新聞「農民」
「農民」記事データベース20170626-1268-02

農業災害補償法改定
参院農水委・参考人意見陳述

共済とナラシを維持すべき
再生産を担保する制度に

北海道農民連委員長(十勝管内音更町)
山川秀正さん


 参議院農水委員会で6月13日、収入保険制度の創設などを含む農業災害補償法改定案の審議が行われ、北海道農民連委員長で畑作・野菜農家の山川秀正さん(十勝管内音更町)、北海道農民連盟書記長で米・麦・野菜農家の中原浩一さん(上川郡和寒町)らが、参考人として意見陳述しました。

 ともに「強く望むのは岩盤政策だ。生産費を償う、再生産を担保する制度にすることが重要だ」(山川さん)、「所得補償制度のような岩盤対策を確立してほしい」(中原さん)と訴えました。

山川さん
収入保険では536万円も収入減

画像  北海道では、昨年は4回もの台風に見舞われました。山川さんは大きな被害を受けた自らの経営をもとに、現行の「農業共済+ナラシ対策」と、新設される「収入保険に加入した場合」とをそれぞれ試算し、「収入保険では536万円もの収入ダウンになる」と発言。新たな収入保険では、収入の81%しか補てんされない上に、基準収入も過去5年の平均とされていることから損害や価格下落で極端に基準が下がると指摘。「現行制度より収入の下がる制度がなぜ必要なのか。現行の共済制度とナラシ対策を維持すべきだし、収入保険制度に重点を置くことで、共済制度を不安定化させるべきではない」と訴えました。

 また山川さんは、収入保険制度が青色申告を加入条件としていることについても、強く反対。「現在は白色申告も記帳が義務化されており、国が白色申告農業者が脱税しているかのような印象を与えることは許されない。農業者に差別を持ち込む政策は断じてすべきでない」と批判しました。

 民進党の徳永エリ議員、日本共産党の紙智子議員、自由党の森ゆうこ議員が、戸別所得補償の復活など岩盤政策に対する山川さんの意見を求めると、山川さんは「米では過去36年で価格が生産費を上回ったのは8年だけ。減収しても補てん水準も下がる収入保険では、セーフティーネットにはならない。岩盤政策としてどう生産費を償っていくのか、戸別所得補償のような所得補償と組み合わせていく必要があるのではないか」と述べました。

画像
意見陳述する山川さん(右)と中原さん(中央)

 中原さんも、「私も米、麦は今後も共済とナラシを利用し、野菜は収入保険に加入したいが、選択制なので加入できない。生産調整配分の廃止も本当に不安。岩盤政策がきちんと成り立たなくては、農家の所得確保はできない。所得補償制度を確立してほしい」と語りました。

(新聞「農民」2017.6.26付)
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