新聞「農民」
「農民」記事データベース20171127-1289-07

農家の税金対策
(6)


所得税のしくみ

 所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。その年の1月1日から12月31日の収入と経費をもとに、法令にもとづいて税額を計算して申告し、納税します。

 贈与や相続などで得た収入は贈与税や相続税の扱いになりますので、これは所得税の計算には含めません。

 おおまかな計算方法

 所得の種類ごとに計算方法が決められています。「事業(営業等・農業)」「不動産」「利子」「配当」「給与」「雑」「総合譲渡」「一時」の8種類の所得は「総合課税」といって、それぞれの収入金額から必要経費等を控除して合計所得を出したあと、人的控除などの「所得控除」を引いて算出した「課税所得」に税率をかけて税額を出します。

 ほかに、所得の種類ごとに違う税率で計算する「分離課税」の所得として「分離譲渡」「山林」「退職」の3種類の所得があります。年間のすべての所得から税額を計算したあと、さらに「税額控除」を引いて納めるべき所得税額を計算します。

 確定申告が、いろんな税金・料金の元に

 総合課税の所得税率は、「課税所得」195万円までは5%、4000万円をこえると最高税率の45%など、金額が増えるほど高い税率になります。

 確定申告した所得金額や各種控除の内容をもとに、住民税や国保税も計算されます。多くの農家にとって、最も重い税金は国保税であり、住民税の方が所得税より重くなっています。「所得税はどうせ大してかからないから」とあなどっていると、ちょっとしたことで知らないうちに大損していることがあります。

 住民税が非課税になると、医療費の自己負担限度額や介護保険料、介護保険利用料、保育料など、各種料金が減額され、場合によっては年間数十万円もの差が生まれることがあります。

 経費の出しかたなど所得金額の計算のしかた、各種控除の引きかたなど、得する計算方法を仲間同士で学び合いましょう。

 次回から、農業所得の計算方法に入ります。

(税金対策部)

(新聞「農民」2017.11.27付)
HOT情報
写真