新聞「農民」
「農民」記事データベース20180709-1318-01

TPP11の参議院本会議の
強行可決に抗議し、
新たなたたかいを呼びかける

2018年6月29日
農民運動全国連合会


 一、自民、公明、維新などの与党と与党補完勢力は、TPP11協定承認案を6月13日に参議院本会議で強行可決したのに続き、本日6月29日、関連法案を賛成多数で強行可決させた。承認案の審議時間は衆参でわずか11時間に過ぎず、関連法案もわずか36時間の審議で打ち切って採決を強行した自民党、公明党、維新の会に満身の怒りをこめて抗議する。

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参議院での強行採決に対し抗議の声を上げる「TPPプラスを許さない!全国共同行動」の参加者=6月29日、国会前

 二、農業への打撃はTPP12以上に増幅されている。アメリカが離脱したにもかかわらず、日本政府が修正要求を放棄したために、乳製品の低関税輸入枠と牛肉のセーフガード(緊急輸入制限)は、アメリカ分を含めて10カ国に譲り渡すことになり、TPP12以上に農業への打撃を与えることは必至である。バターと脱脂粉乳で7万トン(生乳換算)のTPP枠が設定されているが、これをニュージーランドとオーストラリアが消化してしまえば、アメリカが“既得権益”の確保を要求することは必至であり、低関税輸入枠がさらに増える可能性が強い。セーフガードも発動されない可能性が強い。

 政府は、見直し規定があるから大丈夫だと説明してきたが、単なる口約束に過ぎず、見直しを提案する基準・時期もあいまいである。これでは、日本の酪農・畜産に壊滅的な打撃を与えることは必至である。

 政府は、輸入量の試算もせずに「生産量は変わらない」と強弁し、輸出量の試算もないまま「農業者にとってチャンス」だと言うが、これほど無責任なことはない。

 三、TPP11は、TPP12のうちアメリカがゴリ押しした条項の一部を「凍結」して休眠させただけで、その破壊的な本質は何も変わらない。さらに国民を犠牲にし、グローバル企業に奉仕するTPP11の本質は、農業だけにとどまらない。食の安全、遺伝子組み換え食品、薬価、政府調達、著作権など、国民生活に重大な影響をもたらすTPP12がそっくり引き継がれることになる。

 四、安倍政権は「TPP11の合意内容が、日本にとっては対米交渉での最終防衛ライン」といっているが、「同盟国」を含む世界中に乱暴な貿易戦争を仕掛けているトランプ政権にとってはスタートラインにすぎない。7月に動き出す「新貿易協議」は日米FTA(自由貿易協定)の入り口であり、「着手金」「前払い金」を要求される場となる。「新協議」の中心は、日米FTA交渉が開始すれば交渉責任者となるライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表と茂木経済再生相であることが、雄弁に物語っている。ライトハイザー氏は、就任にあたって「農産物は、日本が第一の標的となる」「TPP交渉を上回る合意を目指す」と公言してきた。

 TPP11の成立は自由化ドミノの始まりであり、極めて無責任な暴走である。

 五、たたかいは新たな段階に入った。われわれは8年間のたたかいで築きあげてきた共同の輪をさらに広げ、TPPからの離脱を要求し、日米FTA、日欧EPA(経済連携協定)、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)を断固拒否するたたかいに全力をあげる。

 TPPを前提に、大規模化一辺倒の構造改革・企業参入を進め、家族農業を閉め出し、農村を疲弊させてきた安倍官邸農政を転換させるために全力をあげる。

 モリ・カケ問題での安倍首相と昭恵夫人の関与は疑いの余地がない。安倍政権の政治の私物化とウソとゴマカシに、国民の信頼は失墜している。

 TPP11は、これまでとは異次元の影響を農業と国民生活にもたらすことは必至である。反対世論を無視し、国会でまともな審議も行わず強行した安倍政権の蛮行は、歴史に汚点を残す犯罪的な暴政と言わざるをえない。

 もはや安倍首相に政権を担う資格はない。疑惑の真相究明を棚上げしてTPP11を強行した安倍政権は、いよいよ打倒するしかない。そして、TPP11から離脱する政府をつくるしかない。来る参議院選挙で市民と野党の共闘を発展させ、自公とその補完勢力を少数派に追い込むために全力をあげるものである。

(新聞「農民」2018.7.9付)