新聞「農民」
「農民」記事データベース20180219-1299-01

女性部第29回総会


農村女性の輪を広げて
憲法・家族農業を守ろう

 農民連女性部の第29回総会が2月2、3の両日、福島市の飯坂温泉で開催されました。今年の総会スローガンは「農村女性の輪を広げ、憲法・家族農業を守ろう〜持続可能な社会をめざして」。福島県内各地から約70人(男性含む)もの女性たちが参加したのをはじめ、全国から総勢154人が集い、女性部の運動のいっそうの発展を誓い合いました。

 女性部員の登録運動を進めよう

 日本共産党の紙智子参院議員、日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長の来賓あいさつに続いて、農民連副会長で福島県農民連会長の根本敬さんが歓迎のあいさつを兼ねて情勢報告を行いました。根本さんは、今年の大きなテーマとして9条改憲、沖縄の基地問題、原発の3つをあげ、「これに向き合っていくには、人の話をまず聞くという姿勢の『対話』が重要であり、女性部の力が発揮されれば農民連そのものに大変革がもたらされる」と、大きなエールを送りました。

 女性部事務局長の藤原麻子さんが、総会議案を報告しました。農民連結成30周年を迎える来年に向けて、女性部会員が運動の担い手となって奮闘することを呼びかけるとともに、「世帯会員の6割という女性部員の登録運動の目標を必ず達成しよう」と提案。「家族農業を守り、持続可能な地域社会をつくるため、農村女性の輪を広げ、ジェンダー平等を進めていこう。さまざまな意思決定の場面に、女性もどんどん参加していこう」と、力強く呼びかけました。

 学習会では、「地球温暖化って本当に解決できるの? 気候変動の現状を学び、再生可能エネルギーへの転換を」をテーマに、東京大学特任研究員の佐川清隆さんが講演。会場の女性たちからも異常気象をはじめ温暖化が農業に被害を与えている現状が次々と語られ、佐川さんは、「安倍政権のエネルギー政策を市民の運動で変革していこう」と訴えました。

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元気いっぱいの発言に、笑顔がはじけました

 女性のパワーが地域を変える

 2日目の討論では、文書発言を含めて32人が発言しました。

 最初に登壇したのは、昨年11月の市長選挙で市民と野党の共闘で推した三保恵一さんの当選を勝ち取った福島県二本松市から参加した3人です。「選挙では農民連もがんばりました。とくに支えになったのが女性のパワーです」と報告した野地友子さん。後援会長を務めた鴫原孫一さんの奥さんのクニ子さんは「農民連に入ってよかったのは一致団結していること。すばらしい」と述べ、鈴木富子さんは「農業と政治は結びついている。これからも三保市長を農民連で支え、地域を変えていきたい」と発言し、大きな拍手が湧きました。

 女性部で新たな活動に踏み出した報告も相次ぎました。山口県の世良えみ子さんは、「女性部員の登録をどう進めようかと悩んでいたら、まずはみんなで集まって焼き肉のたれを作ろうことになり、その場で訴えたらほとんどの女性がすぐに加入してくれた」と発言。

 宮城県の菅原栄子さんは、女性部主催で税金学習会を開いたところ、予想を大きく上回る参加があったことを報告し、「女性部員だけに目を向けていては先細るだけ。困った時に相談できる相手として、広く、新たな活動を展開して、女性部への登録も進めていきたい」と語りました。

 愛知県の原田愛子さんは、特産の次郎柿の加工で地域の農業を守る取り組みを紹介するとともに、「全国の女性部の活動は大きなヒントを与えてくれる。ぜひ身の回りの女性たちに地道に農民連の魅力を語り、数値目標も明確にして愛知県でも女性部を再建していきたい」と話しました。

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懇親会では福島の女性たちが色鮮やかな衣装でフラダンスを披露

 農家の女性に定年はない

 福島県二本松市の菅野まゆみさんは、農家民宿の取り組みを発言。さまざまなお客さんとの交流エピソードを紹介しながら、「農家のお母ちゃんに定年はない。農家民宿は自分の作った農産物、農村の景観、そして農家の暮らしそのものを提供していけば、肩肘張らなくても農業や農村の豊かさを伝えられる、すばらしい女性の活躍の場になる」と語り、会場から大きな拍手が湧きました。

 また福島県南相馬市の宮川フジ子さんは、この3月で8年目を迎える原発事故での避難生活について語り、「ふるさとに帰りたい思いを押し殺して年とってしまうより、体の動く今のうちに南相馬に帰って、大好きな農作業をして生きて行きたい」と話し、女性たちに大きな感動を呼びました。


沿岸被災地へオプションツアー

原発は必ずゼロに

福島の苦しみ無にしない

 3日の午後から4日にかけて、オプションとして、原発事故の被災地を訪ねる視察バスツアーが行われ、30人が参加しました。

 一行はまず、高い放射線量が測定され町域の多くが居住制限区域となった飯館町を、日本共産党の佐藤八郎町議の案内で視察。相馬市の松川浦に宿泊して、2日目は、南相馬女性部の渡部チイ子さんの案内で、相馬市から南相馬市の被災地を訪問しました。渡部さんは、2016年7月の避難指示解除を機に避難先から戻り、自宅を改築して高齢者のデイサービスセンターを開設しており、困難ななかでも地域の復興に取り組む姿勢に、女性たちも励まされる思いでした。

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渡辺チイ子さんのデイサービスセンターの前で

 そして最後に、2日間を通して同行・ガイドしてくださった帰還困難区域の浪江町津島地区の農家で、日本共産党町議の馬場績(いさお)さんの自宅と水田を視察。洗濯物が干されたままの自宅、そして一面の柳の林となった水田風景に、一行は言葉を失いながら視察。解散地までの車中では、「福島の苦しみを無にしてはいけない。原発は絶対にゼロにしなければ」との思いが、次々と語られました。

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柳の林と化した馬場さんの水田

(新聞「農民」2018.2.19付)
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