新聞「農民」
「農民」記事データベース20180618-1315-03

高知 文旦産直協同組合

青年後継者が帰ってきた!

藤田 歩さん(23)


農業が僕を育ててくれた
文旦も産直も僕らが受け継ぐ

 組合員の半分以上が20〜40代という高知・土佐文旦産直協同組合(以下、産直組合)に、また一人、青年が帰郷し、「地域農業を引き継ぎたい」と、がんばっています。

 その青年後継者とは、27年前に前身の土佐文旦産直センター立ち上げの中心となった初代代表、藤田忠雄さんの孫の歩さん(23)と、妻の舞さん(24)夫婦です。

 「農業のなかで育って、農業が僕を育ててくれた。文旦のほ場がある山へ、祖父や父に付いて行って遊んだり、農作業する後ろ姿を見ていたから、僕も大きくなったら農業を継ぎたいと思ってきた」という歩さん。地元の農業高校を卒業後、「農業を続けていくには、文旦を買ってくれる消費者のことも知りたい。社会勉強したい」と数年間のサラリーマン生活を送り、1年ほど前に帰郷、就農しました。

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歩さん(左)と忠雄さん

 夫婦で協力して農業やりたい

 就農するきっかけとなったのは、職場で知り合った舞さんと結婚し、新しい命を授かったこと。半年前には長女、葵ちゃんが生まれ、授粉作業に追われる季節の、天気の良い日には、舞さんともども農作業に同伴することもありました。

 非農家出身で虫嫌いだった舞さんも、交際していたころから「いずれは農業をやりたい」と話していた歩さんに共感し、「子育てと産後の体調が落ち着いたら、夫婦で協力して農業をやっていきたい」と話しています。

 「農業は自分の考えでできるし、その分、働きがいがある。とくに今年から管理を任されたほ場もあるので、やりがいもあって楽しい。父や祖父と農作業していて、あらためて一つ一つの農作業の意味を学ぶ毎日です」と話す歩さん。

 若い生産者とつながり持って

 地域全体を見渡せば高齢化と離農も深刻ななかで、歩さんはいま「産直運動も引き継いでいきたい」と考えています。「農業の必要性を知ってもらう産直は大切な活動で、これからも積極的に参加していきたい。就農した同級生も近くにいるので、若い生産者のつながりもできれば、もっと農業しやすくなる」と、地域農業へと広がる思いを話しました。

 そんな歩さん夫婦の就農に、大喜びしているのが祖父、忠雄さんと父親の洋生さん、そして産直組合の生産者の仲間たちです。忠雄さんは、「消費者と提携して農業を守ろうと産直運動に取り組んできて、今はこうして産直組合の生産者の多くに後継者がいる。そしてその一員に自分の孫がいるというのは本当にうれしい。家のなかに赤ちゃんの声がするというのは、本当に和みます」と、語ってくれました。

(新聞「農民」2018.6.18付)
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