新聞「農民」
「農民」記事データベース20170710-1270-01

日欧EPA交渉緊迫

安倍政権 異常な前のめり姿勢
EU TPP以上の譲歩要求

 日本と欧州連合(EU)とのEPA(経済連携協定)交渉をめぐる情勢が緊迫しています。安倍政権が早期妥結に異常な前のめりの姿勢を示しているためです。


批判強まり反対運動広がる

 安倍首相は6月24日、日欧EPAは「TPPと同じく21世紀の経済秩序のモデル」と称賛。7月7、8日にドイツ・ハンブルクで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の機会に「大枠合意できるよう最終調整を急がせる」と明言しました。

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G20サミットで抗議行動を行うためハンブルクに集まった市民ネットワークの人々。ネットワークにはAbLも参加する(6月26日)

 安倍政権の目指す「大枠合意」は、投資企業が投資先国家を訴えるISDSなど重要分野での合意を先送りしながら、日本が農産品で譲歩し、関税など一部の妥結だけで強引に「合意」を演出しようというもの。背景には、格差・貧困の拡大を受け世界で自由貿易批判が高まる中、日欧EPAでこの流れをはばみ、「自由貿易の旗手」をアピールしようという思惑があります。

 交渉内容を一切秘密にし、影響評価もやらないまま、合意だけをゴリ押しするという安倍政権の姿勢は言語道断です。

 日本政府のなりふり構わない譲歩姿勢はEUにとって思う壺(つぼ)。EU側はTPP以上の譲歩を求めて攻勢をかけています。特に、TPPで関税を守ったカマンベールなどソフト系のチーズの関税の撤廃を求めています。そうなれば、日本の酪農家への打撃は計り知れません。二国間交渉で農産物対日輸出の増大を求める米国などの圧力を強めることにもなります。

 日欧EPA交渉は6月30日から7月1日まで都内で閣僚協議が行われ、欧州産チーズなど農林水産品の関税をめぐり調整が難航。双方は、6日にもブリュッセルで開かれる日EU首脳会談までの「大枠合意」を目指し、再び協議を続けることになりました。

農民連・食健連 農水省へ緊急要請

 交渉が緊迫化するなか、批判も強まっています。

 農民連と全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は7月3日、農水省に対し、(1)農林水産業に多大な打撃を与える日欧EPA交渉の大枠合意はしないこと、(2)これまでの交渉経過をただちに公開すること、(3)日欧EPAによる農業や国内産業、国民生活への影響試算をただちに行い公表すること――を求めて申し入れを行いました。

 農水省は水田正和総括審議官らが対応。全国食健連の舘野豊事務局長、農民連の笹渡義夫会長らが参加し、日本共産党の紙智子参院議員が同席しました。

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水田審議官(左)に要請書を手渡す(右から)紙議員、笹渡会長、舘野事務局長

 欧州ではグリーンピース・オランダが6月23日、日欧EPAの交渉テキスト205ページを公表。公共政策を制限する条項や、環境破壊につながる規定が盛り込まれていることを暴露し、市民に危機感が広がりました。日欧EPAに反対する署名活動も急速に広がるなど、運動が盛り上がりをみせています。

(新聞「農民」2017.7.10付)