新聞「農民」
「農民」記事データベース20180416-1307-08

農家が得する
税金コーナー
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税金が払えないときは
「納税の猶予」の申請を

 「税金を払えるだけの収入がない」というときに、最大限活用するべき制度として「納税の猶予」があります。

 国税通則法46条2項に定められているものが「通常の納税の猶予」と呼ばれている制度です。次の5つの事実のいずれか(猶予該当事実)によって、税金を一時に納付することが困難なときに、申請により活用することができます。

 (1)災害等 納税者の財産が災害や盗難などの被害を受けたこと
 (2)病気等 納税者または納税者と生計を一にする親族が病気にかかり、または負傷したこと
 (3)事業の休廃止 納税者が事業を廃止または休止したこと
 (4)事業の著しい損失 事業について著しい損失を受けたこと
 (5)以上の4つの事実に類する事実があったこと

 (5)を最大限に生かすことが大切です。例えば、「事業の著しい損失」とは、事業の直近1年の利益がその前の1年間の半分以下になったときとされていますが、「それに類する事実」は、半分以下の損失でも、また、事業以外の損失でも該当するとされています。

 「納税の猶予」の効果

 「納税の猶予」が認められると、一般的な分納と違って、次の効果があります。

 (1)督促や滞納処分がされない
 (2)申請により差し押さえの解除ができる
 (3)延滞税が減免される

 1回の申請で猶予される期間は最大1年間ですが、1回目の猶予期間内に完納できない場合、もう1年延長する申請ができます。

 申請書の書き方

 「納税の猶予申請書」には、(1)納付すべき税金の税目、納期限、本税、加算税、延滞税、利子税など、(2)猶予該当事実の詳細、(3)一時に納付することができない事情の詳細、(4)今後1年の毎月の納付計画、(5)猶予期間(申請日から1年間)、(6)担保の有無――を記載します。書ききれない欄は別紙に書くことができます。

 申請書に、「財産収支状況書」と猶予該当事実を証明する書類を添付します。猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合には、「財産収支状況書」に代えて「収支の明細書」を添付するほか、「財産目録」と担保関係書類も添付します。担保として提供できる財産がないときは、その旨を申請書に記載します。

 納付能力調査

 「納税の猶予」の申請をすると、「納付能力調査」が行われることがあります。この調査は、課税のための税務調査とは全く別のもので、帳簿書類等がないときは、聞き取りなどによって確認します。

 地方税は「徴収の猶予」

 国税については「納税の猶予」といいますが、地方税の場合も同様に、地方税法15条で「徴収の猶予」の制度が定められています。
(税金対策部)

(新聞「農民」2018.4.16付)
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