新聞「農民」
「農民」記事データベース20170814-1275-10

連帯して巨大な敵とたたかう
(3/3)

ビア・カンペシーナ国際総会に参加して

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青年農家の力強い発言に
自分たちが世界を変える

農民連青年部部長
平間徹也さん

 今回ビア・カンペシーナの国際総会に初めて参加させてもらって、世界はこんなにも広く大きいが、こんなにも近くつながっているんだということを実感しました。

 日本の常識は世界の非常識

 初日から驚きの連続で、まず、ホテルに着いたときから、一緒に来た佐々木さんと岡崎さんとは別なホテルにされたり、エレベーターの使い方すら分からず、右往左往したり、一緒の部屋のサンタナ(東ティモール)は勝手に私のお金でジュース買って来たりと、ここには書ききれないほどの戸惑いの連続の日々でした。

 日本の常識は世界の非常識、世界の常識は日本の非常識なんだなということが本当に身に染みました。

 その中でも特に印象に残っていることが2つあります。世界の青年農家の行動発言がとてもとても力強く、前向きであることと、それぞれ自分の国の歴史とルーツに誇りを持ち、それを語れること。自分たちがこの世界を変えるんだという強いメッセージ性のある内容の発言が多く、そして総会発言中幾度となく繰り返されるかけ声? 檄(げき)飛ばし? には驚きました。

 青年を執行部に多く…と迫る

 総会最後の日には、青年部の代表が各国の青年を引き連れ、全体総会の進行を止めさせてビア・カンペシーナの執行部に対し、青年をもっと執行部の中に入れてくれと迫ったときは、そこまでするんだ……と唖然(あぜん)としました。

 自分の国のルーツを語ることにおいては、インドネシアから来たアンガーから「ひろひとカイザー知っていますか?」と聞かれ、最初全く分からず、後で昭和天皇のことを話しているんだとわかりました。

 戦時中日本がインドネシアを占領していたときの話や、広島、長崎の原爆の話、インドネシアと東南アジアの各国の歴史、グローバル企業の社会的責任の話等々ありとあらゆる問題を自分の国と結びつけて語ることのできるアンガー、そんな彼と話していると自分が世界のことも日本のことも知らないことに気づかされました。

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青年集会で旗をもつ平間さん

 日本の誇りは

やっぱり9条だ 日本が誇れる日本らしさって一体なんだろうか? と総会期間中色々考えました。その結果、私の中で出た答えはやっぱり憲法9条でした。世界の青年農家の実情の話を聞けば聞くほど、9条が果たしてきた役割の大きさを感じます。世界では青年農家が戦争や紛争の影響での自分の農地を持つことはおろか、そこに住むことすらできず自分の国、住んでいた農村を追われてしまう。日本では考えられない状況がこの現代社会で起こっています。

 戦後72年、世界のどの国よりも早く戦争を放棄し武力で争うことのない平和な世の中が確立されていたからこそ、日本の発展があったのだと実感できました。

「世直しは食直し」
本気でたたかっている

 食糧を生み出す農民が輝くには

 食糧を生み出すことのできる世界中の農民が輝くことで持続可能な社会をつくることが世界平和の第一歩であり、世界の農民はそのために本気でたたかっている――そんな彼らと出会うことができたことは私にとって本当に大きな刺激となりました。

 今回、こんなにも貴重な体験を日本の青年で経験できたのが私一人だけだったということは本当に残念なことです。もっと多くの日本の農家に体験してほしいです。それが明日の日本の平和ひいては世界の平和のためになるのですから。


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東京・日の出町 折田ナナ
 
長野・小諸市 布施和子

(新聞「農民」2017.8.14付)
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