新聞「農民」
「農民」記事データベース20180226-1300-01

農民連青年部第26回総会

青年部をもっと大きく
若い農家の声届けよう

 農民連青年部は2月12、13の両日に第26回総会を埼玉県伊奈町の県民活動総合センターで行いました。海外からのゲストを招いて行った今回の総会には、約50人が参加しました。


海外からゲスト招いて

 世界の動きに目を向けよう

 2017年7月にスペイン・バスクで行われた国際農民組織ビア・カンペシーナの国際総会に参加した青年部の平間徹也部長(宮城)が、「他の部員にもぜひ海外の仲間と触れ合い、世界の動きに目を向けてほしい」という思いから、特別企画として「明日のEarth(アース)を考える」というタイトルで、海外ゲストを招きました。

 来日したのは、中米からニカラグア農村労働者組合(ATC)のエリカ・アイリ・タケオさん(26)=女性=、東南アジアからは、インドネシア農民組合(SPI)のアンガ・ヘルマンダさん(26)=男性=の2人です。

画像
2日間の総会を終えて、「ビバ!ビア・カンペシーナ」のかけ声とともに

 私たちこそが食料を提供する

 平間部長は冒頭、「世界で活動している人たちはとにかく若くて熱い。そしてやさしい。その人たちとの交流で自分の世界だけしか見ていなかったことに気付かされた。話を聞いて地元に持って帰り、明日の力にしてほしい」と呼びかけました。

 「私の父は日本人です」と自己紹介したエリカさんは、ATCの紹介や、中央アメリカでのビア・カンペシーナの活動、そして、アグロエコロジーとその訓練学校について話しました。

 「アグロエコロジーは企業による乗っ取りの危機にある」と語るエリカさん。「だからこそアグロエコロジーとは何か、はっきりさせないといけません」と述べ、「ビア・カンペシーナにとって、アグロエコロジーは食糧主権を実現するための土台で、先祖から伝わる、地域に根ざし環境と調和する生産手法です。これを通じてこそ、地球の人々に食料を供給できると考えています」と話しました。

 アンガさんは、植民地時代から続いてきたインドネシアの土地や種子の収奪について説明。また、いまインドネシア政府によって進められている農地改革によって、ヨーロッパの1国の面積に相当する900万ヘクタールの農地が農民に分配される計画であること、一方で農地紛争は激化していることも紹介しました。

 質疑応答では、ATCの教育について実践を通じて学ぶことを重視しているということや、SPIのような大きな組織をつくっていくにはどうすればいいのかなどについて議論しました。

青年部はおもしろい

 青年部の国際活動を3人が報告

 青年部の国際活動についても3人が報告しました。平間部長は、ビア・カンペシーナ国際総会の様子を動画で紹介。

 福島県の菊地穂奈美さんは福島県農民連のウクライナ・チェルノブイリ視察について報告。

 「100キロくらい離れているキエフでは、もう事故のことは忘れられかけている。でもチェルノブイリの近くでとれた野菜は買わないと言っています」と話しました。

 「実は福島の事故の責任はだれもとっていないし検証も進んでいません。みんな忘れているというのが福島にいて感じることです。でも、原発は今すべてを廃炉にしても核のゴミは将来に残るものです。人間の命と尊厳をもとに考えていけば原発ゼロしかないのではないでしょうか」

 福島県の佐藤哲子さんは、台湾に行った夏の学習交流会の報告を行いました。新規就農者が集まるグループで聞いた「農業体験ではなく農村を体験するという発想が刺激になりました」「台湾と日本の農村を取り巻く環境は共通点が多く参考になりました」と語り、台風の被害を受けた文旦農家の手伝いや地元のグループとの交流などを報告。先日発生した台湾地震への支援募金も呼びかけました。

 企画の最後にはエリカさんとアンガさんの2グループに分かれて質疑応答の時間を設け、さらに交流を深めました。

画像
海外代表の話を熱心に聞く参加者

国の農政を変えよう

 自分達の活動に自信を持って

 2日目は総会の議事が行われました。渡辺信嗣事務局長から情勢と活動の報告、決算の報告が行われ、平間部長が18年の方針案を説明。「もっと世界に目を向けながら、自分たちの活動に自信を持って取り組んでいこう」と呼びかけました。

 討論では、茨城県の入江赳史さんが「農業の希望は青年部。今年は誰も連れて来られなかったので、来年こそは『青年部が再開した』と報告できるようにしたい」と決意を述べ、福島県の鈴木清治さんは、「農民連というのはすごく便利な組織だと感じている。これを残していくためにももっと青年部を大きくしたい」と話すなど、海外の活動に刺激を受けて青年部の活性化に取り組みたいという発言が多く飛び出しました。

 討論のまとめで、相澤堅副部長(新潟)は、「農水省や県と交渉して青年の声を届けるのが青年部の役割。青年部をもっと大きくして国の農政を変えよう」と訴えました。総会は新役員の人事を含めて全員一致で決議案を承認し終了。

 感想では、「新しく世界に目を向けるきっかけとなりました」「青年部はおもしろい。なぜもっと魅力を語ってこなかったのか。次回は新たな参加者を連れてきたい」などの感想が寄せられました。

 日本共産党の梅村さえこ前衆院議員、農民連本部の勝又真史常任委員が来賓あいさつを行いました。

 総会で選出された主な新役員は次の通りです。(敬称略)

 部長=平間徹也(再、宮城)、副部長=相澤堅(再、新潟)、山村聡(新、群馬)、事務局長=渡辺信嗣(再、本部)

(新聞「農民」2018.2.26付)
HOT情報
写真