対する私たちの対案は食料主権に立脚した農政を実現することにあります。

 食料主権は、WTO(世界貿易機関)がスタートした翌年、1996年に国際農民組織ビア・カンペシーナがWTO・新自由主義体制に対する根本的な対案として提唱し、世界に広がっています。

 食料主権は、すべての国と民衆が自らの食料・農業政策を決定する権利、すべての人が安全で栄養豊かで、民族固有の食習慣と食文化にふさわしい食料を得る権利であり、食料を家族経営・小農が持続可能なやり方で生産する権利です。

 農民連はビア・カンペシーナと交流をはじめて以降、「食料主権」を大いに論議し追求してきました。改めて、食料主権に光を当て、運動の中心に据えたいと思います。

 家族農業は地球を救う

 2014年は国際家族農業年でした。

 小規模家族農業が食料生産だけでなく、国土保全、生物多様性の維持、文化伝承などでも大きな役割を担っていることも、明らかにしています。とくに経済危機で失業率が高まるなかで、小規模農業の雇用調整力は重要な役割で、工業化された大規模経営に比べてもはるかに雇用創出力もあり、人口扶養力も高いものがあります。

 小規模農業は石油などの資源依存度も低く、環境への負荷も小さいと言われています。こうした背景から、08年の経済危機・食料危機以降、こうした小規模家族農業の役割を改めて見直すことで、この世界的危機を乗り越えようとする機運が広がっています。

 食料主権・家族農業・協同組合の3つの角度から、アベノミクス農政と対置してたたかいに全力をあげます。

4.「農協つぶし」に地域からの総反撃を

 新たな農協つぶし攻撃に地域から総反撃をしていきます。

 まず、学習運動を先行させましょう。

 農協攻撃は、安倍政権の「ポスト真実」の政治、すなわち「事実に基づかないウソといつわりで仮想の抵抗勢力を作り出し、国民を先導する」政治です。

 彼らは農協改革の目的を「農業所得の向上」と言っていますが、真の狙いは、100兆円の信用事業と300兆円の共済事業に参入することにあります。加えて、農協の共販体制を崩して農産物を買いたたき、共同購入を崩して生産資材をつり上げ、JAと既存農家がつぶれたら農業に参入し食料を握り、大もうけしようとしています。

 これは単に農協にかけられた「攻撃」ではなく、家族農業に向けられた攻撃であり、地域農業に向けられた攻撃、国民の食料に向けられた攻撃です。

 農家の中には「なぜいまさら農協を守らなければならないのか」などの声もあります。

 一方で「農協がなくなれば、もはや地域では生活できない」との声も上がっています。

 昨日の常任委員会でも、「ガソリンスタンドがなくなり50キロ離れたスタンドに行かなければならない」「店舗がなくなり、農協が購買バスを走らせ、地域のための事業をやっている」などの実態も出されました。

 アベノミクスの矛盾が地域に集中的に現れています。その“地域”を基礎に、農協攻撃の欺まん性を暴き、「持続可能な地域循環型の経済・社会への転換」をめざすとりくみを地域からまきおこしていきましょう。

 農協をただちに訪問し対話を

 農民連は新聞「農民」12月12日号で農協攻撃に反撃する特集号を作りました。この特集号を昨年末、都道府県JA中央会と全てのJAに送付しました。対応する都道府県連・単組でただちに、訪問・対話し、共同を広げましょう。

 7団体で春の県内キャラバンを

 もう一つは、一昨年、農協法改悪に反対する運動の中で立ち上げた「農協改革に反対し、食料・農協・地域を守る運動」連絡会議を再開し、全国で行動を起こします。構成団体は、全労連・全農協労連・農民連・自治労連・生協労連・新日本婦人の会・全国食健連の7団体です。食健連でとりくめるところは食健連で、それ以外のところでは7団体の枠を生かして地域でのとりくみを相談しましょう。

 全労連は、この農協攻撃に反対する運動を「地域活性化運動」の一環と位置づけ、全国でキャラバンを提起しています。

 近く発表される「7団体共同アピール」を使って、自治体・農協・商工団体・生協などあらゆる団体と対話・懇談をすすめましょう。学習会の共同開催や参加の呼びかけなどを「春の県内キャラバン」としてとりくみましょう。

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討論で署名を呼びかける福島・郡山地方農民連の平克彦事務局長

 地域の農協、自治体、労働組合、消費者団体など様々な地域の方々に呼びかけて、地域総ぐるみで、この攻撃を跳ね返していくことを提起します。

 福島県連では、早速、県労連・新婦人・生協などに呼びかけ、1月23日に学習会を開き、「地域のくらしと生業を守る共同委員会」を立ち上げる準備に入っています。

(新聞「農民」2017.2.6付)
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