新聞「農民」
「農民」記事データベース20180702-1317-01

TPP11関連法案

参院 内閣委農水委
連合審査会を開催

関連/はぐらかし答弁するな!


道理のなさ浮き彫り

輸入も輸出も試算なし

 TPP11関連法案を審議する参院内閣、農林水産両委員会は6月19日、連合審査会を開き、野党の追及で、TPP11関連法案の強行可決をねらう安倍政権、与党の道理のなさが浮き彫りになりました。

 TPP11については、いまもなお、多くの国民が「よくわからない」と感じています。国民民主党の徳永エリ議員は、こうしたアンケート結果などを示しながら、「もっと時間をかけて議論すべき」だと追及。渋谷和久TPP政策調整統括官は、「わからないという声が非常に多いということを肝にすえてやっていきたい」と述べ、説明が不十分なことを認めました。

 立憲民主党の川田龍平議員が、「TPP11によって農産品の輸入が増えるのか」と質問したのに対し、斎藤健農水相、茂木敏充TPP担当相とも「輸入そのものが増えるかどうかの試算はしていない」と述べ、日本の農産物輸出についても、輸出額の積算はしていないことを認めました。

 輸入の試算もせずに、「生産量は変わらない」と言いくるめ、輸出の試算もせずに、「TPPは農業者にとってチャンス」などと宣伝してきましたが、とんでもないうそとペテンです。

 さらに、アメリカが復帰しないことが明らかになったときのことを規定した第6条にもとづく見直しに対して、日本共産党の紙智子議員が「そのことを確証できるものがあるのか」と追及。茂木担当相は、「閣僚会合や主席交渉官会合などで説明したが、各国から異論がなかった。参加国間の信頼関係にもとづく」と述べるだけで、単なる口約束にすぎないことが明らかになりました。

 また、いつ6条にもとづく修正要求をするのかも明らかにせず、TPP11発効後、数年たっても修正しない危険すらあります。畜産、酪農にけた違いな被害を及ぼすことになりかねません。

 紙議員は、「安倍政権のもとで、森友・加計問題、文書の改ざん、防衛省の情報隠し、労働データのねつ造があるなかで、おれを信じろと言われても、誰が信じるのか」と批判しました。

 野党議員は、「TPP11関連法案を徹底審議し、採決はするな」と一致して求めました。


はぐらかし答弁するな!

TPP許さない!共同行動と全国食健連

国会前座り込み行動

 参議院内閣委員会で農林水産委員会との連合審査と参考人質疑が行われた6月19日、「TPPプラスを許さない!全国共同行動」と全国食健連は国会議員会館前での座り込み行動を行いました。

 山田正彦元農水相は韓国が大統領の交代で自由貿易に対する姿勢が変わってきていることや、マレーシアやメキシコがTPPから離脱の可能性があることを紹介し、「長いたたかいになるが最後までがんばろう」と呼びかけました。

 行動には茨城県の県南農民組合から山口徹事務局長も駆けつけました。「役員がアメリカントレインの対抗運動を振り返って、『もっといろんなことをやっておけばよかった』と話していた。それを聞いて、今、反対運動をやらなくてどうするのかと思い駆けつけた」という山口さんは傍聴にも参加。「政府の答弁は農家の不安に全く答えていない。傍聴していても黙っていられないようなもどかしさを感じた」と感想を話していました。

 午後に行われた参考人質疑では北海道農民連の山川秀正委員長と九州大学大学院の礒田宏教授が野党側の参考人として陳述。山川さんは陳述前、礒田教授は陳述後にそれぞれ行動に参加し、激励のあいさつをしました。

 礒田教授は「与党議員の質問を聞いていると『自由貿易こそ正義であり、平和への道だ』のコケの一念だけだ。現代に合ったまともな理論が構築できていない」と指摘。「TPP11を進めるほど日米FTA(自由貿易協定)への圧力が強まる。みなさんと連帯して抵抗していきたい」と訴えました。

 全国共同行動は21日にも国会前で抗議行動を展開。広島市の玉川雅美さんは「安心な食べ物や土壌とかをどうやって子どもたちに残すか、日々考えて広島で環境活動をしている。TPPの動きを見ていると不安でたまらない」と単身で駆けつけて行動に参加しました。また全日農群馬県連会長の黛憲治さんも安中市から駆けつけるなど、TPPに対する行動の輪が今も広がっています。

(新聞「農民」2018.7.2付)
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