新聞「農民」
「農民」記事データベース20180528-1312-09

地元産の食材で安全な学校給食を
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お母さんたちと農民連が交流

楽しい活動で幅広く厚い参加者
奈良 大和郡山

 「大和郡山子どもの食を考える会」が、大和郡山市の小学校に通う子どもやお母さんたちと毎年実施している玉ねぎの収穫時期がもうすぐやってきます。この「玉ねぎプロジェクト」(通称『玉プロ』)で収穫された玉ねぎは、6月の「大和郡山カレーの日」の小中学校給食に使用され、子どもたちの人気メニューとなっています。

 きっかけは、学校給食のアレルギー対応などについて日常的に給食センターと懇談を重ねていたお母さんたちと、地産地消の給食を願う農民連の農家が2011年の学習会の席で交流したこと。

 2014年には月1回、地元食材を学校給食に納品していたJAの「経営者クラブ」の協力で約800キロの玉ねぎとメークインが納品され、学校給食への初供給が実現しました。

 「玉プロ」の畑は、区画を分けたオーナー制になっており、玉ねぎだけでなくイチゴ、豆類なども栽培され、農家の指導で植え付けから草取り・施肥・収穫まで一連で作業を行います。

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玉ねぎの植え付け、市長も毎回参加

 また、市のアイデアサポート事業の制度を利用して、「百年ごはん」の上映会や「玉プロ新聞」の発行、玉ねぎの皮染めのワークショップ、米づくり体験とみそ作りなど、幅広く楽しい活動で参加者の層を厚く維持しています。

 JAを窓口にした市内6500食の学校給食への供給は、2017年までに1800キロに増え、品目も玉ねぎ、ジャガイモ、かぼちゃ、サツマイモ、ニンジンと、毎年増やし、農薬・化学肥料を使わずに栽培しています。

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玉ねぎを使ったメニュー

 離農を考えていた高齢の生産者も給食納品をきっかけに、元気に野菜作りを続けることになり、農家の生産意欲にも影響を与えています。また新規就農者の安定した販路としても期待できる取り組みの一つです。

 当初4人しかいなかった生産者も現在は13人が関わるようになりましたが、安定した供給をするにはまだ多くの農家の協力も必要です。

 子どもたちの未来と農業継続の大きなカギとなる、地産地消の安全な学校給食のとりくみ。出会いと話し合い、そしてできることからまず一歩踏み出すこと、このくりかえしを重ねて、粘り強く進めていきたいと思います。

(新聞「農民」2018.5.28付)
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