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農民連全国委員会決議
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2018年6月13日
農民運動全国連合会

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3.地域から生産を守り、農政の転換を求める運動

(1)米を守る運動

 (1)2018年以降の米流通―「博打(ばくち)」になった米づくり、混乱が常態化する市場任せの米政策

 2015年秋以来3年続けて需給は締まり気味で、価格も、一定程度回復してきました。「2018年産も作付け動向などから大きくこの流れは変わらない」とみられてきました。しかし、3月から始まった一部銘柄米の市場価格の下落が、5月の連休明け以降、さらに広がっています。主な要因は、大手卸をはじめとした業者の手持ち在庫処分によるものです。

 今後の価格動向は、消費量の減少や中外食業界の「節米」の動きもあり、「6月末在庫」の結果によってさらに変動します。

 そして懸念材料として、今年の12月末から輸入される10万トンのSBS米の動向、2018年産備蓄米入札で20万トン枠に対して約12万トンの落札(6月28日最終、12万2949トン)に留まっていること、ふるい下米などの「中米」の市場供給量の増減などがあります。

 さらに、2018年産米の作柄によっては過剰感が増し、価格下落を引き起こす可能性もあります。

 一方、今年の「生産目標」は、来年6月末在庫180万トン程度を前提にした、前年産と同じ735万トンであり、作柄不良となれば一気に不足感に転じて、昨年同様、市場は過熱する可能性もあります。

 2018年以降の米流通は、食糧管理法が制定された1942年以前に戻ったようなものですが、今日的には、大手量販店などの商品ラインナップ見直し、コンビニ・外食チェーンの原料米の変更などに伴う大手卸の仕入れ・販売方針の有りようで、特定産地銘柄の価格上昇・下落が決定づけられることも起こります。

 このように、政府が価格と需給対策から撤退したもとでは、自然条件に加え、大手資本の思惑など、多様な要因で価格と需給が不安定となり、また、生産者と中小米業者が振り回されることになります。

 困難なときこそ、新婦人・生協などとの産直や、長年の信頼にもとづく米卸・米屋さんと結びついた準産直米の役割が、ますます重要になってきます。

 (2)政府の米政策の転換めざし、都道府県、市町村にも独自支援策を要求しよう

 民間に丸投げした米政策から、政府が責任をもった米政策に転換させ、戸別所得補償制度を復活させることが、いよいよ重要です。また、自治体に産地交付金の設定や単独の助成の実施を要求して運動を強めましょう。

 2018年度でも、加工用米への産地交付金の増額や市町村独自加算など前進した地域もあります。千葉県、新潟県、島根県などでは農民連の仲間と実需者が共同して行政への働きかけを行ってきたところもあります。

 全国で農家人口減少に歯止めがかからず、地域での将来像が描けなくなってきています。単に農家人口減だけなく、地域・集落のリーダーの不在が、農業を続けていくことに、個々の農家が展望を持てず、あきらめ感が広がる大きな要因でもあります。

 こんなときこそ農民連の出番です。生産から撤退せず、行政との関係も強化し、窓口的役割を発揮し、新規就農者の獲得、経営所得安定対策など各種制度の活用や充実もめざし、地域をまとめていく受け皿としての農民連組織や会員の力を多いに発揮すべきときです。

 (3)多様な販路確保、準産直米と要求運動を連動させて

 個々の農家にとっても、大規模生産組織にとっても販路の確保は切実な要求です。こういう情勢だからこそ多様な販路を確保するとともに、これまで積み上げてきた準産直のスケールアップをめざしましょう。

 大規模経営ほど、JA・業者・実需者・直売など販路は複線化させ、リスク分散を行っています。山口県では県連・中部産直センターと農民連ふるさとネットワークが協力して集落営農組織に働きかけを行い、8000袋を超す準産直米の集荷拡大を実現しています。

 2018年度産米集荷の拡大や、2019年産以降を視野に入れた農家訪問や準産直説明会、米を守る学習会など、周りの農家に呼びかけて、地域で話し合う機会を持ち、会員拡大に結び付けましょう。

 米でも仲間を増やし、米作りをはじめ農業が続けられる地域のグランドデザインを、ともに描ける地域づくりをめざしましょう。

(2)家族農業を脅かす政治とのたたかい

 安倍政権が今国会で強行したTPP11協定と関連法、卸売市場法「改悪」などは、家族農業に重大な障害を持ちこむものです。地域から食料・農業と地域を守る運動の構築がますます重要になってきます。

 (1)卸売市場法の改悪の具体化を許さないたたかい

 卸売市場法の「改悪」は、財界人らによる「規制改革推進会議」の提案を受けて、大手流通企業の利益のために卸売市場の機能を事実上、解体するものです。

 内容としては、中央卸売市場の認可制を廃止し、一定のルールを守れば民間でも開設できるようになります。第3者販売の禁止、直荷引きの禁止、商物一致などの原則は、市場ごとの判断としており、目利きによる価格形成機能、分配機能などで重要な役割を果たす仲卸の存続を脅かし、市場機能を形がい化させるものです。生産者はもとより、青果店や飲食店、消費者にも影響が及びます。6月14日に参議院本会議で可決されましたが、地域での連携を広げ、公正な取引ができるようにたたかいを進めましょう。

 (2)種子法復活を求める運動を全国で

 前国会で「主要農作物種子法」が廃止されたものの、全ての都道府県で何らかの形で種子事業が継続されており、種子法の復活を求める自治体の意見書が13道府県63議会に広がっています。新潟、兵庫、埼玉では独自の条例を策定し、その他の都道府県でも要綱などを作る動きも生まれています。世論を背景に5野党1会派が共同して「種子法復活法案」を国会に提出、審議に入っています。こうした動きは安倍官邸農政の破綻を象徴しています。さらに運動を広げましょう。

(3)食品分析センターの活用を広げよう

 「家族農業の10年」は「持続可能な農業の推進」を提唱し、「農民の権利宣言」でも「持続可能な農業の推進」のための生産技術として農薬や化学肥料・エネルギー多投型の農業技術からの脱却を掲げる「アグロエコロジー」を提唱しています。

 その一方で、遺伝子組み換え作物の栽培が20年を超え、新たな除草剤耐性のスーパー雑草に対する新たな除草剤の開発や、残留基準の緩和が進められています。

 また、人体への低毒性を強調したネオニコチノイド系農薬の普及が世界的に進むなか、その特性である浸透移行性による植物体内への移行と長期残留などから、ミツバチの大量死などへの懸念が高まり、EUを中心にその使用を制限する動きが世界的に広がっています。日本でも、昨年12月に日本弁護士連合会が声明を出すなど、議論が高まっています。

 しかし、いま多くの農民は、使用している農薬がネオニコチノイド系農薬かどうかも知らされず「〇〇に良く効く」という普及宣伝によって使用している実態があります。

 農民連は、こうした状況を踏まえ、まず、自分たちの使用実態を把握するための検査運動を呼びかけています。あわせて、作物の交配に重要な役割を果たしているミツバチを元気にするために、多様な花がいつでも咲いている状態を作るための「蜜源を増やす運動」を提唱しています。

 同時に、関係機関にネオニコチノイド系農薬に代わる代替技術の開発普及をともに進めることを呼びかけています。

(4)映画「ごはん」の上映運動を広げましょう

 映画「ごはん」が各地で上映され、好評です。農業や米について消費者が身近な問題として改めて考える場となっています。都道府県や地域で広く実行委員会をつくり、行政機関やJAなどの協賛も受けてとりくみましょう。

(新聞「農民」2018.7.9付)