新聞「農民」
「農民」記事データベース20170918-1279-08

TPP上回る
史上最悪の農業破壊協定
日欧EPA
(3/3)

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持続的可能な農業こそ未来を築く

 安倍政権は、「日本の農業を成長産業にする」といい、輸出にこそ活路があると宣伝して、家族農業を排除し、規模拡大一辺倒の政策を進めています。北海道では、大規模化の結果、周りの農家の離農が進み、小・中学校が廃校になり、地域が疲弊している現状があります。住民が住めなくなる政策では、地域は維持できません。

 農民連は、農民組織であるヨーロッパのビア・カンペシーナ(ECVC)とともに、日欧EPAに反対する共同声明を5月に発表しました。その中で、EPAが進める輸出中心の農業について「企業支配下の食料システムがすでにもたらしている壊滅的な影響はさらに大きくなる」と批判しています。

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FTA反対、食糧主権の実現などを訴えて行進するビア・カンペシーナの仲間たち(7月23日、スペイン・バスク州ビルバオ)

 日欧EPAは、食料自給率38%の日本の農業を破壊するだけにとどまらず、ヨーロッパを含む家族農業の企業支配を強め、食料の安定供給を脅かすことになります。

 国連は2014年を国際家族農業年とするなど、家族農業の重要性が改めて見直されています。

 世界人口が現在の76億人から2050年に98億人、2100年には112億人になると予想されるなか、飢餓の克服が人類的課題です。国連の持続可能な開発目標は、飢餓を終わらせるため、持続可能な農業を促進することを掲げています。

 食料自給率が39%から38%に低下し、60%以上の食料を外国から輸入している異常事態が、さらに悪化しています。他国の食料を買いあさり、国内の農業を衰退させることは許されません。

 輸入食料は、化石燃料を使い、より長期の冷凍、冷蔵を施し、ポストハーベスト農薬などを用いて、はるばる運ばれてきます。環境破壊と地球温暖化が深刻化するなかで、こういうやり方は持続不可能です。

 日欧EPAの農業合意は、持続可能な農業を促進する国際的な流れに逆行しています。

 食糧主権・家族経営を基本とした農政への転換をめざし、農民連は、(1)日欧EPA、TPP11、日米FTAなどの経済連携協定をやめさせること、(2)価格保障・所得補償など下支え(岩盤)制度の確立、(3)多様な担い手の育成――を提案します。

 次期衆院選に向けて、市民と野党の共闘を発展させ、安倍政権を退場に追い込むことが、自由化一辺倒の安倍農政転換の第一歩です。

 全国で学習・対話を広げ、日欧EPA反対、TPP11も日米FTAも許さないという世論を急速に盛り上げましょう。

(新聞「農民」2017.9.18付)
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