新聞「農民」
「農民」記事データベース20180205-1297-07

農民連結成30周年にむけ、持続可能な
農業と農山村を保障する農政実現へ、
強大な農民連建設に挑戦しよう!
(2/7)

2018年1月18日
農民連全国委員会決議

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関連/全国委員会の発言から


【2】究極の自由化に踏み込む安倍政権――日米FTA、TPP11、日欧EPA

1、TPP11は「偽装合意」、TPPの息の根を止める運動を

 日本政府は、11月11日、TPP11が「大筋合意」したと発表しました。しかし、交渉継続項目が4つ残されており、日本に次いでGDP(国内総生産)2位のカナダが「今後の議論のための通過点であり、合意ではない」と表明しています。TPP11合意は「偽装合意」であり、まだ「終わっていない」のが真相です。

 最大の問題は、「元のTPP」を丸ごと取り込んだ上で、アメリカが多国籍企業の要求を代弁してゴリ押しした条項を削除・修正するのではなく、いくつかの条項を「停止」という形で温存し、アメリカの復帰を待って停止条項を生き返らせて「元のTPP」に戻すというやり方です。

 日本以外の10カ国から出された「停止」要求は(1)医薬品の特許期間の延長、(2)投資家と国家の紛争処理手続き(ISDS)、(3)国有企業の優遇廃止、(4)衣類などの原産地規則、(5)金融・サービスなど60項目にも及びました。これ自体が、「やはりTPPは悪い」ことの証明です。

 実際に停止で合意した項目は医薬品の特許期間の延長、ISDSの一部など20項目で、停止ではなく、削除して当然の項目ばかりです。しかも「元のTPP」は厳然として残り続け、TPPの毒が抜けるわけでは全くありません。

 世界の世論と運動によって死んだはずのTPPを、日本政府が主犯になって“ゾンビ”のように生き返らせることをねらったものといわなければなりません。

 日本政府は「はずしたい項目は1つもない」という態度を押し通しました。その結果、農林水産物については、WTOなど既存の協定をはるかに上回る関税撤廃・削減などの自由化を進める枠組みは、そっくりそのまま生き残っています。

 また、アメリカを含むTPPで合意した乳製品の輸入枠拡大や牛肉のセーフガードには手がつけられなかったため、アメリカ以外の国による輸入枠の分捕り合戦や、絶対に発動されないセーフガード(緊急輸入制限)という事態になることは必至です。

 死んだはずのTPPも、TPP11も断固として拒否し、「TPPは終わっていない」「TPPの息の根を止めよう」の声と運動を強めるときです。

2、TPP以上、究極の自由化協定を狙うアメリカ

 (1)トランプ政権の通商政策は「貿易赤字削減」原理主義

 トランプ政権の通商政策は「アメリカ第1主義」にもとづいて、2国間交渉でアメリカの貿易赤字削減のための譲歩を強要することです。

 つまり「トランプ政権関係者は『通商代表が目指すのは、相手国に米国製品の輸入枠を設けたり、対米輸出を制限したりする管理貿易だ』と明言する。赤字削減に向けて米国の主張を押し通し、交渉相手国の譲歩を引き出す戦略」(日経10月24日)です。

 この「赤字削減原理主義」は、日本に対して最も強烈に発揮されることは必至です。従来も自動車・繊維・半導体摩擦交渉、構造協議などで押し通されてきましたが、日米FTAは決定版になることはまちがいありません。

 (2)「TPPは役立たず」として撤退したトランプ政権は何を狙っているのか

 答えは、トランプ政権の2017年『外国貿易障壁報告』と、TPPの結果そのものにあります。

 アメリカはTPP交渉で、米や小麦、牛・豚肉、乳製品の関税撤廃を日本に迫り、副次的要求としてアメリカ産米20万トンの輸入増などを要求しました。結果は、アメリカ産米7万トン輸入増、牛・豚肉の関税大幅引き下げ、ハード系チーズの関税撤廃など、日本農業に大打撃を与えるものになり、アメリカ農務省は対日農産物輸出が4000億円増えると試算しました。

 しかし、アメリカにとっては、これでも「不本意」な結果であり、日本の農林水産物全体の関税撤廃率81%、米(26%)、乳製品(16%)を100%に近づけることをねらっています。

 さらに『外国貿易障壁報告』では、食品添加物、残留農薬基準、薬価制度の規制緩和と農協共済に対する規制強化などを要求しています。日米FTAにかけるアメリカの強欲な要求はとどまることを知らないといわなければなりません。

3、日米首脳会談で日米FTAに突き進む危険が強まった

 (1)日米首脳会談で日米FTAについて話し合っていた

 ハガティ駐日アメリカ大使は11月17日、日本記者クラブでの講演で「日米首脳会談でトランプ大統領と安倍首相は、米国の対日貿易赤字を是正する手段として、日米FTAを含むあらゆる選択肢について率直かつ単刀直入に協議した」ことを明らかにし、その全文を大使館公式ホームページに掲載しました。

 安倍首相は「日米FTAに関するやりとりはなかった」と打ち消しに躍起になっていますが、アメリカ側に抗議も取り消し要求もしていません。いったい、どっちがウソをついているのか、結論は明白です。

 (2)米や小麦、乳製品の完全自由化が狙い

 ハガティ大使は「非常に高い基準の2カ国間協定を求める」と述べましたが、それを象徴するのが、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉でアメリカがカナダに突きつけた新交渉目標です。

 カナダは乳製品・鶏肉・鶏卵の輸入管理(需給調整)と価格下支えを組み合わせた「供給管理政策」を長年実施しており、TPP交渉でも守り抜きました。

 トランプ政権はこれを「アメリカからの輸入をはばむ不公正な政策」と、ついに廃止を要求するに至ったのです。

 日本でいえば、米や小麦、乳製品の輸入管理・需給調整に対する全面的な攻撃に匹敵します。

 TPP交渉では、米や小麦、乳製品の国家貿易と関税はかろうじて維持しましたが、日米FTAでは、ここに焦点を当て、国家貿易の廃止と関税撤廃をゴリ押しする完全自由化の危険が強いと見なければなりません。カナダに対するアメリカの要求が示しているのは、そういう事態です。

 (3)「まさか」が通用しないウソつき政権であることを肝に命じて

 首脳会談で「日米FTAに関するやりとりはなかった」と真っ赤なウソをつきながら、「国益を守ることができる」と開き直ってTPPを上回る日米FTAに突き進む危険が強まっています。相手は「まさか」が通用しない政権であることを肝に命じて、市民と野党の共闘の重要な課題として、日米FTAを交渉入り前につぶす運動を、いま、TPP反対のネットワークや農協、自治体などに呼びかけて、TPP反対のような運動を地域から巻き起こすときです。

【3】世界の流れに逆行する安倍官邸農政、家族経営、食糧主権こそが世界の流れ

 安倍政権は、TPPなどの巨大FTA推進をアベノミクスの「矢」にし、「国際競争力のある強い農業」「農業の成長産業化・輸出産業化」をかかげて、家族経営をつぶし、農業、食料、農村を大企業のビジネスチャンスにする官邸農政を執ように追求しています。

 これは、国連が2019年からの10年間を「国際家族農業の10年」とすることを決議するなどの世界の流れに完全に逆行しています。

 「“右の革命政権”と規制虫」(小松泰信岡山大教授)が強行する官邸主導農政には、農業者の8割が反対していますが、斉藤農相は「次期通常国会が農政改革の制度面での総仕上げになる」と開き直っています。ここでも「まさか」が通用しない政権であることを肝に命ずるべきです。

1、家族経営を支える制度の解体を容赦なく推進する安倍政権

 安倍官邸農政が狙うのは、農地改革によって創出された家族経営(自作農)を支えるための枠組みの解体です。その矛先は次のように全面的です。

 (1)農地法・農業委員会――株式会社の農地取得を可能に、農地所有適格法人(旧農業生産法人)の要件緩和、農業委員の任命制・建議の廃止

 (2)価格保障――2018年から米の直接交付金を廃止、米の生産調整の配分中止、加工原料乳・指定団体制度の改悪、収入保険制度の導入

 (3)農業協同組合――農協の株式会社化、信用・共済事業を単位農協からはく奪、準組合員制度の見直し

 (4)食料増産と国内自給、国境保護――食料自給率向上の放棄、WTO、TPP、FTAなどの推進

 (5)災害補償(農業共済)――米麦の義務加入廃止、対象限定、欠陥だらけの収入保険制度への置き換え

 (6)種子法――17年の通常国会で主要農作物種子法を突然廃止。米・麦・大豆の公的開発・管理責任を放棄、アグリビジネスに種子市場を明け渡す

 (7)卸売市場――市場法の解体的改悪案を次期通常国会に提出

 (8)国有林の売却、漁業権のはく奪も計画

2、農協解体の動きは執よう

 官邸に強要された農協「自己改革」のなかで、ガソリンスタンドやAコープ店舗が閉鎖されたり、農機修理センター閉鎖によって修理をあきらめざるをえない、1県1JA化によって職員の9割が信用共済部門に集中しているなどの事態が続出しています。

 さらに、規制改革推進会議は「重点的フォローアップ」分野として「農業者のための農協改革」の推進をあげていますが、実態は農協の事業や資金を大企業やアメリカに明け渡すことを狙ったものにほかなりません。

 農協解体の動きに反対し、農民と農村住民の利益と地域を守るインフラとして、農協が協同組合としての役割を発揮することができるよう地域から運動を強める時です。

(新聞「農民」2018.2.5付)