ふるさとよもやま話千葉県農民連会長
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水田が広がる椿海 |
かつては超湿田
基盤整備で解消
私が就農したころは超湿田でひざも見えなくなるほどで、田船で稲を運び、大変な農作業でした。「椿海」の名の通り、長雨となると稲穂が水に浸り、芽が出たり、日照りが続くと塩が白く噴き出てきて、収量が激減したりしました。当時は赤トンボ、蛍が乱舞し、川にはフナ、雷魚、ドジョウ、ウナギ、ザリガニなどが生息していました。その後、耕地整理が進み、大規模化で作業の機械化、多肥・農薬散布で生物が消えかかっています。
今、更なる基盤整備が進行し、用水・排水が改善され、湿田も解消し、便利になっています。
この地の進取の伝統受け継いで
しかし、現代の鬼、魔王の悪行、暴走によって地域は崩壊の危機に直面しています。多国籍企業の利益に沿った世界に類のない農産物の自由化によって食料自給率は異常な低さです。美田の「椿海」は生産費に合わない低米価、高い農機具、離農、人口急減、高い未婚率、耕作放棄地の増大など、苦悩に満ちあふれています。
この地域には、南には幕末時代に農漁民の救済に決起した「真忠組」、北には世界で最初の協同組合を設立、幕府の弾圧で自害した「大原幽学」らがいました。
世界の流れ、家族農業が危機にたつ日本、農村地域の再生のため、この地の進取の伝統を受けついてゆきたい。
※1〓は「にんべん」+「専」
(新聞「農民」2018.2.12付)