新聞「農民」
「農民」記事データベース20180702-1317-04

持続的な地域社会めざし、
必要な行動を起こそう

農業と食の未来を考える

長澤真史
東京農業大学名誉教授


三重県農民連
松阪市で農政講演会を開催

 三重県農民連は6月17日、松阪市のJA松阪本店会議場に長澤真史・東京農業大学名誉教授を講師に招き、「農業と食の未来を考える」講演会を開催しました。

 この日は好天に恵まれ、翌日から本格的梅雨入り予報の中、小麦の刈り取りや飼料米の植え付け作業などを午前中で切り上げての参加者など、会場をほぼ埋める80人が集いました。

 長澤教授は、TPPをめぐる日米関係の動向を整理・解説したうえで、農業を巡る国際環境の変貌と日本農政の転換の必要性を強調。「農業所得減少の責任は農協にある」として農協法の改悪を強行し、農協解体を強引にすすめる安倍官邸農政を批判しました。

 また、官邸・規制改革推進会議の「所得の増大」を掲げる狙いを解説。農協と民間営利企業との対等な条件づくりを一気に進め、(1)代理店化への道(2)さらなる広域合併を進める――などの事態を解明しました。

 さらに、農協攻撃の狙いと背景を詳しく解説。最後に、日本の農業と地域社会の現状をとらえ、持続的な地域社会の整備に向けて、(1)農業の再生産を保障する「価格保障政策」を重要視する(2)国民に安心・安全な農畜産物を安定供給し、農業・農村の多面的機能を確保する(3)人口減少・少子化・高齢化の地域を巡る厳しい状況をとらえ、集落、自治会、農協組織などと「相互扶助」の精神でつながりあい、必要な行動を起こすこと――などを提起しました。

 参加者からは「高齢でリタイアし、後継者がなくどう対応するか」「農業と同様に零細商業も大型店進出で、閉店せざるをえなくなっている」など、質問や発言が続出しました。

(農民「三重県版」39号から)

(新聞「農民」2018.7.2付)
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