新聞「農民」
「農民」記事データベース20171009-1282-01

TPPも日米FTAも
日欧EPAも全部ダメ

関連/TPP11葬り去ろう!


選挙で安倍暴走政治ノーの審判を

 「国難突破解散」――安倍首相は、こう言ってのけて森友・加計疑惑隠しの冒頭解散に打って出ました。しかし、最大の「国難」は憲法破壊、民意踏みつけ、国政私物化の暴走を進めてきた安倍政治の存在そのものです。

 とくに安倍農政に対する不満と憤りは爆発寸前です。日本農業新聞の農政モニター調査によると、自由化推進や農協改革の押しつけなどの農業つぶし政策に対する不信は7〜8割に達しています。

 選挙のさなかに進む自由化推進の暴走

 森友・加計疑惑隠しをさらに上回るのが、選挙のドサクサにまぎれて進められている自由化推進の暴走です。大きく言って3つあります。

 (1)日欧EPA(経済連携協定)は7月にインチキ「政治合意」しましたが、交渉の情報も日本の農林業に対する影響も一切隠したまま、選挙後の国会で「暫定発効」をねらう。

 (2)死んだはずのTPPをゾンビのように生き帰らせる。そのための秘密交渉を安倍政権が率先して進め、高級事務レベル会合を7月に続いて9月、10月に日本で開き、選挙直後の閣僚会議で決着させることをねらう。

 (3)究極の農業つぶしである日米FTA(自由貿易協定)に直結する交渉を選挙の最中に進め、11月初旬のトランプ大統領訪日に備える――投票日を10月22日にしたのは、その準備です。

 さらに、中国やインドを含むRCEP(東アジア地域包括的連携協定)交渉も進んでいます。

 共通しているのは、TPPを土台にして、アフリカなどを除く世界的な自由化体制を構築するという野望です。

 マスコミは「質の高い通商ルールを実現する交渉を同時並行的に進め、日本が前線に立って自由貿易の拡大をめざす『4方面作戦』。柱に据えるのはTPPだ」と、安倍政権のねらいを報じています(日本経済新聞、9月13日)。

 証明された「TPPの悪さ」TPP延命作戦を許すな

 日欧EPAがTPPを上回る自由化に踏み込んでいることについては本紙9月18日付で特集しました。ここでは、TPPと日米FTAの危険を告発します。

 9月21〜22日に東京で開かれたTPP11首席交渉官会合。政府は「交渉内容は一切明らかにできない」の一点張りですが、浮かび上がっている問題は鮮明です。

 交渉の焦点は、TPP交渉でアメリカがゴリ押しし、11カ国に押しつけた条項の「凍結」や修正の取り扱い。医薬品の特許期間の延長や国有企業の優遇廃止、原産地規則、農産物の関税や輸入枠など、70〜50項目に及ぶ修正要求が出て紛糾しています。

 日本政府は「凍結」を10項目程度にしぼり、11月の閣僚会合で政治決着をはかるという魂胆です。

 問題なのは、TPP11で紛糾するほど大問題のアメリカ・多国籍企業の利益優先条項を根本的に修正するのではなく「凍結」し、アメリカの復帰を待って「解凍」して、TPPをゾンビのようによみがえらせるということです。逆に言えば、各国の修正要求自体が「やはりTPPは悪い」と証明しているようなもの。

 今進んでいるのは、あくまでもアメリカ中心のTPP延命作戦です。

 TPP11推進の「三羽烏」のうちオーストラリアは腰が引け気味、ニュージーランドは9月23日の選挙で与党が過半数割れし、「TPP脱退」がささやかれる中で、安倍政権だけが突っ張っているという構図です。

 総選挙で自民党・公明党にTPPノーの審判を突きつける時です。

 日米FTA「農産物は日本が第一の標的」

 アメリカ大企業の海外進出によって、国内産業の空洞化と貿易赤字の拡大は進む一方です。トランプ大統領は「アメリカファースト」をかかげ、1対1の2国間交渉で貿易赤字解消と農産物輸出拡大を最重点課題にしています。

 中国との間では「貿易不均衡是正のための100日計画」で、中国がアメリカ産牛肉・米の輸入を解禁する約束をとりつけています。

 すでにFTAを結んでいるカナダとメキシコ、韓国に対しては「FTA脱退」を脅し文句にしながら、NAFTA(北米自由貿易協定)・米韓FTAの再交渉をゴリ押し。ねらっているのは、乳製品と米です。

 日本に対しては「2国間交渉では、TPP交渉を上回る合意を目指す」「日本は牛肉などの分野で一方的に譲歩すべきだ」と述べ、「農業分野は日本が第一の標的」と公言しています(ライトハイザー米通商代表)。

 「米国が日本にFTA交渉を迫ってくると考えている人は、霞が関にはもうほとんどいない」(産経、9月22日)という政府関係者もいますが、これは国民を欺くものです。

 選挙真っ最中の10月16日に予定されている麻生副総理・ペンス副大統領の「経済対話」に続く11月初旬のトランプ大統領訪日――選挙のドサクサにまぎれて進められる密室交渉で、究極の「TPPプラス」(TPP以上)である日米FTAの危険。

 一番の特効薬は、選挙で安倍暴走政治ノーの審判を下し、TPPや日米FTAにきっぱり反対する政党を伸ばすことです。


TPP11葬り去ろう!

首席交渉官会合開会日
市民団体が官邸前で行動

 9月21、22の両日、東京でTPP11の首席交渉官会合が開かれたことにあわせて、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」は21日、「TPP11秘密交渉反対! 官邸前行動」に取り組み、約50人が参加しました。

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TPP11首席交渉官会合開催に抗議して行われた官邸前行動=9月21日

 TPPに反対する人々の運動の山浦康明さんが開会あいさつと交渉に至る経過を説明しました。

 農民連の吉川利明事務局長が衆議院の解散・総選挙にふれ、「総選挙は、安倍政権に審判を下し、TPP、日欧EPA(経済連携協定)を葬り去る選挙。野党と市民が力を合わせて、安倍政権を退陣に追い込もう」と呼びかけました。

 日本共産党の畠山和也衆院議員、紙智子参院議員があいさつしました。

 最後は、ママデモのみなさんをはじめ、参加者が「秘密交渉反対! TPP11を葬り去ろう」と力強いコールを響かせました。

(新聞「農民」2017.10.9付)
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