新聞「農民」
「農民」記事データベース20180611-1314-01

福島第二 柏崎刈羽(新潟)含む
全原発を再稼働?
原発推進のエネルギー政策はやめよう

市民団体が共同で12万人分署名提出


新エネルギー基本計画案に
NOのパブコメを

 国のエネルギー政策を定めた「第5次エネルギー基本計画」の原案が先日、経産省から発表され、パブリックコメント(国民からの意見募集)が始まりました(6月17日まで)。しかし計画案の内容は問題だらけ。国民の圧倒的多数が求める「原発ゼロ」にも、今や世界のすう勢となっている「再生可能エネルギーの拡大」にも背を向けた計画案となっています。

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署名提出集会(5月23日)には菅直人元首相(後列右から7人目)をはじめ、野党4党の紹介議員もかけつけました

 原発・石炭をベースロード電源に

 計画案では、「2030年までに原発20〜22%、再エネ22〜24%、石炭火発26%、天然ガス火発27%の電源構成をめざす」という現行のエネルギー政策を継承。またあいかわらず原発と石炭火力発電を「重要なベースロード電源」と位置付けています。

 現在、稼働している原発は全国で7基、比率にすると2%たらず。計画案ではこれを20〜22%に増やすというのですから、「非現実的」ともいえる原発推進計画です。世耕弘成経産相は5月23日の国会質疑で日本共産党の笠井亮衆院議員にその比率の根拠を問われ、「すべての原発の再稼働と40年超の炉の運転延長が前提」となっていることを認めています。

 大問題なのは、この「すべての原発」の中には、自民党を含めて全会一致で県議会が廃炉を求めた福島第二原発や、新潟県民の64%が反対する柏崎刈羽原発の全炉(1号基〜7号基)の再稼働も含まれていることです。また新増設や建て替えにも含みを持たせた内容となっています。

 一方、再エネについては、「主力電源化への布石を打つ」程度の扱いとなり、「主力電源とする」とは明記されませんでした。また再エネのコスト計算では、蓄電や水素など未確立の技術を無理やり組み合わせてコストを高く見せかけ、原発を最も安く見せるトリックをろうするありさまです。

 民意を排除した策定プロセス

 計画案の策定プロセスにも問題がありました。計画案をまとめた経産省・総合資源エネルギー調査会の「基本政策分科会」は、18人の委員のうち、座長をはじめ大半が原発推進の立場で、市民代表は1人だけ。国民が意見を寄せる「意見箱」が設置され、原発に反対する多くの声が寄せられましたが、事実上、無視されたまま計画案ができあがりました。

“原発より再エネ”が世界の流れ

 脱原発と再エネが国民的要求に

 こうしたなか、市民の声を計画案策定に反映させようと、原発をなくす全国連絡会や公害地球懇、首都圏反原発連合をはじめ、環境NGOや再エネに取り組むNGOなど幅広い市民団体が一堂に会し、それぞれが「原発ゼロ・再エネへの転換」という趣旨で取り組んできた総計12万人分を超える署名を、共同で提出しました。

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GWEC, IRENA, IAEAデータなどから環境エネルギー政策研究所作成

 また3月には、立憲民主、共産、自由、社民の野党4党が「原発ゼロ基本法案」を国会に共同提出。そのきっかけには、小泉純一郎、細川護熙両元首相が顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(略称・原自連)」の基本法案制定の呼びかけがあり、「原発ゼロと再エネへの転換」はいま、かつてない国民的要求となって広がってきています。

 パブコメは“数”が重要

 パブリックコメントは短くても、ひと言でもかまいません。また個人でも団体でも出せますが、指定の提出様式で出す必要があります。

 ▼締め切り 6月17日
 ▼政府の意見募集フォームからの提出先
   https://goo.gl/tdTYxQ
 ▼FAX 指定の用紙に記入し、Fax 03(3501)2305に送信。※用紙や記入例は、農民連本部 Tel 03(5966)2224担当・満川までご連絡を。

(新聞「農民」2018.6.11付)
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