新聞「農民」
「農民」記事データベース20170911-1278-01

生産調整廃止後の
米づくりは?

幅広い農家と語り合う「つどい」
岩手各地で開催へ


水田・家族農業・担い手…
農業を地域全体で守ろう

 「米価はどうなるのか」「来年からの転作について情報がない。このままでは秋に小麦の種まきができない」……。2018年から政府による生産数量目標配分が廃止されることを受け、不安の声が広がっています。

 これを受けて岩手県農民連では、呼びかけ文「水田・地域・家族農業を守るために農業の未来をご一緒に語り合いましょう」を出し、各地域で「つどい」の開催と幅広い農家との対話を呼びかけています。

 7月18日には盛岡市周辺の会員・周りの農家に呼び掛けて「これからの米づくりを語り合う会」を開催。10人の参加者からは、価格の問題を皮切りに「新たに機械を買う踏ん切りがつかない」という悩みが相次ぎました。直面している問題は農家ごとに少しずつ異なっており、「新たに買うよりは、いまの機械・設備を生かすこと」「機械は余力があるけど、問題は使う『人』だ」など、リアルな実態が出されました。突き詰めると、共通して出てくるのは担い手問題。「自分の息子だけにこだわらず、地域全体で見つけていかないと」など、経営を前向きに打開するための論議となりました。

 参加者から、後日「乾燥調製・精米施設を増設したい」と相談が寄せられるなど、地域全体の生産を守っていく論議のきっかけになっています。また、昨年から産直の要求で加入した会員から「いろんな情報を聞けて良かった」という感想も後で寄せられました。

 この会を呼びかけた小笠原憲公さん(盛岡農民組合組合長)は「行政が呼びかける座談会は規模拡大が前提。『誰もが担い手』という立場で地域全体を守るために本音で語り合う場が、みんなに新鮮に受け止められた。販路もみんなの悩みのタネだが、米産直への出荷を呼びかければ展望が開ける」と語っています。

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新日本婦人の会のみなさんと交流する小笠原さん(右から2人目)

 取り組みは、全県に広がりつつあります。「稲刈り直前につどいをもとう」「農民組合の中で、米を出していない会員もいる。一軒一軒、歩いてみよう」「田んぼをどんどん頼まれて規模を広げながらがんばっている農家がある。米出荷の呼びかけ・農民組合への加入訴えも含めて訪問しよう」といった話も具体化してきています。

(岩手県農民連 岡田現三)

(新聞「農民」2017.9.11付)
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