新聞「農民」
「農民」記事データベース20180129-1296-01

農民連が全国委員会開く

来年の農民連結成30周年に向け
過去最高現勢の回復に挑戦!

 農民連は1月17、18の両日、都内で全国委員会を開き、2日間を通じて43都道府県・5団体から約120人が参加しました。笹渡義夫会長が開会あいさつ。「来年の農民連結成30周年に向けて、すべての組織が農村で多数者になることを目標に会員と新聞『農民』読者の拡大に挑戦し、運動と組織拡大の大飛躍で次期大会を迎えよう」と呼びかけました。


安倍官邸農政と対決し、
農民の多様な要求実現を

 世界の流れは家族農業の尊重

 情勢についての常任委員会報告を真嶋良孝副会長が行い、日米FTA(自由貿易協定)、TPP11、日欧EPA(経済連携協定)など究極の自由化に突き進む安倍政権を批判。国連が、「国際家族農業年の10年間」を決議し、「農民の権利宣言案」が検討されるなど、世界の流れは、家族経営の尊重、農民の権利の確立にあることを紹介し、「安倍官邸農政から食糧主権、家族経営を基本にした農政に転換しよう」と訴えました。

 吉川利明事務局長が全国委員会決議案について報告。「9条改憲ノー、3000万人署名」を推進する意義を強調し、農協や自治体との懇談など生産と地域を守る取り組み、消費税増税阻止、国保税の引き下げなどくらしと経営を守る運動を呼びかけました。

 さらに要求運動と結んだ仲間づくり、組織づくりを全国で進めることを訴えました。

 日本共産党の紙智子参院議員、映画「ごはん」監督の安田淳一さんの2氏が来賓あいさつを行いました。

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報告する笹渡会長

 各地の実践報告 決議案を補強

 討論では、29人から発言があり、どの発言も決議案を補強し、30周年に向けて農民連を大きくしたいという決意あふれるものでした。

 農業情勢では、島根の長谷川敏郎会長から、青年就農給付金制度が安倍政権によって農業次世代投資事業に変えられ、青年の希望を断ち切る事態が進行している実態がリアルに語られ、各都道府県連でも実態をつかみ、都道府県に要請をすることが提起されました。

 大阪の中西顕治事務局長からは、国保税の都道府県単一化に対し、大阪府では各市町村が国保会計に繰り入れしていた200億円をやめることによって、一人当たり数万円もの値上げになるとの実態が出されました。

 「3000万人署名」の取り組みでは、宮城の鈴木弥弘事務局長が、県連として5000人分を目標にした取り組みを報告。「全国で30万人目標達成に向けてがんばろう」と訴えました。

 長野の竹上一彦会長からは、「ものを作ってこそ農民」「物を作り続けることこそ、立派な農民運動」として地域に根づいていた白毛餅を守り、生産・販売を広げている実践の報告もありました。

 文化運動で農業や農村の価値を広げる取り組みとして、映画「ごはん」の上映運動の経験が富山、京都から報告され、「農を軸にした対話と共感」が保守層を含めて広がり、市民と野党の共闘の情勢の中で、すそ野を広げる可能性が示されました。

 岩手の小笠原憲公副会長からは、地域農業を守るために共同組織を立ち上げ、多面的機能支払交付金を活用し草刈りの共同作業をはじめ、荒れたハウス内の整理、木の伐採、U字溝の設置など、これまで個人ではできなかったことを次々に解決している様子を紹介。その中で農民連を広げ、今では「農民組合なしには地域の営農が進まない」と報告しました。

 大分の佐藤隆信会長は、村の過疎化を守るために、人口の1割を準公務員として雇っている姫神村の経験を報告し、所得補償の一つのあり方として注目されました。

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参加者全員で決議を採択しました

 春の拡大大運動 飛躍を誓い合う

 福岡の佐々木督文会長は、九州北部豪雨災害の支援の取り組みで、「いち早く農民連本部が支援に駆けつけたことが被災地を励まし、その後の支援体制・共同センターの基礎を作った。いまでは『頼るところはここしかない』存在になっている。農民連があってよかった、全国の仲間がいてよかった」と発言。各県から昨年8月の「役員・専従者研修」がその後の大きな力になっていること、農民連行動綱領を地域で生かしていく活動が重要になっていることも語られました。

 岡山の秦明美事務局長からは「県の農家戸数は5年間で1万人も減っているなかで、会員を増やしても減る方が多くて本当に苦労している。かといってこのまま放置できない」と県北地域に米倉庫をたてたこと、税金対策部員養成講座に役員皆で取り組んでいることなどが報告されました。

 東京の武山健二郎副会長も、「このままでは東京農民連がなくなってしまう」と、清瀬地域に農民連を根付かせるために、毎月、新聞「農民」の見本紙を150部取り寄せ、農家訪問を始めたことを報告しました。

 奈良の水井康介事務局長は、今年の春の大運動に出足早く取り組み、すでに10人以上の加入が見込まれていると切り出す一方、毎年50人近く増やしても、退会が多く純増させるのが厳しい現実を語り、「税金以外にもものづくり、産直、労災などいろいろな要求で誘いたい。事務局会議、役員会議を定期に開催し、共感を広げることも重視している」と春の大運動での飛躍を誓いました。

 福島の佐々木健洋事務局長は、2020年までに2000人の県連を作る決意を語りました。奈良・大阪の要求しおりを参考に、福島県版を作り全会員に配って語り部を増やし、1万人と対話する500カ所の「なんでも相談会」を開催する決意を述べました。

 農民連への応援 国民に広がる

 討論のまとめに立った吉川事務局長は、「厳しい情勢だが、日本の農業を守る旗を高く掲げる農民連を応援したいという消費者・国民は確実に広がっている」と切り出し、過去最高現勢を目指す県、2倍3倍を目指す県、各都道府県連が30周年記念大会に向けた明確な目標を掲げ団結してまい進しよう。全国一丸となって5000人の会員拡大をめざそう。春の大運動を必ず成功させ、素晴らしいスタートを切ろう」と呼びかけました。

(新聞「農民」2018.1.29付)
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