新聞「農民」
「農民」記事データベース20170612-1266-15

国の責任を放棄
知見を民間に提供

種子法廃止 岡山で説明会


 5月17日に岡山市内で開かれた「主要農作物種子法」廃止についての中四国説明会に参加しました。中四国管内の県や市町村職員、農協職員ら50人ほどの参加でした。

 農水省の説明は、「種子法は廃止されるが、種苗法改正で保障されている」として、(1)主要種子(米、麦、大豆)の国の責任を完全に放棄し、都道府県にすべてを押しつける、(2)種子の研究開発を民間事業者が行えるように、これまで都道府県の種子生産に関する知見を民間事業者に提供する、(3)外資の参入に対応する――などでした。

 要は、国は種子の研究・開発、生産、保管までを県に丸投げし、その結果、各都道府県のやり方がバラバラになってもかまわないということでした。

 安倍首相が言う「企業がもうかる」システムづくりの一環であり、多国籍企業・モンサント社の要求に応えた国民無視の暴走政治の現れでしょう。

県農業試験場を訪問
育種と管理の現状は

 その後、岡山県の現状はどうなのかが気になり、29日に岡山県の農業試験場(岡山県農林水産総合センター)を訪ねました。

 試験場からは所長、副所長、作物経営室室長が対応しました。

 対応者からは「奨励品種と優良品種の選定をしている。選定には厳選な管理と育成で最低でも10年はかかる、新品種を選定するにはさらに最低でも13〜15年はかかる」「これまでも民間企業の品種も含めて対象にしてきている。種子法が民間の種子を阻害しているとは思わない」「奨励品種に定めた種子は、原原種、原種、種子農家への種として確保し提供する義務も持つし、センターでもほ場を確保し、原原種育成を毎年行っている」などという意見が出されました。

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県農業試験場に展示されていた岡山県の水稲品種の見本

 また「私たちはこれまでも少ない予算でも、農産物の販売などで工夫して経費をつくってきた」などということが、話し合いの中でわかりました。

 次は、県農林部へ要請に行こうということになりました。

(岡山県農民連 坪井貞夫)

(新聞「農民」2017.6.12付)
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