新聞「農民」
「農民」記事データベース20180625-1316-10

ふるさと
よもやま話

愛知農民連会長
伊藤政志


産廃施設の反対運動に、農業に、
ますます大いそがし

 農業生産地帯に産廃施設が乱立

 私の住む愛知県豊橋市南東部地域は、野菜をはじめとする農業の一大生産地帯です。一方で産業廃棄物処理施設やリサイクル処理施設が乱立し、排ガス、異臭、ほこり、騒音などの問題が各施設か度々引き起こされている地帯でもあります。

 私が産廃施設の反対運動に関わったのは、今から10年以上前です。元々この地域には自社処理も含め3カ所の産業廃棄物焼却処理施設がありましたが、それに加えて新たに大きい焼却施設の建設計画が持ち上がりました。

 そこで「これ以上の焼却炉の操業は、地域の生活環境に悪影響がある」ということで、有志20数人で「とよはし東部環境を守る会」という団体を立ち上げ、計画中の大型焼却施設に反対する運動をすることになりました。

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監視活動を続けている焼却施設

 2万8千人分の署名を集めて

 私はその事務局長として活動に参加をしています。当初、参加するメンバーの多くは反対運動をよく知りませんでした。そこで会議では私が提案することに対し、できることは実行し、できないことは諦めるといった形で、「みんなで決めて、みんなで動く」ということを活動の基礎に置きました。中心となる事業、活動は、学習会と署名活動に主軸を置きました。

 学習会では、約3年半の間に地域住民に参加を呼びかけ開催、毎回50人程度の参加者がありました。当然講師の選定、交渉、当日の司会・進行は私の役割です。

 署名活動について、許可権のある市長に対し、「許可を出さないことを求める」要望書、議会には同様の陳情書の署名用紙を作り、「ビラをまくように」地域に配布しました。集めた署名は約2万8千人分でした。地域的に住民自身が取り組む署名活動は初めての経験であり、地域社会の自治や街づくり、民主主義を考える上でよい機会になったと感じています。

 結局、産業廃棄物焼却施設の計画は、施設の建設計画を会社が取り下げるという事態となり、それと同時に反対運動も終了しました。

 操業中の炉を監視活動継続中

 その後と現在について、「会」として月1回の会議は続けつつ、操業中の2つの焼却炉を中心に監視活動を続けています。定期的に燃焼及び排ガスデータ、作業日誌を含む「閲覧」を現場に出向き行っています。

 操業する会社からは「地域の人から操業状況を見てもらい、時に指摘をしてもらうことは会社にとってプラスになる」と評価してもらっています。

 以上は「私を忙しく」する一例です。私は、両親の高齢化により農業はますます「私を忙しく」します。農業以外の様々な関わり、人間関係、地域組織、大衆運動等で更に「私を忙しく」しています。

(新聞「農民」2018.6.25付)
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