新聞「農民」
「農民」記事データベース20180611-1314-10

地域と農地の再生めざす

福島・浜通り


津波被害の農地に風力発電、
オーガニックコットン栽培

 福島県南相馬市の小高区井田川地区で、風力発電とオーガニックコットンの栽培で地域の再生を図る新たな取り組みが始まりました。

合同会社「SASKENERGY」設立予定

 ここでやることはサスケねー活動

 浜通り農民連の三浦広志事務局長や、東京・新宿区のオーガニックコットン販売会社「アバンティ」の渡邊智恵子社長、地元の建設業、石川俊さんなど5人が集まり、合同会社「SASKENERGY(サスケナジー)」を設立予定。津波の被害を受けた農地にオーガニックコットンを植えて農地の再生を図るとともに、風車を立てて発電しようというものです。

 社名は「Sustain(持続する)」と福島の方言「サスケねー(大丈夫、問題ない)」、「Energy(エネルギー)」を組み合わせています。

 同社の社長に就任予定の渡邊千春さんは「社名にもあるように、ここで作ったものもエネルギーもサスケねーという活動にしていきたい」と話します。

 渡邊智恵子さんも「国がおきるときには繊維産業から始まっている。この福島の復興も繊維産業から始まるとの意気込みで取り組みたい」と力を込めます。

 石川さんは「いま進んでいる水素工場などの巨大開発の話は東京で決められ、地元の業者は全く関わっていません。雇用もなく経済が全く回っていません」と話します。「復興に向け新しいものを作っていくということであればぜひとも協力したい」という思いで参加しました。

地域・農業の復興はこれから
あきらめかけている農家にエール

 農学部学生など種まきを初体験

 5月12日には種まき交流会が行われました。地元の人や都内から来た大学生など約40人が、8アールほどの畑に参加者が和綿の種を植えていきました。

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種まきには子どもや学生も参加し、にぎやかに行われました

 三浦さんは、「この地域の農地の復興はこれから始まりますが、あきらめかけている農家もいます。それに先駆けて自分が耕作を始めることで、地域の農家に『この土地でまた農業ができるぞ』とエールを送れたら」と思いを語ります。

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種まきの後はバーベキューを堪能しました

 明治大学農学部の3年生、半沢理緒さんと金親茉穂さん、安江真美さんはゼミの仲間たちと参加しました。「ゼミで付き合いのあったアバンティの社長から誘われてきました」と話す3人。綿の種を見るのも植えるのも初めてで「食用の作物と同じような感覚で植えるんですね」と感心した様子。「被災した広い農地で発電をするのは、現代的に感じるし、復興が近づくようで実現するのが楽しみです」と話していました。

(新聞「農民」2018.6.11付)
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