新聞「農民」
「農民」記事データベース20171120-1288-06

豊かで安心できる学校給食めざして
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各地で無料化運動

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 全国各地で公立小中学校の給食をよりよくしようという運動や取り組みが広がっています。食の安全・安心や給食費(食材費)の保護者負担の軽減(無償化・無料化)を求めて、都道府県単位で会を結成した群馬県と大阪府の運動、無償化を実施している埼玉県小鹿野町と和歌山県古座川町の取り組みを紹介します。


O157中毒をきっかけに

連絡会結成し共同の運動

大阪

 10月28日に、「豊かで安全な学校給食をめざす大阪連絡会」の第21回総会と20周年記念レセプションが大阪市で開催されました。

 府交渉やシンポ課題ごとに学習

 1996年夏に各地で「病原性大腸菌O(オー)157」による食中毒が起こり、最も被害の大きかった大阪で豊かで安全な学校給食の確立をめざす要求と運動を前進させるため、97年、調理員や栄養士をはじめ教師・保護者・地域の「学校給食をよくする会」など18団体で本会を結成し、運動の交流と共同を進めています。

 総会や対府交渉(懇談)の他、夏と冬には学習シンポジウムを開催し、中学校給食や給食調理業務の民間委託化問題など、その時々の課題をテーマに学習や交流を行っています。

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10月28日に開かれた「豊かで安全な学校給食をめざす大阪連絡会」の第21回総会と記念レセプション

 住民無視の行政民間委託を推進

 大阪では、90年代後半から2000年代前半に、いくつもの自治体で住民参加の学校給食運動が繰り広げられ、「学校給食の現状は、何が問題か、何が問われているか」などをとりあげ、広く市・府民に知らせてきました。

 しかし、行政は教育関係者や地域住民の学校給食への思いを無視し、給食業務の公的責任放棄と効率化などで、小学校給食の民間委託を強硬に推し進めてきました。また、全国でワースト1位だった中学校給食実施の要求も高く、各自治体で自校直営方式の中学校給食実現のための運動が繰り広げられましたが、初期投資が少なくて済む民間調理場活用方式(デリバリー)で選択制を導入する自治体も少なくありません。

 学校給食切り捨ての動きに、大阪府を含めた各自治体や国に対し、より豊かで安全な学校給食を求める要求・要望をさらに強く行っていく必要があります。そのためにも、各地域の学校給食運動組織との連携を深めることが大切で、本会の役割も重要になっています。

 米飯給食ふやし人員増も不可欠

 教育としての学校給食は子どもの命と心を育て、食と食文化を守る場としても大切です。民間委託化、民間調理場活用方式など調理業務のリストラで、学校給食の献立は安全性が最優先され、食文化のうえで大きな問題を残しています。安全性だけでなく、食文化としての教材となりうる献立が求められています。

 米飯給食を増やし、米を中心に、肉より魚、油づけでなく、野菜・海藻・大豆などを十分に使った献立と食器具(木製や陶器・磁器など)の改善を図るため、施設・設備の充実と人員の増加が不可欠です。連絡会が結成されて20年、これからも、学校給食の課題で運動の交流と共同を広げていかなければなりません。

(豊かで安全な学校給食をめざす大阪連絡会副会長 石川友美)

(新聞「農民」2017.11.20付)
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